請求書作成システムとは?メリット・デメリットと選び方を解説
監修者:小林祐士(税理士法人フォース)
2024/09/19更新
改正電子帳簿保存法や適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度)への対応に向けて、請求書の電子化や請求書作成業務の効率化を推進する企業が増えています。その中で多くの企業が導入を検討しているのが、請求書作成システムでしょう。
本記事では、クラウド上で請求書を作成できる請求書作成システムがどのようなものなのか、主な機能や導入のメリット・デメリットを紹介。自社に導入する際のシステムの選び方についても詳しく解説します。
請求書作成システムとは、請求書を作成・送付できるシステムのこと
請求書作成システムとは、請求書をパソコン上やクラウド上で作成できるシステムのことです。請求書システムの中には、Web上だけで請求書の作成から送付まで完結できるものもあります。
請求書作成システムは、請求書業務をWeb上で完結できるために、「Web請求書システム」や「電子請求書システム」などとも呼ばれています。
近年は、ペーパーレス化を推進する企業も増える中で、請求書などの書類の電子化が進みました。さらに、改正電子帳簿保存法やインボイス制度などの法令改正が続く中で、請求業務を法令に従って正確かつ効率的に対応しようとする動きが高まったこともあり、請求書作成システムを導入する企業が増えています。
請求書作成システムの種類
請求書作成システムには、どのような種類があるのでしょうか。請求書作成システムを大きく4種類に分けてご紹介します。
クラウド型システム
クラウド型システムは、その名のとおりクラウド上でシステムを利用する製品です。ユーザーは、製品提供者の管理するサーバー上にある専用アプリケーションへアクセスをして利用します。
オンプレミス型システム
オンプレミス型システムは、企業が自社サーバーにシステムを設置して運用するシステムです。
データ管理やセキュリティを自社で自由にコントロールしたい場合に適しています。
インストール型システム
インストール型システムは、パソコンへソフトウェアをインストールして利用します。
そのため、インターネットへの接続が不安定な環境でも利用可能です。また、データ管理やセキュリティを自社で自由にコントロールできる点も特徴です。
オープンソース型システム
オープンソース型システムとは、プログラムのソースコードが公開されているシステムを指します。カスタマイズ性に優れ、自社のニーズに合わせてシステムを構築できる点が特徴です。
請求書作成システムの主な機能
請求書作成システムは、製品によってさまざまな機能を搭載しています。ここでは、請求書作成システムの主な機能を見ていきましょう。
請求書の作成
請求書作成システムに共通している機能としては、システムに搭載されたテンプレートを使って請求書を作成する機能があげられます。この機能によって、取引内容や金額などの必要事項を入力するだけで請求書の作成が可能となります。
請求書情報のインポート
請求書作成システムには、Excelや既存の販売管理システムから、金額などの請求書情報を自動的にインポートする機能を搭載した製品もあります。この機能によって、請求書にデータを反映させる手間が省けます。
関連書類への変換
請求書と納品書の内容が同じであるため、フォーマットだけ変えて関連書類へ変換したいというニーズもあるでしょう。このような場合も、請求書作成システムなら変換機能で手軽に対応できます。
また、複数の請求書を、月ごとにまとめて合計請求書を作成する際も効率的に行えます。
請求書の送付
請求書作成システムの中には、作成した請求書を取引先へ送付する機能を搭載している製品もあります。送付方法はクラウド経由や電子メール送信などがありますが、製品によって可能な送信方法は異なるため、事前に確認をしておきましょう。製品によっては送付方法を個別に選べるため、各取引先のニーズに対応可能です。
請求書の保管・管理
請求書作成システムであれば、電子化された請求書を、ステータスやタグ付けしてシステム上に保管することもできます。紙ベースで保管するよりも検索が容易になり、さらに未入金アラートを搭載したシステムであれば支払期限の管理も可能です。
他システムとの連携
請求書作成システムが他システムと連携可能であれば、用途の幅が広がります。会計ソフトや販売管理システム、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)など、自社の既存システムと連携して請求書作成システムにデータを反映できる機能を持つ製品もあります。
入金管理・消込
