造園業で会社設立するには?建設業許可の要件や費用を解説
監修者: 高崎 文秀(税理士)
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造園業で1件の請負代金が税込み500万円以上の工事を請け負う場合は、建設業許可の取得が必要です。本記事では、許可要否の基準や専任技術者の資格要件、法人・個人事業主の違い、許可申請の手続きの流れ、会社設立にかかる費用まで解説します。
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造園業は建設業の一種で500万円以上の工事には建設業許可が必要
造園業は建設業法上「造園工事業」に該当する業種であり、1件の請負代金が税込み500万円以上の工事を請け負う場合には、建設業許可の取得が必要になります。ここでは、許可が必要になる基準と、許可を取得するための要件を解説します。
500万円未満の軽微な工事のみなら許可不要
建設業法では、1件の請負代金が税込み500万円未満の「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、建設業許可を取得しなくても営業できると定められています。造園工事業の業種区分に含まれる工事内容としては、植栽工事・地被工事・景石工事のほか、地ごしらえ工事や公園設備工事などが挙げられます。造園工事は「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事」と定義されており、植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事などが具体例として挙げられています。
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※参照:国土交通省「建設産業・不動産業:許可の要件
」
建設業許可の要件は他業種と共通の枠組み
造園工事業で建設業許可を取得するための要件は、他の建設業と共通の枠組みで定められています。具体的には、経営業務の管理責任者(常勤役員等)を置くこと、専任技術者を営業所ごとに配置すること、自己資本500万円以上などの財産的基礎を有すること、破産手続きで復権を得ていない者や禁錮以上の刑に処せられてから5年を経過しない者などの欠格要件に該当しないことが要件として挙げられています。
これらは造園工事業に限らず他の建設業でも共通して求められる要件です。造園業特有の論点は専任技術者の資格要件にあり、次の見出しで詳しく解説します。
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※参照:国土交通省「建設産業・不動産業:許可の要件
」
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造園業特有の専任技術者要件
造園業で建設業許可を取得する際に特に重要になるのが、専任技術者の要件です。ここでは、専任技術者になり得る国家資格の種類と、造園工事業が「指定建設業」であることによる制約について解説します。
造園施工管理技士・造園技能士等の国家資格で専任技術者要件を満たす
専任技術者は、1級・2級造園施工管理技士や造園技能士(2級は実務経験3年以上が必要)などの国家資格を保有していれば要件を満たせます。国家資格がない場合でも、造園工事に関する指定学科を卒業したうえで、高校卒業後は5年以上、大学卒業後は3年以上の実務経験を積むか、学歴を問わず10年以上の実務経験を有していれば、専任技術者の要件を満たすことが可能です。
なお、専任技術者はいずれの経路で要件を満たす場合でも、営業所に常勤していることが求められます。複数の営業所を設ける場合は、営業所ごとに専任技術者を配置しなければならない点にも注意しましょう。
指定建設業のため特定建設業許可では専任技術者が国家資格者等に限定される
造園工事業は、建設業法上、特に専門性や施工技術が求められる「指定建設業」7業種の1つに位置付けられています。そのため、造園工事業で特定建設業許可を取得する場合、専任技術者になれるのは国家資格者または国土交通大臣による特別認定を受けた者に限定され、実務経験を通じて培った指導監督的実務経験のみでは要件を満たせません。
一般建設業許可であれば実務経験による要件充足も認められますが、下請契約の規模が大きくなり特定建設業許可が必要になる場合には、この専任技術者の限定要件に十分注意しておく必要があります。特定建設業許可は、下請代金の合計額が一定以上になる元請業者に義務付けられるものであり、造園工事業でも大規模な公共工事等を元請けとして施工する場合には避けて通れません。将来的に元請けとしての受注拡大を目指す場合は、専任技術者となり得る国家資格者の確保を早めに進めておくことが望ましいでしょう。
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造園業における法人・個人事業主の違い
造園業を始めるにあたっては、法人として会社を設立するか、個人事業主として開業するかも重要な検討事項です。個人事業主でも軽微な工事のみを請け負うのであれば開業できる一方、公共工事の入札に参加するには経営事項審査の受審が必要になります。
個人事業主でも軽微な工事のみなら開業できる
1件の請負代金が税込み500万円未満の軽微な工事のみを請け負う場合は、個人事業主のままでも造園業を開業できます。この点は本記事の冒頭でも触れたとおりですが、事業規模の拡大や建設業許可の取得を見据える段階になると、法人化を検討するケースが多く見られます。
