【2026年最新】年末調整の計算方法は?全体の流れやミスを防ぐ方法も解説
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年末調整とは、毎年年末に企業が従業員ごとの所得税額を確定し、源泉徴収税額との過不足を精算する手続きです。2026年(令和8年)は、税制改正によって基礎控除や給与所得控除の最低保障額が引き上げられたほか、多岐にわたる変更への対応が求められます。
本記事では、令和8年の税制改正を反映した最新の数値にもとづく計算手順や提出書類を解説するとともに、状況が異なる3つの計算シミュレーションを紹介します。年末調整のミスを防いで業務を効率化する方法や、よくある質問への回答も確認し、スムーズに作業を進められるよう備えておきましょう。
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年末調整とは年間の所得税額を計算する手続き
年末調整とは給与所得者の所得税額を確定させ、納税した税額の過不足分を調整するために、年末に企業が行う手続きのことです。
企業の役員および従業員の所得税は、給与や賞与から源泉徴収(天引き)され、本人に代わって勤務先の会社などが国に納めるしくみになっています。ただし、給与や賞与から源泉徴収される所得税はあくまで概算であるため、年間の給与が確定する年末に正しい所得税額を計算し直し、納めすぎていれば還付、不足していれば追加徴収します。
そこで企業は1月1日から12月31日までの給与が確定した時点で、年間の給与支給額や適用される控除額を基に、正しい所得税額を計算します。その後、源泉徴収された所得税が多ければ従業員に還付し、不足していれば追加徴収します。所得税額の計算方法や手順は、基本的にすべての従業員で共通です。ただし、従業員に応じて給与支給額や適用される控除が異なるため、計算は個別に行います。
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年末調整の計算方法と手順(年末調整で適用できる所得控除の合計)
年末調整を行う際は、まず従業員から記入済みの申告書や証明書を回収します。次に、年間の給与支給額が決定した後、以下の手順で年末調整の計算を進めます。
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1.年間の給与支給額・社会保険料・源泉徴収税額を集計する
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2.給与所得控除を差し引き、給与所得額を算出する
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3.所得控除額を差し引き、課税給与所得額を算出する
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4.所得税率を掛け所得税額を算出する
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5.住宅ローン控除額を差し引く
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6.復興特別所得税を加えて年調年税額を算出する
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7.源泉徴収税額と年調年税額を比較する
-
8.年末調整後に状況が変わったら再計算を行う
-
従業員ごとに適用する控除の種類などは異なりますが、基本的には上記の流れで行います。以下に手順ごとの注意点を詳しく解説します。
年間の給与支給額・社会保険料・源泉徴収税額を集計する
年間の給与支給額と、控除した社会保険料・源泉徴収税額を、従業員ごとに集計します。中途入社者について、前職に扶養控除等(異動)申告書を提出して受けた給与がある場合は、前職の源泉徴収票を基に、給与・社会保険料・源泉徴収税額を合算します。各項目の詳しい集計内容は以下のとおりです。
給与総支給額
1月1日から12月31日までに支給した給与・賞与・各種手当の合計額です。税金や社会保険料が引かれる前の金額で、非課税の通勤手当、出張手当、食事手当(一定の条件に該当する場合)などは含めません。
社会保険料
毎月の給与および賞与から天引きされた厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料・雇用保険料の年間合計額です。全額が社会保険料控除の対象になります。
源泉徴収税額
企業が毎月の給与や賞与から天引きし、従業員に代わって国に納付している所得税の合計額です。年末調整ではこの源泉徴収税額と、正確に計算した年調年税額を比較し、過不足があれば還付または追加徴収といった形で精算を行います。
給与所得控除を差し引き給与所得額を算出する
まず給与支給額から給与所得控除額を差し引き、給与所得額を算出します。
給与所得額の計算式
給与所得額を求める計算式は以下のとおりです。
給与支給額-給与所得控除額=給与所得額
給与所得控除は、給与所得を受けているすべての人に適用されますが、控除額には上限(195万円)が設けられています。
また、給与支給額が660万円を超える場合は、速算表を用いると給与所得額を簡単に求められます。令和8年分の速算表は以下のとおりです。
| 給与支給額 | 給与所得額 |
|---|---|
| 6,600,000円以上8,500,000円未満 | 給与支給額×90%-1,100,000円 |
| 8,500,000円以上 | 給与支給額-1,950,000円 |
給与所得控除の金額
給与所得控除額は下表のとおり収入金額によって変動します。
2026年(令和8年)では給与所得控除の最低保障額が、令和7年の65万円から9万円引き上げられ、74万円になりました。給与所得控除を差し引く際は、金額を間違えないようにしましょう。なお、2028年(令和10年)分以後は見直しが予定されています。