入金の追跡・管理機能を搭載した請求書作成システムもあります。これらの機能を搭載したシステムであれば、入金状況をリアルタイムで確認できるため、キャッシュフロー管理に役立つでしょう。
また、金融機関との連携によって請求書の消込を自動化できる機能を利用できるシステムも便利です。
請求書作成システムを導入するメリット
紙の請求書は、手書きまたはパソコン(ExcelやWord)で作成・印刷することで発行できますが、その作業過程には、手計算によるミスや発行・発送時に手間や時間がかかるといった課題もあります。
請求書作成システムを導入すると、こうした課題を改善できるうえ、以下に紹介するようなさまざまなメリットが得られます。
請求業務を効率化できる
Web請求書システムであれば、請求書発行後も入金状況の確認や消込、未入金の際の督促までシステム上で対応できるシステムもあるため、請求業務の効率化に役立ちます。また、各種会計ソフトなどと連携することで、自動取込や自動仕訳が行えるため、請求後の記帳の手間も大幅に削減します。
請求書を管理しやすくなる
Web請求書作成システムで作成した請求書は、すべて電子データとしてシステム上で保存・管理することとなります。紙の請求書をファイリングして保管するよりも請求書の検索が容易になるうえ、納品や請求、入金に至るまでのステータスをシステム内で一括管理できる点はメリットです。
テレワークを推進できる
従来の紙の請求書の作成・発行業務では、印刷や押印、発送手続きのために担当者は出社しなければならず、テレワーク推進の課題となっていました。
その点、請求書作成システムであれば請求書関連業務をシステム上で完結できるため、テレワークをいっそう推進することが可能です。
法改正・制度変更に対応しやすい
請求書作成システムを利用すれば、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度にスムースに対応できるというメリットもあります。
改正電子帳簿保存法では、電子化した請求書について検索機能やタイムスタンプ機能、証跡管理機能などの保存要件を満たす必要がありますが、こうした要件に対応できる請求書作成システムもあります。
また、2023年10月にスタートしたインボイス制度では、記載項目が増えたり税金の処理が画一的ではなくなったりなど、請求関連業務が煩雑化しています。しかし、インボイス制度に対応した請求書作成システムを利用すれば、その負担を軽減できます。
ミスを減らせる
手書きやパソコン上(ExcelやWord)で作成した請求書には、計算ミスや未封入、請求漏れなどの人的ミスを引き起こすリスクがありました。
その点、入力欄に必要事項を入力したり、他システムのデータを自動的に反映したりできる請求書作成システムなら人的ミスを大きく減らせます。また、訂正削除や再発行をする場合も、システム上で手軽に対応可能です。
セキュリティを強化できる
請求書作成システムには、請求書の改ざん防止に役立つタイムスタンプ機能や、請求書の処理が規定ルールに従っていることを客観的に示す記録が残せる製品もあります。さらに、通信の暗号化といったセキュリティ対策もできるシステムを導入すれば、請求書関連のセキュリティはより強化できるでしょう。
情報を速やかに共有できる
クラウド型の請求書作成システムであれば、外出先でもスマートフォンやタブレット端末からシステムにアクセス可能です。使う人の場所を選ばないため、情報共有も速やかに行えます。
請求書作成システムを導入するデメリット
請求書作成システムを導入するにあたっては、注意すべき点がいくつかあります。請求書作成システムを導入する際のデメリットも確認しておきましょう。
導入・維持にコストがかかる
新たに請求書作成システムを導入・運用する場合は、相応のコストがかかる点には注意しましょう。
導入時にかかる初期コストだけでなく、運用に月単位または年単位でランニングコストがかかります。
システム障害があると停止する
請求書作成システムは、システム障害が発生したり定期メンテナンスが行われたりすると、一時的に製品を利用できなくなる可能性があります。そのため、期日ぎりぎりに請求書を作成する際などは、一定のリスクをはらんでいると捉えたほうがよいでしょう。
従業員による情報漏えいのリスクがある
請求書発行システムを導入すると、請求書の授受をWeb上で行うこととなります。運用が楽になるのはメリットである一方、従業員が請求書を送信する際に宛先を間違えてしまうリスクがないとはいえません。取引と関係のない第三者に請求書を送信してしまうと、情報漏えいへとつながるため注意が必要です。
導入に際し研修やサポートが必要
従来の請求書作成業務から大幅に業務フローが変更される場合は、導入する請求書作成システムの使い方や業務の進め方について、従業員に対する研修やサポートが必要です。
