給与明細書をエクセル(Excel)で作る方法は?【無料テンプレートあり】
更新

毎月発行する給与明細書は、従業員に支払う給与の内訳や計算根拠を示す重要な書類です。「もっと効率的に作成したい」と考えている担当者も多いでしょう。
本記事では、エクセルを使った給与明細書の作り方や記載する項目、メリットやデメリット、作成時の注意点などについて解説します。さらに、無料で使えるエクセルテンプレートも掲載しているので、ぜひ活用してください。
※Excelは、Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
今なら「弥生給与 Next」スタート応援キャンペーン実施中!
無料お役立ち資料【「弥生給与 Next」がよくわかる資料】をダウンロードする
給与明細書の作成・交付は会社の義務
給与明細書は、従業員に支払う給与額や手当、社会保険料や所得税などの控除額と、勤怠情報について記載した書類です。従業員を雇用する会社において、給与明細書の作成・交付は法律で義務付けられています。
所得税法第231条において下記のように定められています。
「居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。」
-
引用:e-Gov「所得税法第二百三十一条
」
つまり正社員、アルバイト、パートなど雇用形態にかかわらず、会社は毎月の給与支給時に給与明細書を作成し、従業員へ交付する義務があります。
給与明細書についてはこちらでわかりやすく解説しています。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
給与明細書に記載する項目
給与明細書の書式に決まりはなく、フォーマットは会社によって異なります。記載される項目は主に勤怠、支給、控除、その他の4つに大別されます。ここでは一般的な記載項目を紹介します。
一般的な給与明細書の例
勤怠
勤怠の項目には、給与の支給対象期間中の勤怠状況が記載されます。具体的には、出勤日数や欠勤日数、労働時間、有給休暇取得日数などです。
支給
支給の項目には、給与の基本給、各種手当、残業代といった項目別に、支給額が記載されます。なお、遅刻や早退、欠勤をした場合の控除金額も、次の控除ではなく支給の項目にマイナスで記載されます。これは、欠勤や遅刻、早退があった場合に支給額が減るためです。
各種手当についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
控除
控除の項目に該当するのは、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、源泉所得税、住民税など、給与から差し引かれる各種の金額です。この他にも、財形貯蓄や組合費、寮費など、従業員ごとに個別で控除される項目もあります。
控除についてはこちらでも詳しく解説しています。
勤怠、支給、控除の項目の他に記載する内容
勤怠、支給、控除の他に記載する内容として、振込支給額(差引支給額、手取り給与)や支給日、従業員の氏名などが記載されます。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
給与明細書をエクセルで作るメリット
給与明細書は、エクセルを使って作成することも可能です。エクセルで給与明細書を作るメリットは主に2つあります。それぞれについて詳しく解説します。
新たなコストをかけず手軽に使える
エクセルが既に会社のパソコンに入っていれば、新たなソフトの導入が不要のため、コストをかけず給与明細を作成できます。また、インターネット上には無料で配布されている給与明細書のテンプレートも多く、それらを活用することで作業負担を削減できます。このように、手軽に始められる点は、エクセルの大きなメリットの1つです。
自社専用にカスタマイズできる
給与明細書のフォーマットを自由にカスタマイズできるのも、エクセルのメリットです。エクセルでは項目の追加や削除などが容易に行えるため、専門的なスキルがなくても自社専用の給与明細書を作成できます。独自の手当や支給項目がある場合でも、柔軟に対応できるのが利点です。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
給与明細書をエクセルで作るデメリット
手軽さやカスタマイズ性の高さが魅力のエクセルですが、給与明細書を作成するうえではいくつかのデメリットも存在します。
作業が属人化しやすい
エクセルで給与明細書を作成する場合、作業が属人化しやすいというデメリットがあります。
例えば、担当者が独自のカスタマイズを行い、その後に異動や退職をした場合、引き継いだ従業員がエクセルのフォーマットをうまく扱えない可能性があります。「前任者がエクセルで作ったフォーマットの使い方がわからない」「設定されていた数式を誤って消したり、ずらしたりしてしまいフォーマットそのものが使えなくなった」という悩みも少なくありません。
給与明細書をカスタマイズする場合は、作成ルールを明確にして共有する、あるいは操作マニュアルを作成して後任者に引き継ぐなどの対策を講じましょう。
パソコンの紛失・故障の際にデータ紛失の恐れがある
