ふるさと納税で確定申告は必須?必要な場合のやり方を解説

2023/12/18更新

この記事の監修者岡本匡史(税理士)

ふるさと納税をすると、自己負担額を除いた寄附額が、所得税や住民税からの控除対象となります。さらに自治体によっては、返礼品が受け取れる場合もあります。ふるさと納税の控除は、年末調整で行うことはできません。ふるさと納税の申告は、確定申告が必要になるのでしょうか。

本記事では、ふるさと納税について、確定申告が必要な場合と不要な場合の違いを解説します。また、確定申告をする場合に必要な書類や、確定申告の手順についても併せて見ていきましょう。

ふるさと納税をしても確定申告は必須ではない

ふるさと納税は、自動的に控除が行われるわけではなく、所得税の確定申告をすれば「寄附金控除」として、所得控除ができます。ふるさと納税をしても、所得税の確定申告が必須というわけではありません。確定申告をすれば所得税や住民税の控除を受けられますが、申告しなかったとしても控除が受けられないだけで、罰せられることはないためです。

なお、ふるさと納税には、会社員など年末調整をしていて、通常は確定申告をしない方のために「ふるさと納税ワンストップ特例(以降、ワンストップ特例)」という制度があります。ワンストップ特例を適用すれば、確定申告をしなくても控除を受けられます。

確定申告なしで控除が受けられるワンストップ特例とは?

ワンストップ特例とは、確定申告をしなくても、ふるさと納税の控除を適用できる制度です。下記の条件を満たす場合に、ワンストップ特例を利用できます。

ワンストップ特例の適用条件

  • ふるさと納税以外に確定申告をしなければならない理由がない
  • ふるさと納税をした自治体が年間5か所以下

適用条件を満たす方が、ふるさと納税をした自治体にワンストップ特例に関する申請書である「寄附金税額控除に係る申告特例申請書新規タブで開く」を送付すると、確定申告をしなくても、翌年の住民税から控除されます。なお、ワンストップ特例を利用した場合、所得税からは控除されず、すべて住民税から控除されるのが特徴です。

ただし、ワンストップ特例は、確定申告をした場合には無効になります。ふるさと納税以外の理由で確定申告をすることになった場合には、ワンストップ特例の申請を既に対象自治体に提出していたとしても、ふるさと納税の寄附金控除も含めて、確定申告が必要になるので注意しましょう。

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ふるさと納税で確定申告が発生するケース

ふるさと納税について、確定申告をしないと控除が受けられないのは、どのような場合でしょうか。確定申告が発生する4つのケースを見ていきましょう。

そもそも確定申告が必要な方の場合

フリーランスなどの個人事業主であるなど、そもそも確定申告をする必要がある方の場合には、ワンストップ特例が利用できません。ふるさと納税の寄附金控除も併せて、確定申告をする必要があります。

確定申告の必要があるのは、下記のような方が該当します。

確定申告が必要な方

  • フリーランスなどの個人事業主で、事業所得や不動産所得などがある方
  • 給与所得者のうち、1年間の給与等が2,000万円を超えて年末調整ができない方
  • 複数箇所から給与を受け取っていて、年末調整をした給与以外の所得の合計が20万円を超える方

年末調整で適用できない控除を申告する(したい)場合

ふるさと納税以外の寄附金など年末調整で適用できず、確定申告をしないと適用できない控除があります。下記のような控除を利用する場合は、ふるさと納税も含めて確定申告が必要です。

確定申告で申告する必要がある主な控除

  • 医療費控除
  • 住宅ローン控除の初年分
  • ふるさと納税以外の寄附金控除
  • 雑損控除

ほかに、年末調整で漏れていた生命保険料控除や年末調整のあとに扶養家族が増減するなど変更があった場合にも確定申告を行います。そのような場合も、ワンストップ特例を利用できないため、ふるさと納税も含めて確定申告をする必要があります。

所得控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

ふるさと納税を6自治体以上にしている場合

ふるさと納税のワンストップ特例を利用できるのは、年間のふるさと納税先が5自治体以下の場合のみです。6自治体以上に寄附している場合には、確定申告を必要があります。

ワンストップ特例の申請をしていない場合

ふるさと納税のワンストップ特例を利用するには、寄附をした自治体宛に申請が必要です。原則的に寄附をした年の翌年1月10日までに、自治体に寄附金税額控除に係る申告特例申請書を提出することで適用されます。ワンストップ特例の申請をしていない場合や間に合わなかった場合は、ふるさと納税の寄附金控除を適用するために確定申告が必要になります。

ふるさと納税で確定申告をした方がメリットのあるケース

ワンストップ特例の条件を満たしていても、ふるさと納税の金額によっては、確定申告をした方が、メリットが大きいケースがあります。それは、ふるさと納税をした金額が控除限度額を超えていた場合です。

ふるさと納税の控除限度額は、年収や利用できる控除によって決まります。年収が多い人ほど限度額は高くなり、例えば年収300万円・独身なら2万8,000円、年収600万円・独身なら7万7,000円が目安です。控除限度額の詳細は総務省のWebサイトで確認してみましょう。

※総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について新規タブで開く

ふるさと納税で確定申告をする場合に必要な書類

ふるさと納税の確定申告をするときは、必要書類を揃えなければいけません。下記の書類を事前に用意しておきましょう。

寄附金控除証明書

寄附金控除証明書は、寄附をした自治体から送られてくる書類です。e-Taxで申告する場合は添付が不要ですが、紙の書類を提出する場合には添付が必要です。ただし、e-Taxで申告する場合でも、証明書を5年間保存しておかなければいけません。

