領収書の保管期間は?個人事業主・法人それぞれ解説
監修者:小林祐士(税理士法人フォース)
2024/09/03更新
「個人事業主として独立したが、領収書はとりあえずデスクの引き出しにため込んでいるだけ」
「確定申告の間際に焦りたくないので、少し余裕がある時に領収書の保管ルールについて知っておきたい」
領収書は国税関係書類の1つであり、適正に保存することが法令で義務づけられています。
事業主でなくても身近な領収書については意外と知らないことも多く、あらためて適切でなおかつ効率が良い管理が分からないと試行錯誤している方も多いのではないでしょうか。
また、個人事業主や中小企業の経理担当者は、できるだけ領収書の処理に時間を割かずに本業に専念したいというのが本音かもしれません。
最低限覚えておく必要があることは、「領収書は、原則7年間保存しておく必要がある」という点です。
その一方で、昨今はインボイス制度や改正電子帳簿保存法など新しい法令もあることから、適切な領収書の保管方法を知る重要性も増してきています。
目先の手間を削減しようと領収書の保管ルールを軽視してしまうと、結果的にもっと時間を取られることになったり税金上のデメリットを被ったりしてしまいかねません。
本記事では、領収書の保存期間や保管方法について、法令の内容や実務で注意しておきたいポイント、効率よく管理するための方法について紹介します。
まず把握すべきことは、領収書の保管期間です。
領収書の保存期間は、7年を基本として適切に保存する必要があります。
紙の領収書でも電子データの領収書でも保存期間は同じです。
領収書の保管期間:法人の場合
法人の場合、原則は7年です。
繰越欠損金の控除を受ける場合は10年間保存が必要です。
領収書の保管期間:個人事業主の場合
青色申告事業者は、原則として7年間、白色申告の場合は5年間です。
ここまでお読みいただければ税務上の領収書の保存期間が理解でき、ご自身の場合は何年保存すべきかが把握できるでしょう。
ただし、事業を推進している日々のプロセスでも、領収書保管の守るべきルールや、より効率化するための工夫も求められます。
記事の後半では、確定申告の時に焦ることがないような、日常的にできる領収書の保管ノウハウについて紹介します。
- 保存期間を守らないと、どのようなリスクがあるのか?
- 紙やデータなどの保管方法で注意すべき点は?
- 日常的にできる領収書の保管を効率化できる工夫とは?
最後までお読みいただければ、法令に違反しない領収書の保管ができるだけでなく、日々の事業活動を圧迫しない領収書の保管ノウハウが理解できるはずです。
少々面倒と思われるかもしれませんが、領収書の保管については一度ルールを知って、自分なりの効率的な保管方法を確立してしまえば、その後は時間を取られることはなくなることでしょう。
ぜひ当記事のノウハウを参考に、領収書管理を効率化してください。
領収書の保存期間は?
領収書の保存期間は「7年」と覚えておくと良いでしょう。
詳細はこのあと説明しますが、保存期間の概要は以下の通りです。なお、電子帳簿保存法の「電子取引のデータ保存」により、データでやり取りをされた領収書は、データのままで要件に従って保存が義務になっています。ただし、保存期間は紙の領収書でも電子データの領収書でも保存しなければならない期間は同じです。
- 法人の場合は原則7年(欠損金の繰越控除を利用する場合は、10年間保管)
- 個人事業主の場合は青色申告の場合は原則7年(白色申告の場合は5年)
このようなルールなので、おおよその人は「7年」と覚えておけば問題はないでしょう。
ただし例外のケースもあるため、ここからは保管期間の基準について、詳しく解説していきます。
電子帳簿保存法の電子取引のデータ保存については以下の記事を参照ください。
法人の保存期間は原則7年、場合によっては10年
法人の領収書の保存期間は、法人税法で原則7年と定められています。これは領収書以外の帳簿や書類(請求書・貸借対照表・棚卸表・現金出納帳など)も同じです。
ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度や、青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金額が生じた際には、10年間の保存が必要とされています。
つまり、法人においては、領収書は原則7年間(例外的に10年間)保存義務がある、ということになります。
参照:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
また保存期間の起算日は、法人税法では「その事業年度における確定申告書の提出期限の翌日から」となっています。
法人税の申告期限は、事業年度から原則として2か月後となっているため、事業年度末が3月31日ならば2か月後の5月31日が確定申告書の提出期限となり、その翌日(6月1日)から7年間の保存が必要ということになります。
