2022/02/28

個人事業主の経費はどこまで計上できる?上限や青色申告のメリットも解説

個人事業主の経費はどこまで計上できる?上限や青色申告のメリットも解説
監修:
税理士法人 MIRAI合同会計事務所

経費とは、事業を営むうえで必要な費用のことです。経費として認められるにはいろいろな条件があるため、確定申告をするときに「どこまで経費に計上していいのだろう?」と迷う個人事業主も多いことでしょう。
経費を正しく管理することは、節税にもつながります。ここでは、個人事業主にとっての考え方や経費計上の判断基準、経費計上に必要な書類の他、青色申告のメリットについて解説します。

個人事業主にとっての経費の考え方

自分で経費を管理しなければならない個人事業主は、経費をどのように計上すればいいのでしょうか。まずは、個人事業主にとっての経費の考え方について確認しておきましょう。

事業に必要な費用である経費

経費とは、事業を行うために必要な費用のことです。会社員であれば会社が負担してくれるため、まえもって用意してもらえるか、立て替えたお金を払い戻してもらえばそれで済むでしょう。しかし、個人事業主の場合は自分で経費を支払い、確定申告のためにしっかり管理をする必要があります。

確定申告では、売上(収入)から経費分の金額や控除額を差し引いて、課税の対象となる所得(課税所得)を確定します。所得税や住民税といった税金は、この課税所得に対してかかるため、個人事業主にとって何を経費として計上できるのかという点は非常に重要です。経費が多いほど課税所得が低くなり、支払う税金の額も低くなります。

経費に上限はない

経費について考えるとき、気になるのが「いくらまで経費になるの?」ということではないでしょうか。結論からいうと、個人事業主の経費に上限はありません。事業に関わる支出であれば、経費として計上できます。
ただし、いくら事業主本人が「事業に必要だった」と主張しても、売上に対して接待交際費が多すぎるなど妥当性に欠ける場合は、税務署から指摘を受ける可能性があります。上限がないからといって何でも経費にできるわけではなく、あくまでも事業に関連する支出であることが大前提です。

経費として計上できるかどうかの判断基準とは?

個人事業主は、事業での支出とプライベートでの支出の区別が曖昧になりやすく、「これは経費になるのだろうか?」と、迷うものも多々あるでしょう。

前述したとおり、経費とは「事業を行うために必要な費用」です。国税庁によると、経費は次のように定義されています。

  • 1.
    総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  • 2.
    その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

経費の判断に迷ったときには、売上に直接つながる費用かどうかを改めて見直してみましょう。「万が一、税務調査が入った場合、業務との関連性を明確に説明できるか」と考えると、わかりやすいかもしれません。
ここでは、経費の各項目の概要と、経費になる支出と経費にならない支出の具体例を紹介しましょう。

「この経費の項目は何?」と迷わないために

経費の項目は細かく分けられているため、どの項目に何の費用を計上して良いのかという点も、迷いが生じる点です。経費になるものとならないものを、各勘定科目の概要とともに一覧表で見てみましょう。

