見積書、注文書、注文請書、納品書、請求書、全部まとめて解説!
2023/04/07更新

ビジネスにおける取引で用いられる書類にはさまざまなものがあります。例えば、見積書、注文書、請書(注文請書)、納品書、検収書、請求書などがありますが、そもそもこれらはすべて発行しなければならないものなのでしょうか。
また、発行することにどのような意味があるのでしょうか。2023年10月1日から開始されるインボイス制度や2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正での取引書類の対応で見直すことは?今回は、これらの書類を正しく運用するための基本的なルールや知識について解説したいと思います。
POINT
- それぞれの書類の意味を正しく理解することが重要
- 出さなければならないから出すのではなく、何のために出すのか再確認
- 取引契約書の作成で書類の簡素化を図ることも一つの選択肢
それぞれの書類の意味を確認してみよう
まずはそれぞれの書類の意味を正しく理解することが大切です。それでは順を追って解説していきたいと思います。
見積書
取引相手(買手側)に対して、売手側が提出する書類です。商品やサービスの対価がいくらになるのかを事前に知らせるための書類です。買手側はこの見積書を見て購入や契約を検討するため、ビジネスにおいては重要な書類と言っても過言ではないでしょう。
すなわち、見積書は出さなければならないから出すものではなく、ビジネスにおいて自社の商材を売り込む際の非常に重要なプレゼンツールと捉えましょう。
見積書が見にくいと、提供する商材が良いものだとしても、取引を検討している相手に対して悪い印象を与えてしまうこともあります。また、取引をするにあたって、社内で予算を確保するために見積書が必要な場合もあるでしょう。
そのため、見積書については、できる限りわかりやすく見やすい書式でまとめることを意識しましょう。
注文書
売手側が提示した見積書に対する発注の意味で、発注側(買手側)が作成するのが「注文書」です。発注書とも言います。注文書には、売手側に対してどのような商品やサービスを「いつまでに」「どのように」提供してほしいのかを明確に記載する必要があります。
また、繰り返し継続的に行われる取引や見積書とおりの発注になることが多い場合は、見積書兼発注書として同じ書面において、やり取りを行うことで運用する場合もあります。
請書(注文請書)
売手側は注文書を受け取ったら、注文を確かに受けたことを相手に知らせるために「請書(注文請書)」を発行します。これにより注文した側(買手側)も安心することができます。
商取引上は、注文書と注文請書が取り交わされたこの段階で契約が成立したとみなされます。
納品書
納品書は注文があった商品やサービスの納品をする時点で売手側が発行するものです。納品する物品に同梱する場合もあります。
検収書
受け取った商品やサービスに欠陥や不具合がないのかを確認した後、買手側が発行するのが検収書です。検収書を発行するとその取引は終了し、売手側から請求書が発行されることになります。
請求書
検収書を受け取ったら、売手側は正式に代金の請求書を発行します。請求書に記載した内容に沿って、買手側から代金が支払われます。
また、これらの書類には、正式に発行したことを証明するために、会社の場合は角印を捺印して発行することが一般的です。ただし、捺印がないからといって、取引が成立していないわけではないので、注意しましょう。
これらの書類はすべて出さないとならないの?
取引に必要なこれらの書類は、必ずしもすべて出さなければならないというわけではありません。実際、個人事業主や中小企業の場合は、これらの書類を一切使わず、お互いの信頼関係のもとすべて口頭での意思表示によって済ませてしまっているケースも少なくないようです。
ただ、これらの書類がないと、万が一取引先とトラブルが発生したときに、取引があったと証明することが非常に難しくなります。例えば売掛金などが発生した場合などは、注文書や発注書、検収書を受け取っておかないと、取引があったことの履歴や証明、代金の請求が難しくなる場合もあるため注意が必要です。
これらの書類は出さなければならないから出すのではなく、取引全体の安全性を「担保」するために出すべき書類なのです。どの書類を取り交わすかは、あらかじめ双方で確認をしておきましょう。
インボイスは発行側も受取側も保存義務がある
2023年10月1日からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されます。インボイス(適格請求書)を発行できるのは、登録をした適格請求書発行事業者だけです。
適格請求書発行事業者の場合、インボイスにあたる書類を発行した側(売手側)・受け取った側(買手側)、双方とも適切にインボイスを保存する必要があります。
具体的には、売手側として発行したインボイスの控えは、一定期間保管することが適格請求書発行事業者の義務となります。一方、買手側としてインボイスに該当する書類を受け取った場合、決められた保存期間の間はインボイスを保管をしないと仕入税額控除をうけることができません(消費税の簡易課税を選択している場合を除く)。
ちなみにインボイス制度が開始されるまでは、自身が発行した請求書の控えを作成しなければならないといった決まりはありません。ただし、2023年9月以前だとしても請求書の控えを作成した場合は、取引に関して作成した証憑書類として、定められた期間保管する義務があります。
いずれにしろ、証憑書類である請求書は、法律によって一定期間保管しなければならないと定められています。個人事業主、法人、副業をしているなどの理由で雑所得がある方、適格請求書発行事業者の方、それぞれ定められた期間の書類保存が必要です。
電子データで作成・受領した証憑書類は電子データでの保存が必要
商取引で作成・受領した書類の管理で、もう一つ気をつけなければならないのが2022年1月に施行された電子帳簿保存法改正です。
この電子帳簿保存法の改正によって、2022年1月1日以降、電子データとして受け取った請求書などの取引書類は、原則として紙に印刷して保存することができなくなりました。ただし、2年間の猶予(正確には宥恕)があるため、完全に電子的な保存が義務付けられるのは2024年1月1日からです。
請求書をはじめとした書類の電子的なやりとりは、電子帳簿保存法上の「電子取引」に該当します。電子取引による書類は、要件を満たす形で保存しなければいけません。
また、インボイス制度に対応するために請求書などの取引書類を請求書作成アプリで作成することもあるでしょう。アプリで電子的に作成した請求書などは、電子的に保存が必要になってくるのです。
いずれにしろ、猶予期間に電子的に作成・受け取った請求書などの取引書類の管理方法について検討・準備をしておきましょう。
これらの書類を省略する方法はあるの?
例えば特定の会社と継続的に一定量の商品やサービスをやり取りする場合は、その都度これらの書類をすべて発行すると大変なため、別途取引契約書を作成すると良いでしょう。その契約書の内容に毎月の発注量や検収方法、支払方法、金額などを明記しておけば、その都度書類を取り交わす手間が省けます。
納品と検収については、その都度適切に行うことが、取引の安全性の確保という観点から考えると依然として重要なことに変わりはありません。
そして、2023年10月1日から開始されるインボイス制度では、適格請求書発行事業者だとしても、すべての書類をインボイスとして作成する必要はありません。どの書類をインボイスとして作成するかをあらかじめ取り決めておくとよいでしょう。
電子帳簿保存法改正による2024年1月1日からの電子取引による書類の保存に関しては、自社で適切に保存することが必要です。
なお、紙に印刷された請求書を紙で受領した場合、書類の受取側(買手側)は、電子データでの保存は義務ではありません。請求書を受領する側と受け渡しについても取り決めておくとよいでしょう。
目まぐるしく変わっていく社会環境に柔軟に対応していけるようにビジネスにおいても準備していきましょう。
photo:Thinkstock / Getty Images
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