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人材派遣業で会社設立するには?許可の取得方法や必要な資本金を解説

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人材派遣業で会社設立するには?許可の取得方法や必要な資本金を解説

人材派遣業を営むには、会社設立の手続きとは別に「労働者派遣事業許可」の取得が不可欠であり、個人事業主のままでは実質的に開業が困難です。本記事では、許可を得るための資産要件や派遣元責任者の配置基準、会社設立から許可申請までの流れ、費用について解説します。

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人材派遣業を営むには労働者派遣事業の許可が必須

人材派遣業は、労働者派遣法に基づく許可制の事業です。厚生労働大臣の許可を受けた事業者でなければ、労働者派遣事業を営むことはできません。

「会社を設立しさえすれば人材派遣業を始められる」というのは誤解です。会社設立の手続きを終えても、労働者派遣事業の許可を受けていなければ事業を開始できません。以下では、無許可営業の罰則や許可の更新制度、許可申請の具体的な流れを順に解説します。

無許可営業には罰則がある

労働者派遣事業の許可を受けずに事業を行った場合には、罰則が科されます。

「第五条第一項の許可を受けないで労働者派遣事業を行つた者」について、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処すると定められています。

会社を設立しても、許可を受けないまま人材派遣業を営めば、この罰則の対象となる点に注意が必要です。

許可には有効期間があり更新が必要

労働者派遣事業の許可には有効期間があり、新規許可の有効期間は3年、更新後の有効期間は5年です。有効期間が満了すると許可は失効するため、事業を継続する場合は更新手続きが欠かせません。

更新申請は有効期間満了日の3か月前までに行う必要があり、申請書には手数料として5万5千円に事業所数を乗じた額の収入印紙を貼付しなければなりません。

なお、有効期間更新の際の手続きや要件は、新規許可の申請時とほぼ同様です。更新のタイミングを見据えて、余裕をもって準備を進めておきましょう。

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人材派遣業は個人事業主でも開業できる?

人材派遣業への関心が高い方の中には、「個人事業主のまま開業できるか」を知りたい方も少なくありません。ここでは、制度上の可否と、実務上生じるハードルの両方を解説します。

個人事業主が許可を得るために必要な要件

結論として、個人事業主であっても労働者派遣事業の許可を取得すること自体は可能です。ただし、法人と同じ基準資産額や派遣元責任者の配置といった要件がそのまま適用されるため、「個人事業主なら簡単に開業できる」というわけではありません。

個人事業主は法人と異なり、資産の状況を示す決算書(貸借対照表)を作成していないため、金融機関が発行する残高証明書などによって基準資産額を証明する必要があります。

個人事業主では資産要件の証明がハードルになる

基準資産額を個人名義の資産だけで証明するのは、実務上のハードルが高いのが実情です。事業用の資産と個人の資産が明確に分かれていないケースも多く、金融機関からの信用力の観点からも、法人を設立したうえで許可を取得するのが一般的です。

個人事業主のまま無理に開業を目指すのではなく、法人化を選択肢の1つとして検討することをおすすめします。

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会社設立時に決めておくべき人材派遣業ならではのポイント

ここでは、人材派遣業ならではのポイントとして、定款の事業目的の記載と事業所の要件の2点に絞って解説します。

定款の作成や登記など、一般的な会社設立の手続きについては以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

定款の事業目的に「労働者派遣事業」を明記する

会社設立の際は、定款の事業目的欄に「労働者派遣事業」を明記しておく必要があります。事業目的の記載は、後の労働者派遣事業許可の申請に直結する重要な項目です。

事業目的の記載が不十分な場合、許可申請の段階になって定款の再作成や再認証が必要になる可能性があります。手続きの二度手間を避けるためにも、会社設立の時点で「労働者派遣事業」を事業目的に明記しておきましょう。

以下の記事でも詳しく解説しています。

事業所の設置要件を満たす

労働者派遣事業を行う事業所には、面積などの要件があります。レンタルオフィスやバーチャルオフィスでは、独立した事業スペースとして認められないケースがあるため注意が必要です(要件の詳細は、申請時点の最新情報を労働局等で確認してください)。

また、事業所を複数設ける場合は、会社全体で求められる基準資産額が加算される点(「2,000万円×事業所数」以上が必要)事業所ごとに、派遣元責任者を配置する必要がある点も押さえておきましょう。

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許可を得るための基準資産額

労働者派遣事業の許可を得るには、事業の安定性を示す資産要件を満たす必要があります。ここでは、基準資産額と現金・預金の要件、小規模な事業主向けの緩和措置について解説します。

