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損益通算とは?行った方がいい理由と損益通算ができる範囲を解説

監修者:田中卓也(田中卓也税理士事務所)

2023/07/14更新

事業や不動産投資などで損失が出た場合は、確定申告の際に損益通算を行うことで、最終的に納める税金の額を小さくできることがあります。

ここでは、損益通算の仕組みや損益通算ができる範囲の他、よくある5つのケースにおける損益通算の方法をご紹介します。

損益通算は、同一年分の利益と損失を合算すること

損益通算とは、同一年分の利益と損失を合算することをいいます。会社勤めをしていた人が年の途中に起業し、その年の事業は赤字だった場合、給与所得のプラスと事業所得のマイナスを合算することが可能です。

損益通算を行うと、その分、課税対象になる利益が減るので、納める税金の額が小さくなります。ただし、損益通算には一定のルールがあり、すべての所得について合算できるわけではありません。例えば、株式投資の損失を給与所得から差し引くことは認められていません。

損益通算ができる所得とできない所得

損益通算ができる範囲については、細かくルールが定められています。損益通算ができる所得とできない所得を確認していきましょう。

損益通算ができる所得

まず、何らかの損失が出た結果、赤字となった場合に、他の所得と損益通算ができる所得は、以下の4つの所得に限られます。

損益通算ができる所得の種類

  • 不動産所得:土地や建物の貸付などによる所得
  • 事業所得:各種事業を営むことによる所得
  • 譲渡所得:土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによる所得
  • 山林所得:山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡したりすることによる所得

ただし、これらの所得の赤字であっても、一部損益通算できないものがあります。不動産所得の赤字と給与所得は、原則として損益通算が可能ですが、赤字を招いた損失の内容によって他の種類の所得との損益通算は認められない場合があります。次に挙げる損失の金額は損益通算ができません。

損益通算ができない不動産所得の損失

  • 別荘等の生活に通常必要でない資産の貸付けに関わるもの
  • 不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入した土地等を取得するために要した借入金の利子に対応する部分の金額
  • 2021年以降の各年において、国外中古建物から生じた不動産所得の損失のうち、当該建物の耐用年数を「簡便法」等により計算した減価償却費に相当する部分の金額

損益通算ができない譲渡所得の損失

  • 生活に通常必要ではない資産(別荘、ゴルフ会員権など)の譲渡によるもの
  • 申告分離課税の株式等
  • 土地建物等 
  • 事業所得や不動産所得についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

損益通算ができない所得

所得の中で損益通算ができない所得は、以下のとおりです。

利子所得、退職所得

利子所得と退職所得は、そもそも赤字になることがありません。そのため、損益通算の対象にはなりません。

配当所得、給与所得、一時所得、雑所得での損失

配当所得や給与所得、一時所得、雑所得は赤字になることはありますが、「赤字があっっても0とみなす」という規定があるため、他の種類の所得との損益通算はできません。

同じ性質の所得の範囲内でのみ損益通算ができる損失

損失の内容によって、同じ性質の所得の範囲内でのみ損益通算が可能なものがあります。それぞれ確認していきましょう。

申告分離課税の株式等の譲渡で出た損失

申告分離課税の株式等の譲渡で出た損失は、株式等の譲渡以外の譲渡所得との損益通算はできないのが原則です。また、株式等の中でも、上場株式等と一般株式等の間では、原則として損益通算ができません。ただし、特例として、上場株式等にかかる損失については、申告分離課税を選択した上場株式等の配当等にかかる配当所得と利子所得との損益通算をすることが認められています。

先物取引による雑所得の損失

FXなどの先物取引での所得は、雑所得の中で「先物取引に係る雑所得等」の扱いになります。先物取引などで出た損失は、先物取引に係る雑所得等以外との損益通算はできません。

土地建物等の譲渡による損失

土地建物等の譲渡による損失も、原則として、土地建物等の譲渡所得以外の譲渡所得との損益通算はできません。ただし、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けられる場合を除きます。

ケース別・損益通算の方法

続いては、よくある5つのケースについて、損益通算ができる範囲や方法をご紹介します。

株で損失が出た場合

株(上場株式)での損は、「申告分離課税の株式等の譲渡所得の赤字」となります。給与所得や事業所得、不動産の譲渡所得などとの損益通算はできませんが、他口座での株式や債券、投資信託の譲渡所得との損益通算が可能です。ただし、一般株式等の譲渡所得との損益通算はできません。

