領収書・レシートの適切な保管方法は?おすすめの管理方法をご紹介
監修者:入野 拓実(税理士)
2024/08/06更新
領収書の保管は、単なる事務作業。ですから、効率的に・サクッと終わらせたいものです。
この記事では、税理士オススメの「領収書の保管方法」を紹介します。
領収書の保管に時間をかけないようにするポイントも書いています。そして、2023年10月1日から開始されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)での領収書の保存、2022年1月施行の改正電子帳簿保存法で緩和されたスキャナ保存を前提に解説しています。自分の事業に合った方法を探してみてください!
POINT
- 領収書は、業態・規模によって保管方法を変える
- 領収書の保管を丁寧にやりすぎない
- 領収書は「入力」してから「保管」
領収書の保管期限は原則7年間
個人事業主の場合、帳簿や書類の保存期間は、原則として7年間と定められています。(法人の場合は繰越欠損金が10年間繰越可能なため、帳簿書類もそれに合わせて10年間保存します。)
詳しくは、以下の表を確認してください。
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
---|---|---|---|
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 | |
書類 | 決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収書、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年(※) | |
その他の書類 | 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 |
※ 2022年(令和4年)分以降、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円以上の方は、その業務に係る現金 預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。
引用元:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
保存が必要なもの | 保存期間 | |
---|---|---|
帳簿 | 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 | |
書類 | 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 | 5年 |
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類(※) | 5年 |
表を見ると、領収書・レシートは7年の保管が必要だとわかります。(白色申告の場合は5年)
その他にも、
- 帳簿(仕訳帳、総勘定元帳など)
- 決算関係書類(損益計算書、貸借対照表など)
- 預金通帳
などは、同じく7年。請求書、見積書、契約書などは「5年」でOKとなっていますが、煩雑になるのを防ぐため、実務上は「すべて7年」で統一してしまっても良いでしょう。
領収書の保管期間については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
「7年って長いな…」「邪魔だし捨てたい」と思った方もいらっしゃるかもしれません。私も同じ気持ちです。ですが、領収書は「間違いなく経費として支払った」ことの証拠になる大切なもの。税務調査でも、必ず提示を求められます。申告内容が正しいことを証明するためにも、きちんと保管しておきましょう。
さらに2023年10月1日から開始されるインボイス制度では、インボイス(適格請求書)に該当する請求書や領収書は、7年間保存が必要です。個人事業主の場合は、7年で統一するのがおすすめです。
ここからは、オススメの領収書保管方法を説明します。
保管方法①:スクラップブックかコピー用紙に貼る
まずは「のりで貼る」方法について解説します。これは、経理の現場で昔から行われている方法です。スクラップブックに貼ることが多いのですが、個人的なオススメはコピー用紙に貼ること。コピー用紙はスクラップブックと比較して、
- 安い
- 常時事務所にある
- ページを追加・差し替えが可能
など、手軽さや自由度の高さがポイントです。
コピー用紙での領収書綴りの作り方
- A4コピー用紙を数十~数百枚まとめて
- 穴をあけて
- 黒紐で綴じる
貼るときは、ざっくりと・手早く
貼り方のコツは、
- 月ごとに分ける
- 丁寧にやりすぎない
- テープのりを使う
の3つ。日付順に、まっすぐ、重ならないように、本当に丁寧に貼っていらっしゃる方も多いのですが、そこまで丁寧に貼る必要はありません。最低限月ごとにわかれていれば、多少曲がったり重なっても問題ないでしょう。
「のり」はテープのりを使えば、乾くのを待ったり、はみ出したりすることがないので、時短できます。あまり時間をかけずにパパッと終わらせましょう。
保管方法②:封筒か13ポケットファイルに入れる