基準資産額と現金・預金の要件

許可を得るには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を控除した額(基準資産額)が、2,000万円に事業所の数を乗じた額以上であること
  • 基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること
  • 自己名義の現金・預金の額が、1,500万円に事業所の数を乗じた額以上であること

事業所が1つの場合は、基準資産額2,000万円以上、現金・預金1,500万円以上が目安となります。例えば、本社のほかに2つの支店を構え、事業所の数が3つになる場合は、基準資産額6,000万円以上、現金・預金4,500万円以上が必要になる計算です。

小規模派遣元事業主は基準資産額が緩和される

常時雇用する派遣労働者が10人以下で、事業所が1つの小規模な派遣元事業主については、基準資産額の要件が1,000万円以上(現金・預金は800万円以上)に緩和される特例があります。

さらに、常時雇用する派遣労働者が5人以下の場合は、基準資産額500万円以上(現金・預金400万円以上)へとさらに緩和されます(いずれも基準資産額が負債総額の7分の1以上であることが条件です)。なお、10人以下の場合の緩和措置は当分の間続く措置とされているのに対し、5人以下の場合の緩和措置は3年間の暫定的なものとされている点にも注意しましょう。小規模で事業を始める場合は、この緩和措置の対象になるかどうかも確認しておきましょう。

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派遣元責任者の配置要件

労働者派遣事業の許可要件には、資産面だけでなく、事業所ごとに専任の担当者を配置する人的要件もあります。ここでは、派遣元責任者の配置基準と、就任に必要な講習について解説します。

配置基準(派遣労働者100人に1人以上)

労働者派遣法における厚生労働省の要件では、「派遣元責任者は、派遣労働者の数100人ごとに1人以上を選任しなければなりません」と定められています。事業所ごとに、この配置基準を満たす派遣元責任者を選任する必要があります。

例えば、1つの事業所で派遣労働者が150人になる場合は、2人以上の派遣元責任者を配置しなければなりません。また、派遣元責任者には、派遣労働者への教育訓練の機会を確保することも義務付けられています。

派遣元責任者講習の受講が必要

派遣元責任者になるには、厚生労働省所管の「派遣元責任者講習」を受講しなければなりません。講習は1日で行われ、費用は3,000〜9,000円程度が目安です。

講習の内容には、労働者派遣法をはじめとする関係法令や、派遣元責任者としての職務に関する知識などが含まれます。この講習は、許可の申請に先立って受講しておく必要があります。許可申請のスケジュールを立てる際は、講習の受講日程も早めに確保しておきましょう。

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労働者派遣事業の許可申請の手続きの流れ

労働者派遣事業の許可申請は、事業所の準備から許可証の交付まで、大きく3つのステップで進みます。申請は事業主単位(会社単位)で行うものですが、複数の事業所で人材派遣業を営む場合は、各事業所の名称等も申請書に記載する必要があります。順をおって確認していきましょう。

STEP1|事業所の準備と派遣元責任者の選任

まず、面積や区画などの許可要件を満たす事業所を確保し、3年以上の雇用管理経験などの要件を満たしたうえで、派遣元責任者講習を受講した人材を派遣元責任者として選任します。

この段階で、基準資産額や現金・預金額の要件を満たしているかも事前に確認しておくと、後の申請がスムーズに進みます。

STEP2|許可申請書類一式を労働局へ提出する

事業所の準備が整ったら、労働局へ許可申請書類一式を提出します。主な提出書類は次のとおりです。

  • ①
    労働者派遣事業許可申請書
  • ②
    事業計画書
  • ③
    直近の貸借対照表・損益計算書
  • ④
    派遣元責任者の講習受講証明書
  • ⑤
    定款の写し・登記事項証明書
  • ⑥
    許可手数料の収入印紙

なお、申請者が法人か個人かによって、添付が必要な書類の一部が異なります。提出書類に不備があると、審査に時間がかかってしまいます。事前にチェックリストなどを使って、記載漏れや添付書類の不足がないかを確認しておきましょう。

STEP3|審査を経て許可証が交付される

書類を提出した後は、労働局や労働政策審議会による審査を経て、許可証が交付されます。交付までには数か月程度を要するのが一般的です。

労働者派遣事業を開始できるのは、許可証の交付を受けた後です。開業スケジュールを立てる際は、この審査期間も考慮しておきましょう。

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労働者派遣事業の審査で落ちやすい実務上の注意点

資産要件は「資本金2,000万円以上あれば大丈夫」と誤解されがちですが、実際は資産総額から負債総額を差し引いた基準資産額と現金・預金額の両方を満たす必要があり、繰越損失があると資本金が足りていても要件を満たさないことがあります。