いずれも「領収書を受け取った・発行された日」からではないので注意しましょう。
個人事業主は確定申告の種類によって保存期間が異なる
個人事業主の領収書保存期間は、所得税法で定められています。確定申告の種類(青色申告か白色申告か)によって保存期間が異なる点が法人との大きな違いです。
青色申告でも白色申告でも、領収書の保存期間は作成又は受領の日の属する年の翌年3月15日の翌日が起算日となっています。法人同様「領収書を受け取った・発行された日」からではないので注意してください。
青色申告の場合は7年
所得税法では、青色申告者の帳簿類や領収書については原則として7年間の保存を求めています。
青色申告者の現金預金取引等関係書類である領収書などについては7年、その他の書類(見積書や送り状など)については5年の保存を求めています。
ただし、前々年分の所得が300万円以下の場合については領収書の保存期間は5年間となります。
白色申告の場合は5年
白色申告の場合は、領収書の保存期間は5年です。
領収書の保存期間は5年ですが、帳簿類の保存期間は7年が基本です。長く保存して問題になることはありませんので、領収書もまとめて7年間保存しておけば間違いはないでしょう。
参考:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
前々年の副業収入が300万円超の場合は5年間
前々年の副業収入が300万円超の場合、現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。
よって、領収書も5年間保存が必要です。
適格請求書(インボイス)は、7年間保存
適格請求書(インボイス)は、7年間の保存が必要です。
そのため、法人、個人事業主や副業の人でも、適格請求書発行事業者の場合は、適格請求書(インボイス)にあたる書類は、7年間保存をします。
保存期間の起算は、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日です。
個人事業主や副業の人は、所得税の確定申告期限(通常翌年3月15日)の方が日付が後なので、所得税の確定申告期限の翌日(通常は、3月16日)から7年間保存しておきましょう。
領収書の保存期間を守らないとどうなるのか?
領収書の保管状況は税務調査が入らない限り、税務署が直接確認することはありません。しかし調査の際に保存義務を違反していることが発覚すると、さまざまな不利益が発生します。
ここでは万が一、保存期間が守られていなかった場合に起こる3つのリスクを紹介します。
リスクを知っておけば、たとえ忙しい時であっても領収書の保存を疎かにしない効果があるでしょう。
経費や仕入が計上できない
領収書は、費用が発生して支払った証明書類です。
事業に関係する仕入れや経費にかかった費用は、経費として計上することができます。領収書を適切に保存して帳簿付けをすることで事業にかかった費用として証明することができます。
領収書がないとどういった用途に使用したのかを証明できないため、費用計上できなくなります。
消費税額が控除できない
領収書が適格請求書に該当する場合で、正しく保存されていない場合、消費税申告を一般課税(本則課税)で行っている事業者は、事業の仕入れ等で生じた金額に対する消費税額が控除できません(簡易課税制度を選択している場合を除く)。
適格請求書発行事業者は、消費税の課税事業者のため、消費税の納付義務があります。適格請求書発行事業者の法人や個人事業主、副業の人は、消費税を納税しなければなりません。
その際の消費税額は、課税売上で受け取った消費税から仕入時に支払った消費税分を差し引いた金額を納付します。
しかし、この仕入の消費税分を差し引くには、2023年10月以降は、適格請求書に該当する書類とルールに従った帳簿づけが必要です。
領収書も必要な書類に含まれます。正しく保存していないと、本来受けられるはずの控除を受けられなくなってしまい、納める消費税額が増えてしまうため注意が必要です。なお、買手側である適格請求書発行事業者が、簡易課税制度を選択している場合は、仕入税額控除の金額は、売上にかかる消費税から計算するため、受け取る領収書などは適格請求書である必要はありません。とはいえ、取引でお金を支払った証拠になる領収書は適切に保存することは必要です。
追徴課税や罰則を受けることがある
領収書が保管されていないと、税務調査が入った場合に追徴課税や罰則を受けることがあります。
税務調査では、最長で7年分さかのぼって調査ができます。領収書の保管期間が原則7年とされているのは、この調査対象の期間が関係しています。
7年以内に税務調査が入り、領収書が保管されていないことが発覚すると、足りない分の領収書に関連する追徴課税が発生する可能性があります。
なお税務調査はいつ入るか分かりません。年別・月別に領収書は整理しておき、必要になったらすぐに提出できるようにしておきましょう。
青色申告が取り消される可能性がある?