個人事業主と法人とでは、社会的信用度や資金調達のしやすさ、税負担のしくみなどに違いがあり、事業規模が大きくなるほど法人としての信用力や体制が求められる場面が増えていきます。造園業として長期的に事業を継続・拡大していきたい場合は、早い段階から法人化を視野に入れておくとよいでしょう。
公共工事の入札には経営事項審査(経審)の受審が必須
造園緑化工事等の公共工事の入札に参加するには、経営事項審査(経審)の受審が必須です。経審は、発注者が入札参加者の経営状況や技術力を客観的に評価するための審査であり、建設業許可を受けた業者のみが対象となります。
そのため、無許可のままでは、そもそも経審を受けることができず、公共工事の入札にも参加できません。法人化して建設業許可と経審を取得すれば、公共工事の入札参加資格を得られるだけでなく、金融機関や取引先に対する信用力の向上にもつながります。経審の評価項目には経営状況や技術力、社会性等が含まれており、評価が高いほど入札可能な工事の規模も広がるしくみになっています。造園緑化工事の公共案件を受注していきたい場合は、許可取得後、早い段階で経審の受審も計画に組み込んでおくとよいでしょう。
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造園業で会社設立する際に押さえるべきポイント
造園業で会社を設立する際には、定款の事業目的を具体的に明記することと、建設業許可の要件を満たす営業所・車両・重機などの設備環境をあらかじめ整えておくことの2点を押さえておく必要があります。
定款の事業目的には「造園工事」を具体的に明記する
定款の事業目的には、「造園工事の請負及び施工」「植栽工事、地被工事、景石工事の請負」「造園資材、苗木、庭石等の販売」など、実際に手がける業務を具体的に明記する必要があります。「造園業」とだけ包括的に記載すると、建設業許可申請の審査で具体性不足として補正を求められる場合があるため注意しましょう。また、樹木の維持管理・剪定・伐採業務や造園資材の販売など、将来的に事業を広げる可能性がある業務もあらかじめ事業目的に含めておくと、後から定款を変更して登記し直す手間を避けられます。
以下の記事でも詳しく解説しています。
許可要件を満たす営業所・車両・重機などの設備環境を整える
建設業許可の要件として、契約締結や見積もり、入札等の実態を持つ独立した営業所を用意する必要があります。自宅の一室を営業所として使う場合でも、事業用のスペースとして独立性が確保されているかが確認されます。
また、許可要件そのものではありませんが、実際に造園工事を請け負うには、重機・車両・工具類の準備や、植木・芝生・庭石等の資材を仕入れる体制も欠かせません。これらの設備投資は初期費用としてまとまった金額になりやすいため、開業資金の計画にあらかじめ織り込んでおくことが大切です。重機や資材の保管場所についても、営業所や作業ヤードとして適切に確保しておく必要があります。
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造園工事業の建設業許可申請の手続きの流れ
造園工事業で建設業許可を申請する際の手続きの流れを、要件確認から書類準備、申請、許可証の交付後の更新まで、STEP1からSTEP3の3段階に分けて解説します。
STEP1|経営業務管理体制・専任技術者の要件確認と書類準備
STEP1では、経営業務の管理体制と専任技術者の要件を満たしているかどうかを社内で確認したうえで、申請に必要な書類を準備します。経営業務の管理体制については、常勤役員のうち1人が経営業務の管理責任者としての要件を満たしているかを確認し、専任技術者については、前述の国家資格や実務経験の要件を満たす人材が営業所に常勤しているかを確認しておきましょう。準備する主な書類は次のとおりです。
- 建設業許可申請書
- 経営業務の管理体制を証明する書類
- 専任技術者の資格・実務経験を証明する書類
- 財務諸表・残高証明書
- 定款の写し・登記事項証明書
これらの書類は、それぞれ経営業務管理責任者や専任技術者の要件を満たしていることを裏付けるためのものであり、記載内容に不備や証明資料の不足があると、審査が長期化する原因になります。申請前に必要書類を一覧化し、抜け漏れがないか複数人でチェックしたうえで提出すると安心です。
STEP2|都道府県知事または国土交通大臣へ申請する
STEP2では、営業所の所在地に応じて申請先が変わります。営業所が1つの都道府県内のみにある場合は、その都道府県知事に申請する知事許可となり、営業所が複数の都道府県にまたがる場合は、国土交通大臣に申請する大臣許可となります。
審査期間の目安は、知事許可がおおむね1か月程度であるのに対し、大臣許可はおおむね3か月程度とされており、許可の種類によって審査にかかる期間が大きく異なる点に注意が必要です。事業計画を立てる際は、この審査期間も見込んでスケジュールを組んでおきましょう。また、大臣許可を申請する場合は、営業所を管轄する地方整備局等を経由して申請書類を提出する形になるなど、知事許可とは提出先や手続きの流れが一部異なる点も押さえておく必要があります。
STEP3|許可証交付後は5年ごとの更新が必要
建設業許可の有効期間は5年間です。5年ごとに更新手続きを行う必要があり、有効期間の満了前に更新手続きを済ませないと、許可そのものが失効してしまいます。更新の時期を忘れてしまうと、軽微な工事以外を請け負えなくなり、受注中の案件や取引先との関係にも支障が出かねません。
