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請求書に有効期限はある?支払期限を過ぎた場合の対処方法も解説

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請求書には有効期限があります。有効期限が過ぎて時効が成立すると、その請求書に基づいた請求ができなくなります。商品やサービスの代金は買手側に支払期限内に支払ってもらうのが一般的ですが、さまざまな理由から支払いが遅れることもあるため、請求書の期限について認識しておく必要があります。
ここでは、請求書の有効期限について説明したうえで、支払期限の設定方法や、支払期限を過ぎた場合の対処方法などについて解説します。

請求書の有効期限は支払期限の翌日から5年

請求書の有効期限は「支払期限に定められた日の翌日から5年」です。この有効期限を過ぎると時効が成立し、請求書を根拠とした請求はできなくなります。
請求書の有効期限は、2020年の民法改正によって5年に変更されました。民法改正前の2020年3月31日までに発行された請求書は有効期限が2年ですが、同年4月1日以後に発行された請求書は5年となります。

なお、請求書の送付後、支払いがなかったために請求書を再発行して送り直したとしても、有効期限が更新されるわけではありません。請求書の時効を中断するには、「催告」をする必要があります。催告の方法については後述します。

請求書の支払期限を明確に伝えるためのポイント

請求書の有効期限は「支払期限に定められた日の翌日から5年」であるため、請求書を発行する際は受領側(買手側)に支払期限を明確に伝えることが大切です。
支払期限を明確に伝えるためのポイントは下記のとおりです。請求業務をスムースに進めるための参考にしてください。

請求書に支払期限を明記する

支払期限を請求書に明記することは、受領側に期限日を明確に伝えるためのポイントです。
発行された請求書に支払期限が明記されていないと、受領側はいつまでに支払えば良いかがわかりません。その結果、未払いなどのトラブルが発生する可能性があります。
こうした事態を避けるためにも、請求書には支払期限を明記しておくことをおすすめします。

具体的な日付を見やすい位置に記載する

具体的な日付を見やすい位置に記載することも、支払期限を明確に伝えるポイントです。支払期限を設定し、請求書に記載したとしても、わかりにくい位置だと受領側に伝わらない可能性があります。
また、「支払期限は発行日の60日後」といった書き方をすると、受領側が具体的な期限日を勘違いしてしまうかもしれません。具体的な日付を設定し、見やすい位置に記載しましょう。

土日や祝日、年末年始を避ける

請求書の支払期限を明確に伝えるためのポイントの1つは、支払期限を土日や祝日、年末年始を避けて設定することです。
土日や祝日や年末年始などに支払期限を設定すると、金融機関の休業日と重なってしまう可能性があります。また、ゴールデンウィークは銀行などの金融機関でメンテナンスが行われやすく、入金処理が遅れるケースがあります。支払期限を設定する際は、金融機関が休業日でない日を確認しましょう。

請求書の支払期限の設定方法についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

請求書の支払期限を過ぎても支払いが確認できない場合の対処方法

請求書の支払期限を過ぎても支払いが確認できない場合は、正しい手順で対処する必要があります。
ここでは、対処方法を4つのステップに分けて解説します。

1. 自社の過失を確認する

支払期限を過ぎても支払いが確認できないときは、まずは自社側に過失がないかどうかを確認してください。「他社への請求と勘違いしている」「請求書が発送ミスなどのため届いていない」「振込先の口座連絡を間違っている」「支払期限の記載を忘れた(期限が間違って記載されていた)」といった可能性もあるためです。

自社の過失を確認せずに取引先に確認を行うと、自社に過失があった場合、信頼関係に影響を及ぼしかねません。まずは、自社に過失がないかどうかをしっかり確認することが大切です。

自社に過失があった場合は、速やかに対処する必要があります。発送ミスであれば発送のし直し、振込先を間違って記載した場合には取引先にその旨を連絡したうえで再発行するなどの対処を行いましょう。

2. 取引先に確認する

自社の過失ではないとわかった場合は、取引先に連絡して、支払いがないことを伝える必要があります。その際は、まずメールで連絡することがおすすめです。メールで連絡すれば確認した証拠が残ります。取引先の印象を損なわないよう、メールはていねいな文面で作成してください。
ここで取引先の担当に支払いや請求書に関しての状況確認を依頼すれば、多くの場合、速やかに支払いに応じてもらえるはずです。例として、取引先担当者の勘違いやケアレスミス、請求書のメールが迷惑メールに振り分けられていた、別の部署に請求書が届いていた、そもそも郵送事故などで届いていなかったなどが、原因の場合もあるでしょう。入金確認ができなかったら、まず、状況を確認することが大切です。

取引先への確認後も支払いが行われない場合は、担当者に再度連絡をして支払いを促したり、支払期限を再設定して伝えたりする必要があります。

3. 内容証明を送付する

取引先に交渉しても支払いに応じてもらえない場合は、「内容証明」を送付します。内容証明とは、通知の内容や通知日を郵便局に第三者として証明してもらえる制度です。裁判になった場合などに有効な証拠となります。