また、バーチャルオフィスやコワーキングスペース、他法人との同居は事業所の独立性が認められず、壁や間仕切りでの区分や、おおむね20㎡以上の面積要件も見落とされがちです。キャリア形成支援制度や個人情報適正管理規程も、様式だけで実態が伴わないと実地調査で指摘を受けます。

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会社設立・許可申請にかかる費用

人材派遣業で起業する際にかかる費用には、会社設立費用、許可申請費用、資産要件を満たすための準備費用という3種類があります。それぞれの内訳を見ていきましょう。

費用の内訳一覧

人材派遣業の起業でかかる費用は、大きく次の3つに整理できます。

  • ①
    会社設立費用:定款の認証手数料や登録免許税など、株式会社・合同会社の設立に必要な費用
  • ②
    許可申請費用:労働者派遣事業許可の手数料と、申請書に貼付する収入印紙代
  • ③
    資産要件の準備:基準資産額や現金・預金の要件を満たすために確保しておく自己資金

具体的には、許可申請の手数料は12万円に、事業所が2つ以上ある場合は1事業所増えるごとに5万5千円を加えた額の収入印紙が必要となり、これとは別に登録免許税として9万円の納付も必要です。

このうち①と②は合わせて数十万円程度ですが、③は基準資産額2,000万円以上(緩和措置の対象であれば1,000万円以上)という水準の自己資金を用意する必要があるため、資金計画の中で最も重要な位置を占めます。金額は制度改正等により変わる可能性があるため、申請時点の最新情報を必ず確認してください。

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会社設立の手続きにかかる費用や手間を抑えたい場合は、「弥生のかんたん会社設立」をぜひご活用ください。画面の案内に沿って入力するだけで、定款など会社設立に必要な書類を作成できます。

ただし、労働者派遣事業許可の取得手続きや、基準資産額などの資産要件を満たすための準備そのものを代行するものではない点には注意してください。会社設立部分の負担を軽くしたうえで、許可申請の準備に時間を充てるとよいでしょう。

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万全な準備で人材派遣業の会社設立・許可取得を進めよう

人材派遣業で起業するには、会社設立の手続きに加えて、労働者派遣事業許可の取得が不可欠です。「会社さえ作れば始められる」わけではない点を踏まえ、資産要件や派遣元責任者の配置基準を早い段階から確認し、万全な準備で開業を目指しましょう。

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よくあるご質問

無許可で人材派遣業を営むとどうなりますか?

無許可で労働者派遣事業を行うと、労働者派遣法第59条により罰則の対象となります。同条では「第五条第一項の許可を受けないで労働者派遣事業を行つた者」について、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処すると定められています。会社を設立しても、労働者派遣事業の許可を受けていなければ事業を開始できないため、注意が必要です。詳しくはe-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律新規タブで開く」をご確認ください。

許可取得に必要な資産額はいくらですか?

労働者派遣事業の許可を得るには、資産総額から負債総額を差し引いた基準資産額が「2,000万円×事業所数」以上、かつ自己名義の現金・預金額が「1,500万円×事業所数」以上必要です。常時雇用する派遣労働者が10人以下の小規模な事業主は、基準資産額1,000万円以上に緩和される特例があります。事業所が複数ある場合は、事業所数に応じて必要な金額が増える点に注意してください。詳しくは厚生労働省「労働派遣事業許可及び更新申請に必要な資産要件新規タブで開く」をご確認ください。

人材派遣業は個人事業主でも開業できますか?

個人事業主であっても、労働者派遣事業の許可を取得すること自体は可能です。ただし、法人と同じ基準資産額や派遣元責任者の配置といった要件がそのまま適用されるうえ、個人事業主は決算書がないため、金融機関の残高証明書などで基準資産額を証明する必要があり、実務上のハードルは高いといえます。信用力の観点からも、法人を設立したうえで許可を取得するのが一般的です。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修者高崎 文秀(税理士)

高崎文秀税理士事務所 代表税理士/株式会社マネーリンク 代表取締役。早稲田大学理工学部応用化学科卒。

都内税理士事務所に税理士として勤務し、さまざまな規模の法人・個人のお客様を幅広く担当。2019年に独立開業。現在は法人・個人事業者の税務顧問・節税サポート、個人の税務相談・サポート、企業買収支援、税務記事の監修など幅広く活動中。また一般社団法人CSVOICE協会の認定経営支援責任者として、業績に悩む顧問先の経営改善を積極的に行う。

高崎 文秀(税理士)

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