| 年間の給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 2,200,000円まで | 740,000円 |
| 2,200,001円から3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
| 3,600,001円から6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
| 6,600,001円から8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
| 8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
-
参照:国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし
」p.1
参照:国税庁「No.1410 給与所得控除」
給与所得控除のしくみや計算方法について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
所得控除額を差し引き課税給与所得額を算出する
給与所得額から、所得金額調整控除および所得控除額を差し引き、課税給与所得額を算出します。
課税給与所得額の計算式
課税給与所得額の計算式は以下のとおりです。1,000円未満の端数が出た場合は切り捨てます。
給与所得額-所得金額調整控除(※)-所得控除額=課税給与所得額
- ※対象者のみ
所得金額調整控除は2020年(令和2年)に新設された制度です。「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」と「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の2種類があり、年末調整の対象になるのは「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」に限られます。給与総額が850万円を超え、以下のいずれかの要件を満たす人が対象です。
-
- 本人が特別障害者に該当する
- 年齢23歳未満の扶養親族を有する
- 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する
なお、共働きなどの場合で、所得者本人だけでなく配偶者も上記の要件を満たすときは、二人とも所得金額調整控除の適用を受けられます。
所得金額調整控除額の計算式
所得金額調整控除額は以下の式で計算します。上限は15万円です。
{給与総額(10,000,000円超の場合は10,000,000円)-8,500,000円}×10%=所得金額調整控除額(※)
- ※1円未満の端数があれば、端数を切り上げます。
-
参照:国税庁「No.1411 所得金額調整控除
」
所得控除の種類
所得控除は、扶養家族の有無など従業員個人の状況により適用される控除や金額が異なります。そのため従業員から提出された申告書を基に、個別に控除額の算出を行います。所得控除には下表の控除が含まれます。
| 控除の種類 | 控除が適用されるケース |
|---|---|
| 社会保険料控除 | 本人や生計を一にする配偶者・親族の健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などを支払った |
| 基礎控除 | 所得者の合計所得金額が2,500万円以下 |
| 配偶者控除または配偶者特別控除 | 一定の要件を満たす配偶者がいる |
| 扶養控除 | 控除対象扶養親族(特定扶養親族・老人扶養親族を含む)がいる |
| 特定親族特別控除 | 生計を一にする19歳以上23歳未満で、合計所得金額が62万円超123万円以下の親族がいる |
| 障害者控除 | 本人、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる |
| 勤労学生控除 | 本人が勤労学生である |
| ひとり親控除 | 生計を一にする一定の子がいるなど、ひとり親の要件を満たす |
| 寡婦控除 | ひとり親控除に該当せず、寡婦の要件を満たす |
| 生命保険料控除・地震保険料控除 | 生命保険料や地震保険料を支払った |
| 小規模企業共済等掛金控除 | iDeCoの掛金や、独立行政法人中小企業基盤整備機構と契約した共済契約の掛金などを支払った |
なお、厚生年金保険料や健康保険料などは、社会保険料控除の対象となります。所得控除額を引いて算出した課税給与所得額に1,000円未満の端数があるときは切り捨てます。各控除の金額は、国税庁が作成した資料「年末調整のしかた」を参考に算出しましょう。
-
参照:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
」
参照:国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」p.2
所得税率を掛けて所得税額を算出する
次に、前項で算出した課税給与所得額に所得税率を掛け、控除額を差し引き、所得税額を求めます。
所得税額の計算式
所得税額の計算式は以下のとおりです。
課税給与所得額×所得税率-控除額=所得税額
所得税率や控除額は、課税給与所得額によって変動します。以下の「所得税の速算表」を用いれば、簡単に計算できます。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
-
引用:国税庁「No.2260 所得税の税率
」
例えば、課税給与所得額が3,500,000円の場合、所得税額を求める計算式は以下のとおりです。
3,500,000円×20%-427,500円=272,500円
よってこの場合の所得税額は27万2,500円となります。
住宅ローン控除額を差し引く