なお、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用するのであれば、マイナポータル連携やふるさと納税ポータルサイトからダウンロードできるデータなどを利用して、ふるさと納税額を申告書に自動入力することも可能です。

確定申告書

確定申告書は、国税庁のWebサイトや税務署で手に入れられます。また、確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成すれば、書類を用意する必要はありません。

そのままe-Taxで申告書を送信する場合、印刷も不要です。e-Taxはスマートフォンにも対応しており、添付書類の省略もできるので、手間なく申告を完了できます。

事業所得がある方が確定申告をするのであれば、弥生のクラウド申告ソフトがおすすめです。「やよいの青色申告 オンライン」や「やよいの白色申告 オンライン」を利用すれば、確定申告書類が作成できるので、別で入手する必要はありません。

※国税庁「確定申告書等作成コーナー新規タブで開く

源泉徴収票

給与所得がある方など源泉徴収票がある場合は、用意しておきましょう。確定申告で添付は不要ですが、申告時に記載内容の転記が必要です。申告する年に複数の給与支払者から給与を受け取った方は、すべての源泉徴収票を用意しておいてください。

マイナンバーカード

確定申告書にはマイナンバーの記載が必要なので、番号がわかるものを準備しておきます。また、マイナンバーカードは、本人確認書類として、マイナンバーの番号の証明と身元確認書類としても使います。マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーの番号がわかる書類と身元確認書類をそれぞれ用意しましょう。

金融機関の口座情報

確定申告書には、所得税の還付を受けるための口座番号を記入する欄があります。ふるさと納税の還付を受けるために通帳やキャッシュカードなど、口座番号がわかるものを用意しておきましょう。なお、利用できるのは本人名義の口座のみです。ただし、所得税の納付が必要な個人事業主の場合、ふるさと納税の申告をしても還付されない方もいます。その場合、口座情報は不要です。

確定申告の手順

ふるさと納税の確定申告は、下記の手順で進めましょう。ぎりぎりになって焦ることがないよう、計画的に準備をしておくことが大切です。なお、ふるさと納税を確定申告する場合は、寄附金控除として申告します。寄附金控除とは、地方公共団体や一部のNPOなどに寄附をしたときに受けられる控除です。

1. 必要書類を揃える

寄附金受領証明書、源泉徴収票など、まずは確定申告に必要な書類を用意します。寄附金受領証明書や源泉徴収票は、確定申告期限よりも早く手元に届くため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。また、生命保険料控除や医療費控除など、ふるさと納税以外の申告をする場合は、該当の申告に必要な書類も併せて用意します。

2. 確定申告書を作成する

書類が揃ったら、確定申告書を作成します。パソコンやスマートフォンで利用できる確定申告書等作成コーナーやクラウド申告ソフトを利用するのが便利です。

確定申告書等作成コーナーでは、e-Taxでの申告はもちろん、作成した書類を紙に印刷することで、郵送または所轄の税務署の受付に提出することもできます。

確定申告書の作成方法については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

3. 確定申告をする

作成した確定申告書を提出します。提出方法は下記の3種類です。

確定申告書の提出方法

  • e-Tax
  • 郵送
  • 税務署の時間外収受箱への投函

e-Taxは、スマートフォンから行うこともできます。

確定申告書の提出方法については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

4. 所得税の還付または納税

申告内容に応じて、税金の還付または納税を行います。納税をする場合は、確定申告期限内に納付してください。還付の場合は、確定申告書に記入した金融機関の口座宛に送金されます。

確定申告の期限

確定申告の期間は例年、申告する年の翌年2月16日~3月15日です。該当の日付が土日・祝日に重なった場合は、次の平日になります。

例えば、2023年に行ったふるさと納税の確定申告期間は、2024年2月16日~3月15日です。3月15日の何時が期限なのかは、提出方法によって異なります。

提出方法別の確定申告の期限

  • e-Taxの場合:3月15日23時59分まで
  • 税務署へ持っていく場合:3月15日の翌開庁時間までに時間外収受箱に投函
  • 郵送の場合:3月15日の消印有効

郵送の場合、3月15日にポストに投函しても当日消印にならない可能性があるため、注意してください。なお、還付申告を行う場合に限り、申告する年の翌年1月1日から5年間の申告が可能です。

ふるさと納税の確定申告が必要かどうかチェックしよう

確定申告が不要になるワンストップ特例を利用していても、状況によっては改めて確定申告をしなければいけないケースがあります。ふるさと納税をしたら、ワンストップ特例で対応できるのか、それとも確定申告が必要なのかを確認しておきましょう。

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この記事の監修者岡本匡史(税理士)

岡本匡史税理士事務所新規タブで開く」の代表税理士。
1979年和歌山県生まれ。滋賀県立膳所高校、横浜国立大学経営学部卒業。城南信用金庫、公認会計士事務所勤務を経て、2012年に豊島区池袋にて岡本匡史税理士事務所を設立。
低価格で手厚いサポートを行うことを目標としており、特に開業前~開業5年目の法人・個人事業主の税務会計が得意。
毎年、市販の確定申告本や雑誌の監修にも携わっている。

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