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控除とは?所得控除や税額控除、必要な手続きについて解説

監修者:岡本匡史(税理士)

2024/06/26更新

税金を計算する際、控除を受けられれば税負担の軽減につながります。毎年、確定申告や年末調整で該当する控除の手続きをしていても、控除について詳しくわからないという人も多いのではないでしょうか。

本記事では、所得控除や税額控除、青色申告特別控除の他、控除を受けるための手続きについて解説します。

控除は税金計算の際に一定の金額を差し引く制度

控除とは、税金の額を計算する際に一定の金額を差し引く制度のことです。所得税住民税の場合、控除には、所得金額から差し引く所得控除と、税金の額から直接差し引く税額控除の2種類があります。控除を活用できると税負担の軽減につながるので節税対策になります。

所得控除と税額控除は控除を受ける対象が異なり、所得控除と税額控除を受ける場合の所得税の計算方法は以下のとおりです。

所得税の計算方法

  1. 1. 収入から経費を引いて所得金額を求める
  2. 2. 所得金額から所得控除の金額を差し引いて課税所得金額を求める
  3. 3. 課税所得金額に税率を掛けて所得税額を求める
  4. 4. 所得税額から税額控除の金額を差し引いて納税額を求める

また、控除と関連する手続きとして税金の還付申告があります。控除が一定の金額を差し引くことを指すのに対し、還付は払いすぎた税金が戻ってくることです。なお、所得税と住民税では、受けられる控除の種類や金額が異なります。

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所得税の所得控除の種類

所得税の所得控除は15種類あり、控除の種類によって対象者や控除の金額が異なります。また、年末調整での申告が可能な所得控除と、確定申告が必要になる所得控除があります。

15種類の所得控除は、以下のとおりです。

所得控除の種類
所得控除の種類 対象者 控除の金額 年末調整での申告
社会保険料控除 健康保険料や国民年金保険料などの公的な保険料を支払った人 支払った社会保険料の額 対象
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済等掛金を支払った人 支払った掛金の額 対象
生命保険料控除 民間の生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った人 支払った保険料額を一定の計算式に当てはめて計算した金額(上限12万円) 対象
地震保険料控除 特定の損害保険のうち、地震による損害部分の保険料や掛金を支払った人 支払った保険料額を一定の計算式に当てはめて計算した金額(上限5万円) 対象
寡婦控除 合計所得金額が500万円以下の寡婦(ひとり親控除対象外の人) 27万円 対象
ひとり親控除 合計所得金額が500万円以下のひとり親 35万円 対象
勤労学生控除 給与収入が130万円以下の勤労学生 27万円 対象
障害者控除 納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族のいずれかが障害者の人
  • 障害者:27万円
  • 特別障害者:40万円
  • 同居特別障害者:75万円
対象
配偶者控除 所得税法上の控除対象配偶者がいる人
  • 配偶者が70歳未満:13万~38万円
  • 配偶者が70歳以上:16万~48万円
    (本人の所得により異なる)
対象
配偶者特別控除 所得48万円超133万円以下の配偶者がいる人 1万~38万円
(本人と配偶者の所得により異なる)
対象
扶養控除 以下を満たす扶養親族がいる人
  • 16歳以上
  • 年間所得48万円以下
  • 納税者と生計を一にする
  • 6親等以内の血族または3親等以内の姻族
  • 事業専従者ではない
  • 19歳以上23歳未満:63万円
  • 70歳以上で同居:58万円
  • 70歳以上で別居:48万円
  • 上記以外:38万円
対象
基礎控除 納税者本人の合計所得金額が2,500万円以下の人 合計所得金額により以下のとおり
  • 2,400万円以下:48万円
  • 2,400万円超2,450万円以下:32万円
  • 2,450万円超2,500万円以下:16万円
対象
雑損控除 災害や盗難などの被害を受けた人 以下の計算式で求めた金額の多い方
  • (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
  • (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
不可能
医療費控除
  • 医療費控除:年間の医療費が10万円(または総所得金額等の5%)を超える人
  • セルフメディケーション税制:特定医薬品の購入額が1万2,000円を超える人のうち、健康維持などのための取り組みを行っている人
  • 医療費控除:医療費の額から10万円(または総所得金額等×5%)を引いた額(上限200万円)
  • セルフメディケーション税制:特定医薬品購入額から1万2,000円を引いた額(上限8万8,000円)
不可能
寄附金控除 国や地方自治体、NPO団体など特定の寄附先に寄附をした人 寄附金の額(総所得金額等×40%が限度)-2,000円 不可能

なお、寄附金控除にはふるさと納税も含まれます。年末調整の対象者でふるさと納税の分しか控除を受けない場合は、確定申告ではなく、寄附先に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を送付するだけで控除を受けられるワンストップ特例での申請が可能です。