青色申告を行っている法人や個人事業主の場合は、領収書が足りないと青色申告が取り消されると懸念する事業者方もいるでしょう。
災害などのやむを得ない事情がなく、領収書の保存に不備があったとしても、直ちに青色申告が取り消しとなるわけではありません。青色申告の承認の取り消しについては、国税庁の事務運営指針である「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」にもとづき、検討したうえで判断されます。
したがって、例え、一部の領収書を保存していなかった場合でも、領収書以外の請求書などの種類から取引の事実が確認でき、それ以外の特段の事由がないのであれば、すぐに青色申告の承認が取り消されるようなことや金銭の支出がなかったと判断されることはないでしょう。
ただし、税務調査の際に帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず、その提示を拒否した場合などでは、法人税法・所得税法に則り、青色申告の承認の取消事由に該当することになります。
領収書の正しい保管方法
領収書の保存期限が守られたとしても、適切に保管されていないと意味がありません。
領収書の正しい保管方法については「紙媒体の場合」と「データの場合」の2つについて理解する必要があります。
特に、電子帳簿保存法の改正により領収書の保存ルールは大きく変わりました。特に2024年1月以後の電子取引からはデータ保存が完全義務化されています。2023年以前と同じ方法では違反になる可能性があるため、改めて確認しておきましょう。
紙媒体の場合
紙媒体の領収書は、そのまま領収書原本を紙の状態で保管してかまいません。
見やすく整理がしやすいように、クリアファイルに挟んだり、別紙に貼り付けてファイリングしたりするなど、誰が見ても分かりやすい状態で保管することがおすすめです。
前述したように領収書は7年間という長期間保存しなければいけないため、テープ貼りでは劣化が懸念されます。そのため、貼る際はのりを使うことをおすすめします。
また月単位・年単位、取引先ごとなどわかりやすくファイリングしておくと、後からデータを引き出しやすくなります。
このように紙の領収書を保管するには、貼付けやファイリングする手間もかかります。また、保存期間が満了するまで保管する棚や倉庫といった保管スペースも必要です。
紙の領収書保管にかかる工数を減らすには、電子データで保存しておく方法もあります。
適用するのは、任意ですが、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件に従って紙の領収書を電子データで保存することができます。
例えば、紙媒体の領収書をスキャンしてPDF化する場合は、以下の要件を満たすようにします。
- 真実性の確保 :保存された電子データが改ざんされていないことを示す
- 可視性の確保 :保存されたデータを検索できるようにする
スキャナ保存についての詳細は以下の記事を参照ください。
データの場合
昨今は紙媒体の領収書をそのまま保管するのではなく、電子化したデータをパソコン、クラウドなどで保管する方法が主流です。
経済社会のデジタル化を踏まえて、2022年の1月に電子帳簿保存法の大幅な改正が行われました。
電子帳簿保存法は、国税関連帳簿書類について電子データ保存を可能とする法律です。
ただ、データで保存すればよいわけではなく、保存のルールがあります。
特に2024年1月以後の電子取引からは、データ保存が完全義務化されています。
電子取引でやり取りをした取引書類は、要件に従ってデータ保存が必要です。
例えば、メール添付などデータで受け取った領収書は、データで保存をします。データ保存をせずに紙で印刷して保存することは、電子帳簿保存法違反になります。
電子帳簿保存法の罰則についての詳細は、以下の記事を参照ください。
領収書を保管する際に注意したいこと【2024年版】
紙であれデータであれ、領収書の保管期限や正しい保管方法を知るだけでは、まだ十分とはいえません。
領収書周りは昨今の法改正の流れを受けて、注意事項が毎年アップデートされています。最新の情報を仕入れて、常に法に則った領収書の保存を心がけましょう。
ここからは2024年1月時点で領収書を保管する際に、特に注意したいポイントを3点紹介します。
インボイス制度での領収書の取り扱い
