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地震保険料控除でいくら戻る? 控除額の上限と確定申告のやり方

更新

確定申告が必要な個人事業主にとって、節税対策は重要です。地震保険料を支払っている場合、一定の条件を満たせば控除の対象になります。

ここでは、地震保険料控除の対象となる条件や控除額の上限、控除額の計算方法、申請手順について詳しく解説します。制度を理解し、利用できる控除を見落とすことがないようにしましょう。

地震保険料控除とは、所得控除の一種

地震保険料控除とは、所得税の額を算出する際、所得から一定の金額を差し引く所得控除の一種です。1月1日~12月31日の1年間で地震保険(地震・噴火・津波による被害を補償する保険)で支払った保険料に応じた金額を所得から控除するもので、控除を適用することで、結果的に納めるべき所得税や住民税の額が小さくなります。

会社員などの給与所得者は年末調整を通じて、個人事業主などは確定申告を行うことで、所得税住民税の税額を軽減できる可能性があります。

会社員などの給与所得者は年末調整を通じて、個人事業主などは確定申告を行うことで、所得税と住民税の税額を軽減できる可能性があります。

参照:国税庁|No.1145 地震保険料控除新規タブで開く

地震保険料控除の対象となる条件

地震保険料控除の対象となるのは、保険契約者自身、もしくは保険契約者と生計を一にする配偶者や親族が所有し、常時住居として使用している建物や家財を保険の対象とする地震保険契約です。

特に重要となるのは、居住用の建物であることです。実際に居住していることが条件であり、別荘や空き家はその条件を満たさないため、対象外となります。また、店舗や事務所などの商業施設も地震保険料控除の対象には含まれません。

地震保険料控除の対象者は、保険料を支払った保険契約者です。たとえば、夫婦で共有している建物については、保険料を支払った方が控除の対象となります。

参照:国税庁|No.1146 地震保険料控除の対象となる保険契約新規タブで開く
参照:国税庁|No.1145 地震保険料控除新規タブで開く

火災保険は対象外!ただし例外も

2006年(平成18年)の税制改正により、火災保険を含む損害保険料控除は廃止されました。そのため、火災保険は地震保険料控除の対象外となっています。ただし経過措置として、以下の要件をすべて満たす長期損害保険契約については地震保険料控除の対象となります。

  • 保険(共済)の開始日が2006年(平成18年)12月31日以前である
  • 保険(共済)期間が10年以上で、満期返戻金などがある
  • 2007年(平成19年)1月1日以後、その保険契約を変更していない

参照:国税庁|No.1145 地震保険料控除新規タブで開く

地震保険料控除の上限額

地震保険料控除の上限額は、所得税における控除額の上限は最大5万円、住民税では最大2万5,000円です。

以下では、所得税と住民税それぞれの控除額の計算方法について解説していきます。

所得税の控除額の計算方法

所得税の控除額は、以下の表に基づいて定められます。

区分 年間の支払保険料の合計 控除額
(1) 地震保険料 50,000円以下 支払金額の全額
50,000円超 一律50,000円
(2) 旧長期損害保険料 10,000円以下 支払金額の全額
10,000円超~
20,000円以下
支払金額×1/2+5,000円
20,000円超 15,000円
(1)・(2) 両方がある場合 (1)、(2)それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高50,000円)

※引用:国税庁|No.1145 地震保険料控除新規タブで開く

注意すべき点として、地震保険料と旧長期損害保険契約で上限額が異なります。地震保険料の上限額は最大5万円、旧長期損害保険契約の上限額は1万5,000円です。また、両方の契約がある場合でも、控除額の合計は最大で5万円となります。

住民税の控除額の計算方法

住民税の控除額は、以下の表に基づいて定められます。

区分 支払った保険料の合計額 地震保険料控除額
(1) 地震保険料 50,000円以下 支払った保険料の1/2
50,001円以上 25,000円
(2) 旧長期損害保険料 5,000円以下 支払った保険料の全額
5,001円~15,000円 支払った保険料の合計額×50%+2,500円
15,001円以上 10,000円
(1)・(2) 両方がある場合 (1)、(2)それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高25,000円)

引用:葛飾区|住民税の地震保険料控除新規タブで開く

所得税同様、地震保険料と旧長期損害保険契約で上限額が異なります。地震保険料の上限額は最大2万5,000円、旧長期損害保険契約の上限額は1万円です。また、両方の契約がある場合でも、控除額の合計は最大で2万5,000円となります。

地震保険料控除でいくら戻る?税金額の計算例

地震保険料控除によってどれだけ納める税金が少なくなるかは、個人の所得によって異なります。ここでは、具体例として、所得(売上金額から経費などを差し引いた額)が400万円のケースを紹介します。基礎控除のみが適用される場合と、基礎控除に加えて地震保険料で2万円の控除が適用される場合を比較するのでご覧ください。

