社宅制度はどれだけおトク? 節税メリットを考える
2021/03/31更新

この記事の執筆者五島洋

生活コストのなかでも、もっとも負担が大きいのが住居費。実は法人で賃貸物件を契約し、役員・従業員に貸与する社宅制度にすれば、節税メリットも大!その正しい活用法、節税効果を最大限に引き出すための計算法、注意点などについて解説します。
POINT
- 会社の家賃負担分は経費にでき、役員や従業員の所得税、住民税、社会保険料負担も抑制できる
- 従業員から一定額の家賃を受け取ることが条件になる
- 固定資産税の課税標準額を基準に計算すれば、かなりの節税効果あり!
住宅手当を支給するよりも、会社、役員・従業員ともにメリットは大きい
事業を法人化するメリットとして、節税の選択肢が広がることが挙げられます。そのなかでも、効果が高いもののひとつとして私がクライアントにもお勧めしているのが、社宅制度の導入です。
社宅制度とは、会社が契約者となって、所有または賃貸している居住用物件を、役員や従業員等に貸与するものです。
単純に、会社が役員や従業員の家賃を補助するなら、住宅手当を支給する方法もありますが、比較した際の、社宅のメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 住宅手当よりも、従業員の節税メリットが高いため、福利厚生の充実をアピールできる
- 会社負担分の家賃については、経費なので給与としてみなされず、課税されないため、役員/従業員は、所得税および住民税の節税効果がある。
- 社会保険料負担(役員・従業員および会社)を抑えられる
ただし、上記のように給与として課税されないためには、役員や従業員から1ヵ月あたり一定額の家賃(賃貸料相当額)以上を受け取る必要があります。
また、会社契約になるので、敷金礼金なども会社負担になるので、従業員にはメリットがあるといえるでしょう。
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手間をかけて計算すれば、本人負担10%程度ですむ場合も
では、いくら家賃を徴収すればいいのか。
税法上、家賃の徴収額の計算には2つの方法があります。
1つは、賃貸料相当額の50%以上を徴収する方法です。
計算の手間がいらず、一般的に税務上のリスクのない方法として、会社の社宅規定などでも、家賃の半額を本人負担という形でルールを定めているケースがよく見られます。
つまり、家賃が10万円ならば5万円が会社負担、5万円が本人負担となります。
2つめは、以下3つの計算をし、その合計額を求める方法です。
- 1.その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
- 2.12円×(その建物の総床面積㎡/3.3㎡)
- 3.(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
この場合、貸主や役所にて、賃貸物件の建物と敷地の固定資産税の課税標準額を確認する必要があります。やや手間がかかりますが、本人負担は10%程度で済む場合があります。
つまり、家賃が10万円ならば、本人負担は1~2万円でOKというわけです。
これならば、給与を上げずとも、従業員にとってもメリットは大きいでしょう。社会保険料が安くなる分、将来もらえる年金が少なくなりますが、それを考慮しても、節税効果のインパクトは、50%相当負担と比べて、かなり大きいものといえます。
従業員が突然辞めてしまうと、初期費用を償却できないリスクも
ただし、役員に社宅を貸与する場合は、貸与する社宅の床面積などによって、規制がありますので注意が必要です。
また、経営者側のリスクとしては、
- 賃貸人である従業員が辞めてしまうと、費用負担だけが残る
ことが挙げられます。
法人契約にした場合、敷金・礼金、火災保険、手続き費用・手数料なども、会社負担となります。そこで、従業員が突然辞めてしまうと、その分の初期費用が償却できないリスクがあるというわけです。
社宅制度を導入し、メリットを最大限に享受するには、上記の注意点も考慮に入れつつ、検討するようにしましょう。
photo:Getty Images
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この記事の執筆者五島洋
税理士、ファイナンシャルプランナー。150社以上もの顧問経験を武器に、顧客には会計業務以外の経営アドバイスも積極的に行っている。著書として『ゼロから始める会社の数字入門』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『身の回りの税金がわかる』(西東社)、『あなたの「年金」がすぐわかる本』(PHP研究所)など。