更新の際にも、専任技術者や経営業務の管理体制など、当初の許可要件を引き続き満たしていることを確認する書類の提出が必要になるため、許可証の交付を受けた後は更新時期を管理し、日ごろから要件を満たす体制を維持しておくことが重要です。
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造園業の会社設立にかかる費用と資金計画
造園業で会社を設立する際には、一般的な会社設立費用に加えて、造園業ならではの費用要素も踏まえた資金計画を立てておく必要があります。ここでは、初期費用の内訳と、費用や手間を抑える方法を解説します。
初期費用の内訳
造園業で会社を設立する際の初期費用は、登録免許税や定款認証手数料といった一般的な法人設立費用に加えて、造園業ならではの費用がかかります。主な費用の内訳は次のとおりです。
- 建設業許可申請費用(行政書士に依頼する場合の報酬相場は16.5万〜23.1万円程度+法定手数料)
- 重機・車両の購入・リース費用
- 造園資材・苗木・庭石等の仕入費用
このほか、剪定枝や伐採木、掘削した土砂などの廃棄物処理費用も見込んでおく必要があります。造園業は重機や車両、資材の仕入にまとまった資金が必要になりやすい業種であるため、法人設立費用だけでなく、これらの設備投資や仕入にかかる費用まで含めた資金計画を立てておくことが欠かせません。
行政書士に許可申請を依頼するかどうかによっても初期費用の総額は変わるため、自分で申請するか専門家に依頼するかは、事業の立ち上げ時期の忙しさとのバランスを見ながら判断するとよいでしょう。重機や車両は中古品の活用によって初期費用を抑えられる場合もありますが、請け負う造園工事の内容によっては新品が必要になることもあるため、事業計画に応じて仕入方法を検討しましょう。
会社設立にかかる一般的な費用については、以下の記事でも詳しく解説しています。
会社設立の費用と手間を抑える方法
会社設立の手続きにかかる費用と手間をできるだけ抑えたい場合は、「弥生のかんたん会社設立」をぜひご活用ください。画面の案内に沿って必要事項を入力するだけで、定款をはじめとする会社設立時に必要な書類を作成できるため、初めて会社を設立する方でも手続きを進めやすくなります。特に、造園業のように許可申請や設備投資など多くの手続き・費用が重なる業種では、会社設立そのものにかかる手間をできる限り効率化し、事業の準備に時間を充てられるようにしておくことが重要です。
ただし、建設業許可の申請手続き自体は代行できないため、許可申請については別途、行政書士への依頼や自身での対応が必要になる点は誤解のないよう理解しておきましょう。
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事業規模に応じた許可の要否を見極めて造園業の会社設立を進めよう
造園業は、1件の請負代金が税込み500万円以上の工事を請け負う場合に建設業許可が必要になります。専任技術者の要件や法人・個人事業主の違い、申請の流れ、費用を踏まえ、自社の事業規模に合った形で会社設立の準備を進めましょう。
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よくあるご質問
造園業の開業に建設業許可は必要ですか?
造園業も、1件の請負代金が税込み500万円未満の「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、建設業許可を取得しなくても営業できます。ただし、500万円以上の工事を請け負う際には建設業許可の取得が必要になるため、事業の規模に応じて許可の要否を確認しておくことが大切です。詳しくは国土交通省「建設産業・不動産業:許可の要件」をご確認ください。
造園業の専任技術者になるには何が必要ですか?
専任技術者は、1級・2級造園施工管理技士や造園技能士(2級は実務経験3年以上が必要)などの国家資格を保有していれば要件を満たせます。国家資格がなくても、指定学科を卒業したうえで一定の実務経験を積むか、10年以上の実務経験があれば要件を満たすことも可能です。専任技術者は営業所に常勤している必要があります。詳しくはこちらをご確認ください。
造園業は個人事業主でも開業できますか?
1件の請負代金が税込み500万円未満の軽微な工事のみを請け負う場合は、個人事業主のままでも造園業を開業できます。ただし、事業規模の拡大や建設業許可の取得を見据える段階になると法人化を検討するケースが多く、個人と法人では社会的信用度や税負担の面で違いがあります。公共工事の入札を目指す場合は、経営事項審査の受審が必須になる点にも注意が必要です。詳しくはこちらをご確認ください。
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この記事の監修者高崎 文秀(税理士)
高崎文秀税理士事務所 代表税理士/株式会社マネーリンク 代表取締役。早稲田大学理工学部応用化学科卒。
都内税理士事務所に税理士として勤務し、さまざまな規模の法人・個人のお客様を幅広く担当。2019年に独立開業。現在は法人・個人事業者の税務顧問・節税サポート、個人の税務相談・サポート、企業買収支援、税務記事の監修など幅広く活動中。また一般社団法人CSVOICE協会の認定経営支援責任者として、業績に悩む顧問先の経営改善を積極的に行う。