内容証明には、「本状到達後◯日以内に支払うよう請求する」といった具体的な支払期限を明記してください。

4. 支払督促を申し立てる

内容証明で指定した期日までに支払いが行われなかった場合は、裁判手続きへ移行する必要があります。
売掛金の回収などで利用される手続きのことを「支払督促」といいます。支払督促は手続きが比較的簡単で、申立手数料も通常訴訟の半額で済むというメリットがあります。相手が督促異議申立書を提出しない場合、最短4週間ほどで権利が確定します。

支払期限を過ぎても支払われない場合の対処方法についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

請求書の未回収の防ぎ方

請求書の未回収は事業の存続に影響を与えるため、防がなくてはなりません。未回収の主な防ぎ方には、下記のようなものがあります。

請求書を正しく管理する

取引先の未払いを防ぐためには、日ごろから請求書を正しく管理することが大切です。請求書を送付する取引先や請求内容は多岐にわたりますが、常に正確に管理しなくてはなりません。

請求書は、支払期限が近い順に保管しておくと管理しやすくなり、未回収を防ぐうえでも有効です。支払いが完了した請求書は未回収の請求書とは別に管理すると、支払状況が把握しやすくなります。

継続的に与信管理を行う

継続的に与信管理を行うことも、未回収を防ぐ方法の1つです。取引先に資金繰りなどの問題がなければ、未回収が起きる可能性は低くなります。反対に、何らかの問題があれば、未回収になる可能性があるということです。そのような問題は、継続的な与信管理によって把握しやすくなります。
与信管理によって取引先の信用力や将来性を把握し、問題点を認識した場合は取引の限度額や与信枠を見直すことをおすすめします。

請求書管理システムを導入する

未回収を防ぐには、請求書管理システムの導入がおすすめです。弥生の請求書管理システム「Misoca」には、「回収保証」「口座振替サービス」「入金管理」といった請求書管理に役立つサービスや機能が揃っています。

回収保証サービス(有償)

回収保証は、Misocaで発行した請求書に、売掛金の回収保証を付与できるサービスです。回収保証を付与すると、支払いの遅延や取引先の倒産などによって売掛金の回収ができなくなった場合、損害を補填します。

口座振替サービス

口座振替サービスは、取引先から回収する代金を、金融機関から口座振替によって集金できるサービスです。請求件数1件から利用することができ、審査もスムースです。

入金管理

入金管理を利用すると、レポートやステータス管理などにより請求業務を見える化できます。見積から請求、入金までのステータスを、帳票ごとに管理可能です。取引状況がひとめで把握できるため、未回収防止にもなるでしょう。

請求書の有効期限を中断する催告の方法

請求書の送付後に取引先から支払いが行われなかったために請求書を再発行しても、請求書の有効期限は延長できません。請求書の時効を中断するには、催告を行うことが必要です。
催告とは、債権者が債務者に債務の履行を請求することです。催告が行われると、一時的に時効の完成が阻止されます。

催告の方法については、特に決まりはありません。前項で解説した支払督促の申し立ては催告の方法の1つであり、口頭で行うことも可能です。
ここでは、支払督促以外の主な催告の方法もあります。詳細については法律の専門家にご相談することをおすすめします。

請求金額を支払う側に求められる対応

請求書を受領した側は、請求金額を支払期限までに支払う必要があります。しかし、設定された支払期限によっては期日までの対応が難しくなるケースがあるため、その場合は適切な対処が不可欠です。支払期限までの支払いが難しい場合の対応方法をケース別に解説します。

支払期限が短すぎる場合は延ばしてもらう

支払期限が短すぎる場合は、まずは発行側に期限を延長できないか相談することが大切です。交渉をすることで、支払期限を延ばしてもらえる可能性があります。

支払期限を過ぎた場合は速やかに連絡する

支払いを忘れてしまった場合や勘違いなどで支払期限を過ぎてしまったときは、速やかに発行側に連絡しましょう。謝罪するとともに支払いできる日も伝えることで、承諾してもらえる場合があります。

支払期限の記載がない場合は60日以内に支払う

受領した請求書に支払期限が記載されていない場合は、60日以内に支払いましょう。支払期限についての契約上の取り決めがない状態で、資本金1,000万円以下の事業者に資本金1,000万円超の事業者が、物品などの作成又は役務の提供を委託する際は「下請代金支払遅延等防止法」が適用されます。
同法では、下請事業者が役務を提供した日から60日以内、かつできるだけ早い時期に支払期限を定めるよう規定されています。そのため、できるだけ早く、遅くとも60日以内には支払いましょう。

経理をスムースに進めるため、請求書の有効期限を正しく理解しよう

請求書の有効期限は、2020年の民法改正によって5年に定められました。請求書を発行する側は、取引先に有効期限内に支払ってもらうためにも、支払期限を設けて確実に伝わるよう記載することをおすすめします。

支払期限内に支払いが行われなかった場合は、まず自社側に過失がないかを確認したうえで、取引先へ対応を求めることになります。未払いが起きると事業の存続にも影響するため、請求書管理システムを導入するなどして管理を徹底してください。請求書を受領した側は、支払期限が短い場合は発行側に交渉するなどして、なるべく期限内に支払えるようにすることが大切です。
請求書の有効期限や支払期限を正しく理解し、適切に対応すれば、発行側も受領側も経理をスムースに行うことができるでしょう。

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この記事の監修者小林祐士(税理士法人フォース)

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