2023年10月1日から始まったインボイス制度では、インボイスの要件を満たす領収書やレシートが適格請求書として扱われています。
ただし、手書きの領収書はレシートよりも信憑性が低いとされ、税務調査の際に改ざんや書き間違いを疑われるリスクもあります。適格請求書(インボイス)には、決められた項目を記載する必要があるため手書きの領収書をやめる事業者も増えています。なぜなら、適格請求書(インボイス)は、原則として、買手側(領収書の受領側)で修正ができないため万が一、手書きの領収書が適格請求書(インボイス)に該当する場合に書き間違いや必要項目の記載漏れ、修正があった場合は、売手側が修正のうえで再発行が必要になるからです。
また、インボイス制度では、原則的に3万円未満の領収書も保存が必要です。
数百円程度の仕入額でも、領収書を受領しなければなりません。
ただし、中小事業者については、2023年10月1日~2029年9月30日の経過措置として、1万円未満の課税仕入れについては、適格請求書・適格簡易請求書に該当する領収書などの保存がなくても、記載条件を満たした帳簿保存のみで仕入税額控除の適用ができます。
対象となる中小企業者とは、「法人の場合は前々事業年度、個人の場合は前々年の課税売上が1億円以下、または1年前の上半期(個人は1~6月)の課税売上が5,000万円以下の事業者」を指します。
また、インボイス制度でも帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるケースもあります。
3万円未満の電車代や自販機で購入した飲料など、そもそも請求書・領収書が発行されない場合です。これらについては、必要な項目を記載して帳簿に記載すれば仕入税額控除が認められます。
なお、免税事業者は、インボイス制度の影響を受けませんので上記内容は、対象外です。しかし、原則的に領収書は取引の証明のため保存が必要です。免税事業者で領収書がない取引は、出金伝票などで記録を残しましょう。
電子帳簿保存法を遵守する
領収書をデータ保管するにあたり、最新の電子帳簿保存法は必ずチェックし、内容を遵守するようにしましょう。
電子帳簿保存法は2022年1月に改正され、大幅な変更や緩和が入りました。特に2024年1月以後の電子取引からは、データ保存が完全義務化されています。
電子取引でやり取りをした取引書類は、要件に従ってデータ保存が必要です。
例えば、メール添付などデータで受け取った領収書は、データで保存をします。データ保存をせずに紙で印刷して保存することは、電子帳簿保存法違反になります。
電子帳簿保存法は比較的新しい法律で、今後も改正される可能性が十分にあります。その都度最新の情報を得られるように注意し、保管期間や保管方法に反映できるようにしてください。
紙媒体は必ず原本を保管する
紙媒体の領収書をコピーして保存する行為は原則認められていないため、原本を保管するようにしましょう。
コピーを認めてしまうと、改ざんや二重請求のリスクが高くなり、正しい会計や課税が行われない可能性があるからです。
ただし事業開始初年度は「領収書を保管する必要性を認識していなかった」ということもあるかもしれません。また、領収書を紛失してしまうこともあり得るでしょう。
発行から日が経っていなければ再発行できる場合もありますが、領収書の再発行は、店舗側(販売側)の義務ではないため、状況によっては再発行を断られてしまうケースもあります。店舗側で領収書の控えが2枚あることで売上を水増しするなど不正がおきてしまう可能性もあるためです。
なお、インボイス制度では原則的に買手側から求められたら、売手側は適格請求書(インボイス)の発行と控えの保存が必要です。領収書が適格請求書に該当する場合も同様です。万が一紛失などで適格請求書に該当する領収書の再発行を依頼された場合は、保存している控えにもとづいて、再発行したことを明示した領収書を作成することで対処できます。取引を円滑に行っていくうえで、不正がおこらない対応を講じたうえで、領収書の再発行も検討してみてください。
なお、紙媒体の領収書を要件に従って、スキャナ保存をしている場合は、原本の破棄が可能です。
領収書の整理をしやすくするコツ
領収書の整理は、数多くある経理業務の中でも、特に後回しにされやすいものの一つでしょう。
しかし、後回しにして領収書をためてしまうと、その分領収書の整理はさらに大変になってしまいます。
そこで、少しでも領収書の整理を簡単に行うためのコツをご紹介します。
事業に関係ない領収書はすぐに捨ててもいい?