エクセルで作成した給与明細書をパソコン本体に保存している場合、紛失や故障によってデータが失われるリスクがあります。また、誤ってファイルを削除したり、間違った内容で上書き保存したりすると、それまでの入力データがすべて失われる可能性があります。こうしたトラブルを防ぐためには、定期的なバックアップの実施が不可欠です。クラウドストレージやや外部メディアを併用し、複数の保存先を確保しておくと安心です。
他のシステムと連携しにくい
エクセルで作成した給与明細書のデータは、会計ソフトや勤怠管理システムなど、他の業務システムと連携しにくいというデメリットがあります。CSVデータに変換して取り込める場合もありますが、データ変換やフォーマット調整に手間がかかります。また、エクセル上で「給与計算用シート」と「明細書シート」を分けて運用している場合、計算結果を明細書へ反映させる作業に時間がかかるほか、手作業での入力や確認ミスが発生するリスクも高まります。その一方で、明細書シート単体で計算まで完結させる場合でも、他システムとのデータ連携がないと、勤怠や会計側への転記作業が発生し、同様に入力ミスや工数増大の原因となります。
これらの課題を解消するには、勤怠管理や会計システムとデータ連携できる給与計算ソフトの導入がおすすめです。データを一元管理できるため、計算結果の反映作業が不要になり、入力ミスを防止できるほか、法改正への自動対応によって運用負荷が軽減されます。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
給与計算をエクセルで行う方法
給与計算をエクセルで行う方法を解説します。エクセルで給与計算を行う場合、大きく分けて2つの方法があります。
1つ目は、給与明細書のテンプレート内に計算式を組み込み、必要なデータ(勤怠情報や個人情報など)を入力するだけで自動的に給与計算が完了する方法です。この場合、所得税や社会保険料の計算式を正確に設定する必要があり、法改正時には計算式の修正も必要になります。また、労働基準法で作成が義務付けられている賃金台帳は別途作成する必要があります。
2つ目は、給与計算自体は別のシートや計算ツールで行い、その結果を給与明細書のテンプレートに転記する方法です。この場合も、賃金台帳の作成は別途必要です。
なお、インターネット上で提供されている給与明細書のテンプレートを使用すると便利ですが、有料のものもあるため注意しましょう。テンプレートによって計算機能の有無や対応範囲が異なるため、自社の要件を満たすものを選ぶことが重要です。
1.書類を準備する
給与計算をするには、まず、給与計算の根拠となる書類を準備します。準備する書類は以下のとおりです。
勤怠記録
勤怠記録とは、タイムカードやクラウド式勤怠管理システムの記録などを指します。出勤・欠勤・始業・終業時刻などの労働時間に加えて、有給休暇や休憩時間がわかる記録を準備しておきます。給与明細書は、「何時から何時まで働いたか」が書かれた正確な記録を基に作成しましょう。
健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書とは、健康保険料や厚生年金保険料の計算に必要な書類です。年に1度の標準報酬月額の見直し手続き(定時決定)の他、社会保険に加入(資格取得)したときや、固定給などが変わり月額変更に該当した(随時改定)場合にも適用します。
住民税課税決定通知書
住民税課税決定通知書とは、従業員の毎月の住民税納付額が記載されている書類です。毎年5月ごろに、従業員が居住する市区町村から送付されます。
健康保険と厚生年金保険の保険料額表
健康保険と厚生年金保険の保険料額表は、それぞれの保険料を計算するために使用される表です。健康保険や厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額をそれぞれの保険料額表に当てはめて算出します。社会保険料の料率は定期的に改定されるため、最新の情報を確認しましょう。また、健康保険料率は、健康保険組合や事業所の所在地により異なります。
雇用保険料率表
雇用保険料率表とは、雇用保険の保険料を計算するための保険料率が記載されている表です。雇用保険料は、この雇用保険料率を月の給与総額に掛けて算出します。例年4月に料率が見直されるため、最新の雇用保険料率表を確認しましょう。
給与所得の源泉徴収税額表
給与所得の源泉徴収税額表とは、所得税および復興特別所得税を源泉徴収する際に使用される表です。税額は変わる可能性があるため、最新情報を確認しましょう。
2.各項目を集計・計算したらエクセルに入力する
勤務時間の集計や支給額と控除額などの計算を行い、エクセルに入力していきます。なお、ここで使うのは給与計算用のテンプレートであり、給与明細書作成用のテンプレートとは目的が異なります。給与計算用テンプレートでは、数字を入力すれば合計金額や控除後の支給額が自動計算されるものが多く、計算ミスを防ぐことができます。給与明細書テンプレートは、計算済みの金額を入力して明細として出力する用途であり、計算式は含まれていないことが一般的です。
勤怠欄
タイムカードなどを基に、各従業員の出勤日数や欠勤日数、労働時間、有給休暇取得日数などを勤怠欄に入力します。労働時間については、残業時間や深夜労働時間についても明記しましょう。
支給欄