システムの安全な利用方法や、情報セキュリティリスクに関する学習機会も併せて提供することが望ましいでしょう。
請求書作成システムの選び方
自社に適した請求書作成システムを選ぶには、どうしたらよいのでしょうか。請求書作成システムは、以下に紹介する7つのポイントを押さえたうえで選ぶことをおすすめします。
法令改正への対応力で選ぶ
2022年1月の電子帳簿保存法改正により、請求書の電子データでの保存要件が変更され、2024年1月からは電子取引のデータ保存が完全義務化されています。請求書作成システムは、製品によって改正内容にどの程度対応しているのかが異なるため、最新の改正内容に対応できるシステムを選ぶことが大切です。
そこで注目すべきは、「JIIMA認証」の有無です。JIIMA認証とは、電子帳簿保存法の法的要件を満たすソフトウェアに対して付与される認証であり、認証された製品は認証ロゴを使用できるため、簡単に見分けることができます。請求書作成システムは、JIIMAの「電子帳簿ソフト法的要件認証」を取得している製品を選ぶと安心でしょう。
各種コストで選ぶ
請求書作成システムの導入・運用には、初期費用やランニングコストがかかります。自社に不要な機能を多く搭載したシステムを導入しても無駄なコストになりかねません。
検討時には、本当に必要な機能と不要な機能をしっかりと定義したうえで、自社に必要な機能を満たしたシステムを選びましょう。
他システムとの連携性で選ぶ
会計システムや販売管理システムなど、自社の既存システムとデータ連携できる請求書作成システムを選ぶこともポイントです。
システム同士のデータ連携が可能であれば、請求金額や取引先などの情報を自動入力できるようになり、確実かつ効率的です。
使いやすさで選ぶ
請求書作成システムは、操作性も確認したうえで、担当者にとって使いやすい製品かどうかも吟味しましょう。実際の操作性を確認するにあたっては、トライアルサービスを利用するのがおすすめです。
自社業務との適合性で選ぶ
自社の請求書作成業務に請求書作成システムを導入することで、確実に効率化や課題改善に役立つかどうかは重要なポイントです。
例えば、請求書の発行前に関係部署や役職者の承認が必要な場合は、書類作成だけでなく承認のワークフローも含めてシステム化したほうが、より効率的になる可能性があります。請求書作成システムは、自社に必要な業務のフォローを満たした製品を選ぶようにしましょう。
セキュリティの強さで選ぶ
請求書の改ざんや情報漏えいを防ぐためにも、請求書作成システムはセキュリティ対策が充実した製品を選ぶべきでしょう。システムのセキュリティの高さを比較する際は、「サーバーの監視体制は24時間365日対応しているか」「なりすましなどを防止するSSLの暗号化に対応しているか」などに着目してみてください。
サポートの手厚さで選ぶ
請求書作成システムは、トラブル発生時にも速やかに対応してもらえるよう、サポート体制の手厚い製品を選びましょう。
選定の際は、導入実績や顧客対応満足度のほか、「サポートデスクの受付時間」「電話のかかりやすさ」「メールの返信の速さ」「対応スタッフの専門知識のレベル」などもチェックします。
請求書作成システムは、弥生の「Misoca」をご検討ください
自社に合った請求書作成システムを導入すれば、請求業務効率化や人的ミスの軽減に大きく貢献するはずです。電子帳簿保存法やインボイス制度にもスムースに対応できるよう、この機会に自社の請求書関連の業務フローを見直してみてはいかがでしょうか。
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インボイス制度(発行・保存)・電子帳簿保存法に対応だから”あんしん”
Misocaは、インボイス制度に必要な適格請求書の発行に対応しています。さらに発行した請求書は「スマート証憑管理」との連携で、インボイス制度・電子帳簿保存法の要件を満たす形で電子保存・管理することが可能です。
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Misocaで作成した請求書データは、弥生会計、やよいの青色申告、弥生会計 オンライン、やよいの青色申告 オンライン、やよいの白色申告 オンラインなどの会計・確定申告ソフトに連携することが可能です。請求データを会計ソフトへ自動取込・自動仕訳できるため、取引データの2重入力や入力ミスを削減し、効率的な業務を実現できます。
この記事の監修者小林祐士(税理士法人フォース)
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