勘定科目と対応する経費
勘定科目 概要 経費になる例 経費にならない例
租税公課 税金や公的な負担金 個人事業税、事業利用資産の固定資産税、自動車税、登録免許税、印紙税 所得税、住民税、法律違反による加算金や罰金
荷造運賃 荷物の運賃や梱包費用 商品や製品の配送にかかる運賃や段ボールなどの梱包資材代
水道光熱費 電気代、ガス代、水道代 事務所などで使う水道代、ガス代、電気代、灯油代 自宅兼事務所の場合のプライベートでの利用にあたる光熱費や水道代
旅費交通費 移動費用、宿泊費用 事業で移動する場合の交通費、事業での宿泊費やコインパーキング代 駐車違反の反則金、出張先での個人的な観光費用
通信費 郵便、電話、インターネット料金 事業で使う切手やはがき代、固定電話や携帯電話料金、インターネットなどの回線使用料 事業とプライベート兼用の携帯電話使用料のうち、プライベートでの使用分
広告宣伝費 事業や商品の広告に関する費用 Webや雑誌などの広告掲載料、チラシやポスター、カタログなどの印刷費用
接待交際費 取引先への接待や贈答にかかる費用 売上に結び付く取引先や仕入先との飲食代や贈答品代、慶弔費 プライベートで会った取引先との飲食代、個人的に参加したゴルフコンペ代
損害保険料 事故や火災などの損害保険料 事務所の火災保険料、事業で使う車の自動車保険料、自賠責保険料 事業主自身の生命保険料、国民年金保険料、国民健康保険料(ただし控除が受けられる)
修繕費 建物や機械などの修理代 店舗、機械、器具、自動車などの修理代(減価償却資産にあたらないもの)
消耗品費 取得価額が10万円未満か使用可能期間(法定耐用年数)が1年未満の消耗品 文房具、伝票、名刺、作業用デスク、10万円未満のパソコンなど プライベートでも使用できる服や靴、私的な書籍代
減価償却費 10万円以上かつ1年以上使用可能な固定資産を、法定耐用年数に従って分割し計上する費用 建物、車、コピー機、オフィス家具、機械(法定耐用年数に従って一部を経費計上する)
福利厚生費 従業員の慰安、医療、保険などのための費用 従業員への慶弔費、社員旅行、忘・新年会、健康診断費 事業主本人の医療費や健康診断費
給料賃金 従業員への給与 従業員に支払う給与 事業主本人が受け取る給与
外注工賃 外部に業務を委託して支払った費用 外部の業者・事業主に業務を発注した際の支払い、電気工事代
利子割引料 借り入れの支払利息、分割払いの手数料 事業用の借入金の支払利息、手形の割引料 借入金の元本の支払い
地代家賃 事務所などの家賃や使用料 店舗や事務所の家賃や礼金、駐車場代 敷金、保証金(償却分は経費になる)
貸倒金 取引先の経営悪化や倒産により回収が不能となった損害金額 回収不能となった売掛金や貸付金、未収入金
雑費 他の経費にあてはまらないもの 事業に関わる引越し代や書籍代、クリーニング代、年会費、銀行の振込手数料

経費になるかどうか迷いやすい具体例

さらに、日常的に利用するものに対する支払いで、経費になるかどうかの判断がつきにくい具体例としてよく挙げられるものの中から、いくつかピックアップしてみましょう。

経費になる支出

気分転換にカフェで作業

仕事上の作業や打ち合わせのためにカフェを利用した場合、その代金は経費になります。判断基準は「実際にそこで仕事をしているかどうか」です。業務終了後やアポイントの合間にカフェで休憩したような場合の飲食代は、経費にはなりません。

同居の家族名義の賃貸マンションの一室をオフィスとして利用

同一生計の夫婦において、例えば夫の名義で借りている自宅の一部を、個人事業主の妻が事業で利用し、妻から夫へ家賃を支払っているケースでは、妻はこれを経費にはできません。ただし、大家などに支払う家賃は夫婦の財布から出ていることになるため、個人事業主である妻は経費として計上できます。この場合、経費として認められるのは家賃全額ではなく、事業として利用している割合に応じた分のみです。

経費にならない支出

事業で必要な衣類

経費にならない支出の代表的な例としては、スーツの購入費が挙げられます。スーツなど事業で必要な衣類であっても、プライベートでも使用できるものは経費になりません。ただし、ユニフォームや作業着など、明らかに事業でしか使わないと判断できるものは経費になります。

経費を計上するには証明する書類が必要

経費を計上するためには、「いつ・何に・いくら」使ったのかを証明する書類が必要です。では、どのようなものがあれば、経費の証明になるのでしょうか。

経費計上に必要な書類とは

経費を証明する書類として代表的なものが、領収書やレシートです。
「経費の証明に領収書が必要」と思い込んでいる個人事業主の方も少なくないようですが、基本的にはレシートでも問題ありません。むしろ、レシートの方が購入した品目が明確にわかるので、経費の確認がしやすいともいえます。ただし、レシートだけでは誰が購入したかという証明にはならないため、高額な品物を購入した際は領収書をもらっておくと安全です。