従業員から住宅借入金等特別控除申告書が提出された場合、前項で算出した所得税額から住宅ローン控除額を差し引きます。住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した人の所得税などの負担を、一定期間軽減する制度です。控除が適用される期間は、新築・中古、あるいは省エネ基準適合の有無など住宅の種類で異なります。
-
- 新築住宅・買取再販住宅:13年間(※)
- 中古住宅などの既存住宅:10年間
※省エネ基準や長期優良住宅などに該当しない「その他の住宅」は10年間。
ただし、年末調整で住宅ローン控除を申告できるのは2年目以降です。住宅ローン1年目については、従業員自身が確定申告を行います。また、控除額は従業員自身で計算して申告書に記載します。住宅ローン控除額が所得税額より多いケースでは所得税額がゼロとなり、控除しきれない住宅ローン控除額は住民税から控除されます。
住宅ローン控除の初年度の手続きについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。
復興特別所得税を加えて年調年税額を算出する
次に、住宅ローン控除後の所得税額に2.1%の復興特別所得税を加え、年調年税額を算出します。復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に充てる財源を確保するために設けられた税金です。2013年(平成25年)1月から2047年(令和29年)12月まで課税されます。なお、令和9年分以後は復興特別所得税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税1%が課されますが、両者を合わせた税率は2.1%のままです。
-
参照:国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし
」p.5
源泉徴収税額と年調年税額を比較する
概算の源泉徴収税額と、最終的に算出した年調年税額を比較し、以下のように過不足金の調整を行います。
-
- 年調年税額が源泉徴収済税額より少ない場合:税金を納めすぎているため、従業員に差額を還付
- 年調年税額が源泉徴収済税額より多い場合:納税額が不足しているため、従業員から差額を追加で徴収
過不足金の調整は、一般的に12月の給与で行われます。
年末調整後に状況が変わったら再計算を行う
通常は過不足金の還付または徴収により、年末調整業務は完了します。しかし年末調整後に状況が変わった場合は、再計算を行わなければなりません。再計算を要するのは、以下のようなケースです。
-
- 年末調整後に扶養親族の人数が変わった
- 配偶者控除の適用を受けた配偶者や従業員本人の所得の見積額に差額が発生した
- 年末調整後に給与を追加で支払った
- 年末調整後に控除対象となる保険料を支払った
- 年末調整後に住宅ローン控除申告書の提出があった
ただし、法定調書の提出期日である1月31日に間に合わない場合は、従業員自身で確定申告を行うよう案内しましょう。
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年末調整の計算シミュレーション
年末調整の計算方法を以下3つのケースごとに考えてみましょう。
- ※いずれも2026年(令和8年)12月31日時点の年齢を基にしています。
-
-
1.収入がない配偶者と17歳の子供がいる場合
-
2.収入がない配偶者と18歳の子供・150万円の収入がある21歳の子供がいる場合
-
3.収入がない16歳の子供がいるひとり親の場合
-
収入がない配偶者と17歳の子供がいる場合
収入がない配偶者と17歳の子供を持つ従業員を例に計算を行います。適用される所得控除は以下の5つとします。
-
- 社会保険料控除
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 保険料控除(生命保険料・地震保険料)
まずは年間の給与支給額・社会保険料・源泉徴収税額を集計します。
給与支給額/5,100,000円
社会保険料/777,720円
源泉徴収税額/81,100円
給与支給額から給与所得控除額を引き、給与所得額を算出します。給与支給額が510万円の場合、2026年(令和8年)の税制改正による控除額の変更の影響を受けないため、給与所得控除額は従来どおり「収入金額×20%+44万円」となります。この式に収入金額510万円を当てはめて計算すると、以下のようになります。
給与所得額:5,100,000円-(5,100,000円×20%+440,000円)=3,640,000円
よって給与所得額は364万円です。次に給与所得額から所得控除額を引き、課税給与所得額を算出します。
社会保険料控除額/777,720円
基礎控除額/1,040,000円
配偶者控除額/380,000円
扶養控除額(17歳の子供)/380,000円
生命保険料控除額/22,000円
地震保険料控除額/50,000円
所得控除額の合計/2,649,720円
令和8年分では、合計所得金額364万円の場合、基礎控除額が令和7年分の68万円から104万円に引き上げられます。そのため所得控除額を引き、1,000円未満を切り捨てると、課税給与所得額は以下のようになります。
課税給与所得額:3,640,000円-2,649,720円=990,000円(1,000円未満切り捨て)
次に課税給与所得額99万円に所得税率を掛けて所得税額を計算します。
所得税額:990,000円×5%=49,500円
住宅ローン控除が申請されている場合、ここで住宅ローン控除額を差し引きましょう。最後に所得税額に2.1%の復興特別所得税を加え100円未満を切り捨てると、年調年税額が算出できます。
年調年税額:49,500円×102.1%=50,500円(100円未満切り捨て)
源泉徴収税額の8万1,100円と比較すると源泉徴収額の方が多いため、差額を算出します。
源泉徴収税額との差額:81,100円-50,500円=30,600円
よって3万600円を該当従業員に還付します。