領収書を受け取ったら、本業に関係のない領収書は速やかに廃棄する方もいるでしょう。
特に個人事業主の方は、プライベートな領収書と事業経費になる領収書が混在しがちです。後で仕分けしようと思っても、記憶があいまいになることも考えられます。
もちろん、明らかに個人的な支出は、いくら領収書があっても事業の経費にすることはできません。
しかし、医療費の領収書は医療費控除の対象になります。健康診断の領収書もセルフメディケーションの特例の取組みの証明となります。国民健康保険料や国民年金保険料の領収書は、経費にはなりませんが社会保険料控除の対象です。
確実にプライベートな領収書は、内容をしっかりと覚えているうちに破棄してもかまいません。しかし控除などに使用できる可能性がある領収書も含まれている可能性があるなら、念のため確定申告までなくさないように保管をしておきましょう。
分け方を工夫する
事業規模が大きくなってくると、月ごとに分けるだけではなく、分け方を工夫することも必要でしょう。
年間を通じると領収書の枚数は多くなるうえに、場合によっては複数人で共有(社長、経理担当、税理士など)する機会が増えるためです。そのため、時系列だけでなく、内容での仕分けをすることがおススメです。
電子帳簿保存法の電子取引のデータ保存では、可視性の確保の要件に「検索性を確保すること」が要件に含まれています。つまり、領収書を電子的にやり取りをした場合、要件を満たして検索ができるように区分して保存しておく必要があります。
分け方の区分例
- 支払い手段別(現金、クレカ、振込など)
- 部門別
- 勘定科目別
- 取引先別
など、事業業態に応じて、整理がしやすい分け方を考えてみましょう。逆に、事業規模がそこまで大きくない個人事業主の場合は、最低限、電子取引のデータ保存の要件満たす方法でデータがすぐに見られる状態にしておくことを念頭に分けておけば良いでしょう。
「入力→保管」という順序がおすすめ
領収書を保管する前に、会計ソフトや経費ファイルに入力するという順序は、経費処理の効率を上げる効果が期待できます。
忙しい個人事業主は「とりあえず領収書保管してから、あとでまとめて入力しよう」という方も多いかもしれません。
しかし「保管」→「入力」の順序の場合、以下のような困った事態も考えられます。
- 前回どこまで入力したか確認の手間がかかる
- ダブり、漏れが生じやすい
- 時間がたって領収書の文字が読み取りにくくなり入力が困難になる
この順序で領収書を管理している方の多くは、領収書を溜め込まずに小まめに入力するようになります。
「入力するまで保管できない」状態なので、引き出しがレシートで溢れかえる前に入力を済ませたくなる効果が期待できるでしょう。
保管期間終了後の領収書の処分方法は?
保管期間が終了した領収書は、領収書の形態に応じて適切に処分する必要があります。
紙で保管している場合は、情報を読み取れないようにシュレッダーを利用した上で破棄する方法が一般的です。
しかし、大量の紙書類を裁断するには多大な時間を要する上に、シュレッダーの性能次第では目の粗さなどから書類の内容が判別できてしまう可能性もあります。
そんな時は、書類を引き取り溶解してくれる有料サービスも検討してください。こうしたサービスなら、溶解後に証明書が発行されるため安全性が高いといえるでしょう。
電子データの場合は、復元できないよう完全にデータを削除するなどの方法があります。
税法上の領収書保存期間は原則7年間ですが、税務調査に備えて領収書はできるだけ長く残しておくことが賢明といえます。
電子データであれば、スペースの確保が必要なく、理論上はいつまでも保管することが可能です。サーバの容量が逼迫した際でも、CD-ROMやDVDなどでバックアップを取っておくことができます。
まとめ
今回は、あらゆる事業者に関係が深い領収書の保管について取り上げました。
あらためて、当記事のポイントを振り返ります。
- 領収書の保存期間は原則7年(最短5年、最長10年ではあるが、あくまで例外的)
- 領収書の保存期間を守らないと、以下のリスクがある
- 経費計上できない
- 消費税が考慮されない
- 追徴課税や罰則が発生する
- 領収書の正しい保管は「紙媒体」と「データ保管」の状況に応じて、正しい方法を把握する
- 2023年から領収書の正しい保管方法について配慮すべきは以下の3点
- インボイス制度での領収書の扱い
- 電子帳簿保存法「電子取引のデータ保存」を順守
- 紙での原本の保管
- 日常でできる領収書保管の工夫は以下の通り
- 領収書の分け方を事業に応じて工夫する
- 順序は「入力→保管」を推奨
領収書は日常的に使う頻度が高いだけに、効率的のみながず適切に保管する必要があります。
適切な領収書の保管をすべきことは当たり前ではありつつも、事業スタート間もない方や事業規模が大きくない場合は、なるべく領収書の扱いに時間を取られたくないという本音もあるかと思います。
ぜひ当記事で領収書保管のキホンを知っていただき、ご自身の立場であれば「何に気をつければいいか」の目途をつけていただければ幸いです。
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この記事の監修者小林祐士(税理士法人フォース)
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