領収書がない経費を計上するには

経費の領収書やレシートの受け取り忘れや紛失、あるいは電車代やバス代、慶弔費など、そもそも領収書のない経費もあります。
領収書のない経費については、出金伝票に相手先や支出内容、金額、日付などを記入して保存しておきましょう。下記のような書類も、領収書やレシートの代わりになります。

  • 請求書
  • 納品書
  • 支払通知書
  • クレジットカードの利用明細書
  • ATMの振込明細書
  • 出入金がわかる通帳のコピー

銀行やクレジットカードのWeb明細は、一定期間を過ぎると確認できなくなるおそれがあるため、きちんとプリントアウトしておきましょう。また、慶弔費などは、出金伝票とともに招待状や案内状も保存しておくことをおすすめします。
なお、交通系ICカードへのチャージ料金の領収書は、原則として経費の証明にはなりません。交通費として計上したい場合は、必ず利用履歴を印刷するなどしてチャージ金額を確認できる状態にしておきましょう。さらに、プライベート用と事業用のICカードを明確に分けておけば、経費として認められやすくなります。

個人事業主にとっての青色申告のメリット

確定申告には、青色申告と白色申告があります。どちらの方法でも経費として計上できるかどうかの判断は同じですが、節税効果がより高いのは青色申告です。白色申告と比べて、青色申告には次のようなメリットがあります。

e-Tax利用で最大65万円の「青色申告特別控除」

青色申告では、白色申告にはない「青色申告特別控除」を受け取れるメリットがあります。複式簿記による記帳をすることと、貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、控除適用金額を記載のうえ、確定申告期限(3月15日)までに申告書を提出することで、55万円の特別控除が受けられます。さらにe-Taxでの申告か電子帳簿保存を行えば、控除額が10万円増え、控除額は最大で65万円になります。

3年にわたって赤字を繰り越しできる

事業で赤字を出してしまったとき、青色申告では赤字を翌年以降3年にわたって繰り越すことができ、黒字と相殺して納税額の負担を軽減することが可能です。白色申告では、過去の赤字を繰り越せないため、黒字と相殺することはできません。

家族への給与を経費にできる

白色申告では、家族に支払う給与は、原則として経費にはなりません。しかし青色申告では、あらかじめ「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出して一定の要件を満たせば、家族への給与を経費に計上することが可能です。

30万円未満の固定資産を一括経費計上できる

10万円以上の固定資産(パソコン、冷蔵庫、エアコンなど)を経費計上する場合は、基本的に法定耐用年数に従って分割して計上する必要があり、これを「減価償却」といいます。青色申告では、30万円未満の減価償却資産を一度に経費にできる特例があり、節税につながるというメリットがあります。これは白色にはない制度です。

白色申告よりも家賃や光熱費などを経費に計上しやすい

自宅で事業をしている個人事業主の場合、家賃や光熱費、電話代など、事業用とプライベート用に明確に分けることが難しいケースがあります。青色申告ではこのような場合、各料金のトータル金額から事業に使用している割合を算出し、経費に計上できます。これを「家事按分」といい、例えば自宅の30%のスペースを事業に使っていたとすると、家賃の30%が経費と認められます。白色申告でも家事按分は可能ですが、「事業用と個人用が明確に区別できること」など、条件が厳しくなっています。

推計課税がない

白色申告は帳簿が簡易であるため、税務調査が入った際に、一部の資料をもとに経費が推計され、課税金額が実態よりも多くなる可能性があります(推計課税)。青色申告は、税務調査でも帳簿にもとづいた確認が行われるため、経費が推計されて実態よりも課税金額が高くなるというリスクがありません。

経費の帳簿付けには確定申告ソフトを使おう

確定申告で経費を計上するには、ただ領収書を保管しておくだけではなく、その金額や内訳を帳簿に記入する必要があります。また、青色申告で最大65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳やe-Taxなどの条件があるため、ハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。
帳簿付けや確定申告の書類作成、e-Taxを簡単に行うには、確定申告ソフトの活用がおすすめです。

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監修 税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。