まず、基礎控除のみが適用される場合の所得税(復興特別所得税を含む)、住民税、健康保険料、および合計金額は以下のとおりです。

  • 所得税額(復興特別所得税含む):193,000円
  • 住民税額:297,000円
  • 国民健康保険料:322,000円
  • 合計:812,000円

次に、地震保険料2万円が控除される場合の所得税(復興特別所得税を含む)、住民税、健康保険料、および合計金額は、以下のとおりです。

  • 所得税額(復興特別所得税含む):191,000円
  • 住民税額:295,000円
  • 国民健康保険料:322,000円
  • 合計:808,000円

よって上記の例では、地震保険料控除が適用されることによって、納める所得税が2,000円、住民税が2,000円、合計4,000円少なくなります。なお、住民税については翌年の税額に反映されます。

ご自身の所得に近い条件で税額を計算したい場合は、「個人事業主のかんたん税金計算シミュレーション」をご活用ください。地震保険料のほかにも、社会保険料控除扶養控除などを設定すると、税額の目安が瞬時にわかります。

参照:国税庁|No.2260 所得税の税率新規タブで開く
参照:東京都主税局|個人住民税新規タブで開く

確定申告で地震保険料控除を受ける方法

個人事業主が地震保険料控除を受けるためには、確定申告書に控除の内容を記入する必要があります。地震保険料控除を申請するための具体的な手順について解説していきます。

1. 必要書類を準備する

地震保険料控除を申請するためには、地震保険の支払金額や控除が受けられることを証明する書類が必要です。この書類は「保険料控除証明書」と呼ばれます。保険料控除証明書は、一般的に毎年10月以降に保険会社から送付されます。保険契約をした初年度は、保険証券と共に送付されることもあります。いずれにしても、確定申告の際必要な書類なので、受け取ったら大切に保管してください。

保険料控除証明書を紛失してしまった場合でも、保険会社に依頼すれば再発行が可能です。確定申告の期限までに必ず準備してください。なお、電磁的記録印刷書面(電子証明等に記録された情報の内容と、その内容を記録した2次元コードがある書面。)でも控除申請は可能です。

参照:国税庁|No.1145 地震保険料控除新規タブで開く

2. 控除額を計算する

地震保険料控除額を計算する際には、上述の表を参考にして求めてください。また、保険料控除証明書には、支払った保険料と、それに対する控除額が明記されているのが一般的です。

注意点として、複数年分の保険料を一括で払った場合は、その金額を各年分に分けて計算します。たとえば、3年間分の保険料として6万円を一括で支払った場合、1年分は2万円となり、その金額を基に地震保険料控除を計算します。

また、地震保険料控除に該当する契約と旧長期損害保険に該当する契約がそれぞれある場合、それぞれの控除額を合算します(最大50,000円まで)。ただし、ひとつの保険契約が地震保険料控除と旧長期損害保険の両方に当てはまる場合は、どちらか一方の保険料のみを選択して控除額を計算してください。

3. 確定申告書に記載する

控除額が計算できたら、それを確定申告書に記載します。

第一表では、「所得から差し引かれる金額」にある「⑯地震保険料控除」欄に控除額を記入します。

確定申告書 第一表(所得から差し引かれる金額)

※国税庁:所得税の確定申告新規タブで開く

第二表でも、「⑯地震保険料控除」欄に同じ金額を記入します。地震保険料と旧長期損害保険料に分かれているので、該当する箇所に記入してください。

確定申告書 第二表(保険料控除等に関する事項)

※国税庁:所得税の確定申告新規タブで開く

他の項目も記入したら、保険料控除証明書を添付して、確定申告書を窓口へ持参もしくは郵送、またはe-Taxで提出して完了となります。

控除制度の活用で、賢く節税しよう

地震保険料控除は、個人事業主や給与所得者が地震保険に支払った保険料を一定額まで所得控除として申請できる制度です。所得税の控除額は上限が5万円、住民税の控除額は上限が2万5,000円です。

ただし、地震保険料控除を含めた所得控除は自分で申告しないと適用されない仕組みになっています。さらに、確定申告で申告するためには適切な書類の準備が必要です。賢く節税するために、地震保険料控除を含めた所得控除をしっかりと活用しましょう。

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この記事の監修者奥 典久(奥典久税理士事務所)

奥典久税理士事務所 代表

簿記専門学校で税理士講座講師として勤めたのち、会計事務所で勤務。その後独立し、奥典久税理士事務所を開業。相続(贈与)対策や事業承継コンサルティング経営、財務コンサルティングから各種セミナーなど、幅広く税理士業務に従事。

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