支給欄には基本給の他、役職手当や家族手当、住宅手当といった各種手当の金額を入力します。通勤手当は一定の限度額まで非課税なので、間違えないように注意しましょう。また、残業手当、深夜労働手当、休日出勤手当については、所定の割増率で計算した金額を記載します。
通勤手当についてはこちらでも詳しく解説しています。
控除欄
健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料(40歳以上の場合)、源泉所得税、住民税の控除額を入力します。財形貯蓄や組合費など、会社独自の控除がある場合は、あわせて記載しましょう。
その他
初回作成時は、その他の情報として従業員の氏名や社員番号などを入力します。毎月の給与明細では、総支給額や振込支給額などの入力を行います。これらが自動計算される場合は、すべての項目入力後に間違いがないか金額を最終確認しましょう。
エクセルでの給与計算についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
給与明細書の無料エクセルテンプレート
弥生では、給与明細書の無料エクセルテンプレートをダウンロードできます。業種にかかわらず使いやすい基本的なフォーマットで、各項目の金額を打ち込めば合計金額を自動計算することが可能です。無料でダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
給与明細書をエクセルで作るときの注意点
エクセルで給与明細書を作成する際には、注意すべきポイントが2つあります。
計算ミスや漏れの対策をしなくてはならない
エクセルで給与明細書を作成する場合には、まず「明細書上で計算するか」「計算済みの金額を入力して明細書だけを作るか」を区別する必要があります。
明細書上で計算する場合は、計算式を設定して自動計算ができるようにすることで、計算ミスや入力漏れを防ぎ、作業をスムーズに進められます。ただし、担当者がエクセル操作に不慣れな場合や、数式の設定方法がわからない場合もあります。その際は、あらかじめ計算式が設定された給与計算用テンプレートを活用することをおすすめします。
また、計算済みの金額を入力して明細書だけを作成する場合は、入力ミスには注意が必要ですが、計算式の設定は不要です。
計算式をメンテナンスしなくてはならない
エクセルで給与計算を行う際、給与明細書内に計算式を組み込んでいる場合は、定期的にメンテナンスを行う必要があります。税率や保険料率などはしばしば改定されることがあり、また手当の変更や扶養親族の増減などでも控除額が変わる場合があるからです。
その一方で、給与計算を別のシートや計算ツールで行い、給与明細書には結果のみを表示する仕様の場合は、明細書自体の計算式メンテナンスは不要ですが、計算に使用しているシートやツールの数式は同様にメンテナンスが必要です。
いずれの方法でも、定期的なメンテナンスを実施しないと、計算結果に誤りが生じ、正しい給与計算ができなくなる恐れがあります。法令改正や従業員情報の変更があった際は、速やかに計算式を見直し、最新の内容に更新しましょう。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
給与明細書の作成には給与計算ソフトが便利
給与明細書はエクセルでも作成できます。エクセルは多くの企業で利用されているソフトのため、初期費用を抑えながら自社に合わせたカスタマイズがしやすいという利点があります。ただし、記入漏れや入力ミスが発生する可能性があり、勤怠管理など他のシステムと連携しにくい点がデメリットです。さらに、法改正などで税率や控除額が変更された場合、その都度、数式のメンテナンスが求められます。
給与明細書作成業務の効率化について思案されているのなら、ぜひ「弥生給与Next」の導入をご検討ください。「弥生給与Next」は給与計算から給与明細書の作成が自動で行えます。加えて、法改正にも対応し、勤怠管理システムや労務管理システムとの連携により、更新・転記の手間を大幅に削減できます。ぜひ自社に合った方法で、給与計算業務を効率的に進めましょう。
-
※ご契約のプランによって利用できる機能が異なります。
※本記事は2025年10月2日時点の情報を基に制作しています。
【無料で資料ダウンロード】「弥生給与 Next」でバックオフィス業務をスムーズに
「弥生給与 Next」で給与・勤怠・労務をまとめてサクッとデジタル化
弥生給与 Nextは、複雑な人事労務業務をシームレスに連携し、効率化するクラウド給与サービスです。
従業員情報の管理から給与計算・年末調整、勤怠管理、保険や入社の手続きといった労務管理まで、これひとつで完結します。
今なら「弥生給与 Next」 スタート応援キャンペーン実施中です!
この機会にぜひお試しください。
この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務
中小企業を経営する上で代表的なお悩みを「魅せる会計事務所グループ」として自ら実践してきた経験と、約3,000社の指導実績で培ったノウハウでお手伝いさせて頂いております。
「日本で一番喜ばれる数の多い会計事務所グループになる」
この夢の実現に向けて、全力でご支援しております。
解決できない経営課題がありましたら、ぜひ私たちにお声掛けください。必ず力になります。