次に紹介するのは「封筒 or 13ポケットファイルに入れる」という方法。これはすごくオススメです。
封筒に年月を書き、該当する月のレシートを入れていきましょう。13ポケットファイルの場合も、月ごとに入れていけばOKです。貼る方法に比べて時短になります。個人事業主さんや、従業員が数人の法人にもってこいの方法です。
保管を効率化するポイント
領収書の枚数が多くなってくると、従来のやり方では処理が追い付かなくなることもあるでしょう。そんなときは、以下のように工夫するとよいです。
分け方を工夫する
会社の規模が大きくなってくると、月ごとに分けるだけでは不十分な場合もあります。レシートの枚数も多くなりますし、複数人で共有(社長、経理部内、税理士etc)する機会が増えるためです。そうなったら、分け方を工夫しましょう。
例えば、
- 支払い手段別(現金、クレカ、振込etc)
- 従業員別(立替払い)
- 部門別
- 勘定科目別
- 取引先別
など、会社の業態に応じて、わかりやすい分け方を考えてみましょう。逆に、一般的な個人事業主さんの場合は、ここまで細かく分ける必要はありません。ざっくり月ごとにだけ分けておけば良いでしょう。
順番は入力→保管
「とりあえず保管してから、会計ソフトに入力する」という方が多いのですが、私のオススメは「会計ソフトに入力」→「保管」の順序です。
「保管」→「入力」だと、
- 前回どこまで入力したか確認の手間がかかる
- ダブり、漏れが生じやすい
- 丁寧に貼らないと入力しにくい
といったデメリットがあります。はっきり言うと、非効率なのです。
その点「入力」→「保管」の順序であれば、
- 未保管のものはすべて入力すればいい
- 適当に貼っても大丈夫
- 保管したものは見返さなくてOK
ですから、効率的です。経験上、この方法を採用している方は、レシートを溜め込まずに小まめに入力するようになります。「入力するまで保管できない」わけですから、机がレシートで溢れかえる前に入力を済ませたくなるのだと思います。
レシートをスキャナ保存する場合
制度の概要
レシートは紙で保管するのが原則ですが、一定の要件をクリアした上で、スキャンしたデータでの保存も認められています。スキャンした後、データと紙の照合や折れ曲がりがないか等の確認をすれば、紙のレシートは即時に破棄することができるのです。これを「スキャナ保存」といい、「電子帳簿保存法」という法律で定められています。
ただし、スキャナ保存は要件が厳しいため、スモールビジネスを行う事業者が導入しようとすると、かえって手間が増えるだけに終わることも。筆者自身もスキャナ保存は断念し、執筆時点では紙での保存をしています。
ですが、電子帳簿保存法は毎年の改正で要件が緩和されつつあります。スキャナ保存についても、今後は導入しやすくなっていくことが期待できます。
- ※この記事では、要件緩和が行われる2022年(令和4年)1月1日以後の取り扱いを前提として解説していきます。
電子帳簿保存法については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
要件
スキャナ保存をする場合には、主に以下のような要件を満たす必要があります。
-
① 一定以上の解像度、カラーによる読み取り
-
② タイムスタンプ(訂正・削除を行った事実及び内容を確認可能なシステムを使って保存することで、タイムスタンプに代えることができる)一定以上の解像度、カラーによる読み取り
-
③ 解像度、大きさ情報の保存
-
④ バージョン管理
-
⑤ 入力者等情報の確認
-
⑥ スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持
-
⑦ 見読可能装置の備え付け
-
⑧ システム開発関係書類の備え付け
-
⑨ 検索機能の確保
必要な手続き
これまでスキャナ保存を行う場合には、税務署に対し事前に申請書を提出し、承認を受ける必要がありました。しかし、2022年(令和4年)1月1日以後に行うスキャナ保存については、事前承認は不要になっています。
領収書は、自分に合った方法できちんと保管しよう
個人事業主の場合、領収書は7年間(白色申告は5年間)保管する必要があります。それに合わせ、他の書類もまとめて7年間保管するとよいでしょう。
また、領収書の保管は、
- 丁寧にやりすぎない
- 貼るor入れる お好きな方法でOK
- 月ごとにまとめる
- 入力→保管
といったことをやってみてください。時間をかけずにサクッと終わらせましょう!
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この記事の監修者入野 拓実(税理士)
1989年生まれの税理士。28歳の時に千葉県柏市で独立開業。リーマンショックや震災で複数の担当先の倒産を目の当たりにし、財務・経営分析を研究。顧問先には「不況に耐える会社作り」「手元にお金を残す経営」をモットーにサポート。執筆・セミナー・YouTubeでも、フリーランス・中小企業向けに発信を行っている。 Webサイト:入野拓実税理士事務所 YouTubeチャンネル:フリーランスの社長のための税金チャンネル Twitter:税理士@入野拓実