上場株式の配当所得がある場合は、配当所得の申告方法として「申告分離課税」を選択すれば、赤字の分を配当所得の金額から控除することができます。なお、損益通算してもまだ赤字の場合は、確定申告を行うことで3年間損失を繰り越すことが可能です。

  • 投資信託と確定申告の関係についてこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

FXで損失が出た場合

FXでの損は、「先物取引に係る雑所得等の赤字」になります。給与所得や事業所得、不動産の譲渡所得、株式の譲渡所得などとの損益通算はできませんが、他口座でのFX取引や取引所商品先物取引、取引所金融商品先物取引で発生した損益金との通算が可能です。なお、損益通算しても赤字の場合は、確定申告を行うことで3年間損失を繰り越すことができます。

  • FXと確定申告の関係についてこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

アパート経営が赤字になった場合

アパート経営での赤字は、「不動産所得の赤字」になります。賃貸マンションや賃貸アパート経営による不動産所得の赤字は、事業所得や給与所得との損益通算が可能です。なお、株式の譲渡所得や先物取引に係る雑所得等との損益通算はできません。

また、上記のとおり、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入した土地等を取得するために要した借入金の利子に対応する部分の金額は損益通算の対象とならないほか、さらに2021年分以後については、国外中古建物から生じた不動産所得の損失のうち、当該建物の耐用年数を「簡便法」等により計算した減価償却費に相当する部分の金額はなかったものとみなす、という規定が追加されています。

  • 不動産収入とみなされるものの範囲や確定申告のやり方についてはこちらの記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。

起業1年目で赤字になった場合

年の途中で起業した場合、会社に勤めていた分の所得は「給与所得」、起業後の所得は「事業所得」になります。事業での赤字は「事業所得の赤字」となり、給与所得や不動産所得と損益通算できます。なお、株式の譲渡所得や先物取引に係る雑所得等との損益通算はできません。

1年目が黒字、2年目が赤字だった場合は、1年目に青色申告を行っており、2年目も青色申告を行うなら、2年目の赤字分を前年の黒字分と合わせて計算し、すでに納めた所得税の還付を受ける「純損失の繰り戻し」も可能です。

  • 青色申告についてこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

マイホームの売却で損失が出た場合

不動産の売却損は、「不動産等の譲渡所得の赤字」となり、土地建物等の譲渡所得以外の所得と損益通算できないのが原則です。ただし、マイホームの売却の場合は特例が設けられています。

マイホームの売却の特例

マイホームの買換えで損失が出た場合

2023年12月31日までにマイホーム(旧宅)を売却し、新たにマイホーム(新宅)を買った場合で、旧宅の売却損が発生したときは、旧宅の所有期間や床面積といった一定の要件を満たしていれば、損失分をその年の給与所得や事業所得などと損益通算できます。

売却のみの場合

マイホームを買い換えない場合、売却したマイホームの所有期間や住宅ローンの残債が残っているなど、一定要件を満たし、その売却が親族に対するものでないなどの「特定譲渡」の要件を満たしていれば、損失分を他の種類の所得と損益通算できます。

なお、事業の赤字を手持ちの土地やマイホームを売却して補填した場合は、「起業1年目で赤字になった場合」と同じ事業所得の赤字との損益通算なので、土地やマイホームの売却益(不動産の譲渡所得)との損益通算が可能です。

損益通算するには確定申告が必要

不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得で赤字が出た場合は、損益通算をすることで、納める税金が少なくなることがあります。ただし、損益通算をするには、確定申告をしなくてはいけません。例えば、事業が赤字で確定申告をする必要はなくても、確定申告をすることで損益通算や損失の繰越控除が適用され、納める税金が少なくなるケースもあります。

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この記事の監修者田中卓也(田中卓也税理士事務所)

税理士、CFP®
1964年東京都生まれ。中央大学商学部卒。
東京都内の税理士事務所にて13年半の勤務を経て独立・開業。
従来の記帳代行・税務相談・税務申告といった分野のみならず、事業計画の作成・サポートなどの経営相談、よくわかるキャッシュフロー表の立て方、資金繰りの管理、保険の見直し、相続・次号継承対策など、多岐に渡って経営者や個人事業主のサポートに努める。一生活者の視点にたった講演活動や講師、執筆活動にも携わる。

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