所得税の税額控除の種類

所得税の税額控除にはさまざまな種類があり、対象者や控除の金額が異なります。ここでは、代表的な4種類の税額控除について解説します。

4種類の税額控除は、以下のとおりです。

税額控除の種類
税額控除の種類 対象者 控除の金額 年末調整での申告
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除 一定の要件を満たすマイホームを、住宅ローンを利用して購入または増改築した人 住宅ローン残高を一定の計算式に当てはめて計算した金額 一部対象(1年目は確定申告のみ。2年目から年末調整で可能)
住宅耐震改修特別控除 一定の要件を満たす耐震改修を行った人 工事費用の額を一定の計算式に当てはめて計算した金額 不可能
配当控除 一定の要件を満たす株式や投資信託の配当を受け取った人(申告分離課税を選択した配当を除く) 原則として、配当所得の金額の10%または5% 不可能
政党等寄附金特別控除 政党や政治資金団体に対する寄附をした人 寄附金額を一定の計算式に当てはめて計算した金額 不可能

政党に対する寄附に関しては、政党等寄附金特別控除と所得控除の寄附金控除のどちらかしか控除を受けられません。どちらにも該当する寄附をした場合は、有利な方を選んで控除を受けましょう。

青色申告をすると青色申告特別控除を受けられる

青色申告で確定申告をする場合は、青色申告特別控除を受けることができます。青色申告特別控除とは、青色申告をする人の所得金額から、条件に応じて65万円、55万円、10万円を差し引く制度です。

青色申告を選択できるのは「不動産所得」、「事業所得」、「山林所得」のいずれかがあり、確定申告を行う年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書新規タブで開く」を提出した人です。なお、「所得税の青色申告承認申請書」の提出は一度のみで、翌年以降は必要ありません。

青色申告特別控除の金額ごとの条件は、以下のとおりです。

青色申告特別控除の金額ごとの適用条件
青色申告特別控除額
65万円 55万円 10万円
所得の種類 事業所得、事業的規模の不動産所得のいずれかがある人 事業所得、事業的規模の不動産所得、事業的規模ではない不動産所得、山林所得がある人
事前に必要な申請 青色申告をしたい年の3月15日までに所轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出
  • 原則、1月16日以後に開業(事業開始)の場合は、開業から2か月以内に申請書を届け出る
提出書類
  • 確定申告書
  • 青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 確定申告書
  • 青色申告決算書(損益計算書)
記帳方法 複式簿記 単式(簡易)簿記でも可
青色申告の期限 申告の対象となる年の翌年2月16日から3月15日
(期限日が土日祝の場合、翌平日までに申告)
青色申告の申告方法
  • e-Tax
    (※優良な電子帳簿保存をしている場合は、郵送・税務署へ持ち込みでの提出も適用)
  • 郵送
  • 税務署へ持ち込み
    (※優良な電子帳簿保存をしている場合を除く)
  • e-Tax
  • 郵送
  • 税務署へ持ち込み

控除を受けるための手続き

所得控除や税額控除を受けるためには、適切に手続きをする必要があります。ここでは、控除を受けるための手続きについて解説します。

年末調整

会社員などの給与所得者は、勤務先での年末調整で控除を行います。必要な書類を勤務先に提出すると、勤務先が本人に代わって、税金の計算や申告を行います。

ただし、医療費控除や寄附金控除などの所得控除、1年目の住宅借入金等特別控除や住宅耐震改修特別控除などの税額控除は、年末調整では手続きができません。年末調整で手続きができない控除を受ける場合は、勤務先から交付される源泉徴収票を基に確定申告をしましょう。

なお、年収2,000万円を超える人や年の途中で退職した人、副業の所得が20万円を超える人などは年末調整の対象にならないため、確定申告が必要です。

確定申告

個人事業主やフリーランスにとって、控除を受けるために必要な手続きは、毎年の確定申告です。確定申告では、年間の所得から控除を差し引き、納めるべき所得税の金額を計算して申告します。

また、確定申告ではすべての所得控除と税額控除の手続きが可能です。個人事業主やフリーランス、年末調整で手続きできない控除を受ける給与所得者などは、確定申告で控除が受けることができます。

控除を受けるため適切に確定申告をしよう

確定申告や年末調整で所得控除や税額控除を受ければ、税負担を軽減できます。年末調整では手続きができない控除を受ける場合は、適切に確定申告をしましょう。

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この記事の監修者岡本匡史(税理士)

岡本匡史税理士事務所新規タブで開く」の代表税理士。
1979年和歌山県生まれ。滋賀県立膳所高校、横浜国立大学経営学部卒業。城南信用金庫、公認会計士事務所勤務を経て、2012年に豊島区池袋にて岡本匡史税理士事務所を設立。
低価格で手厚いサポートを行うことを目標としており、特に開業前~開業5年目の法人・個人事業主の税務会計が得意。
毎年、市販の確定申告本や雑誌の監修にも携わっている。

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