-
参照:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
」
参照:国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」p.1
収入がない配偶者と18歳の子供・150万円の収入がある21歳の子供がいる場合
次に、いずれも収入がない配偶者と18歳の子供に加え、収入がある21歳の子供を持つ従業員についてシミュレーションしてみましょう。適用される所得控除や年間の給与支給額、社会保険料はケース1と同様とします。
給与支給額/5,100,000円
社会保険料/777,720円
源泉徴収税額/49,600円
給与支給額から給与所得控除額を差し引くと、給与所得額はケース1と同じく364万円です。ケース2では2025年度(令和7年度)税制改正で新設された「特定親族」に該当する21歳の子供がいるため、特定親族特別控除も適用されます。21歳の子供の給与収入は150万円であり、給与所得控除額は74万円です。そのため、所得は150万円から74万円を差し引いた76万円で、特定親族特別控除の控除額は満額の63万円となります。
社会保険料控除額/777,720円
基礎控除額/1,040,000円
配偶者控除額/380,000円
扶養控除額(18歳の子供)/380,000円
特定親族特別控除額(21歳の子供)/630,000円
生命保険料控除額/22,000円
地震保険料控除額/50,000円
所得控除額の合計/3,279,720円
所得控除額を引き、1,000円未満を切り捨てると、課税給与所得額は以下のようになります。
課税給与所得額:3,640,000円-3,279,720円=360,000円(1,000円未満切り捨て)
さらに課税給与所得額に所得税率を掛けて所得税額を算出します。
所得税額:360,000円×5%=18,000円
最後に2.1%の復興特別所得税を加え、100円未満を切り捨てると年調年税額が算出できます。
年調年税額:18,000円×102.1%=18,300円(100円未満切り捨て)
源泉徴収税額の4万9,600円と比較すると、源泉徴収税額の方が多いため、差額を算出します。
源泉徴収税額との差額:49,600円-18,300円=31,300円
よって3万1,300円を該当従業員に還付します。
-
参照:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
」
参照:国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」p.1
収入がない16歳の子供がいるひとり親の場合
最後は収入がない16歳の子供を持つひとり親の従業員を例とします。年間の給与支給額と社会保険料は、他のケースと同様とします。
給与支給額/5,100,000円
社会保険料/777,720円
源泉徴収税額/102,700円
給与所得控除後の給与所得額は他のケースと同様に364万円です。給与所得額から所得控除額を引き、課税給与所得額を算出します。ケース3では従業員本人の合計所得金額が500万円以下で、ひとり親控除の条件を満たしているため、35万円の控除が適用されます。
社会保険料控除額/777,720円
基礎控除額/1,040,000円
ひとり親控除額/350,000円
扶養控除額(16歳の子供)/380,000円
生命保険料控除額/22,000円
地震保険料控除額/50,000円
所得控除額の合計/2,619,720円
所得控除額を引き、1,000円未満を切り捨てると、課税給与所得額は以下のようになります。
課税給与所得額:3,640,000円-2,619,720円=1,020,000円(1,000円未満切り捨て)
さらに課税給与所得額に所得税率を掛けて所得税額を算出します。
所得税額:1,020,000円×5%=51,000円
最後に2.1%の復興特別所得税を加え、100円未満を切り捨てると年調年税額が算出できます。
年調年税額:51,000円×102.1%=52,000円(100円未満切り捨て)
源泉徴収税額の10万2,700円と比較すると源泉徴収税額の方が多いため、差額を算出します。
源泉徴収税額との差額:102,700円-52,000円=50,700円
よって5万700円を該当従業員に還付します。
-
参照:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
」
参照:国税庁「No.1171 ひとり親控除」
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年末調整で従業員から回収する書類一覧
年末調整の担当者は従業員から以下の書類を回収し、計算を行います。各書類は2026年(令和8年)分の最新様式を使用してください。
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- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書
提出先別の書類一覧について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
扶養控除等(異動)申告書
扶養控除等(異動)申告書により、以下の控除の適用が判断されます。
-
- 扶養控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
国内で給与を受ける従業員は、原則として主たる給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出します。
保険料控除申告書と控除証明書
保険料控除を受ける場合は、保険料控除申告書や控除証明書を企業に提出します。控除の対象となる保険料は以下のとおりです。
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- 生命保険料
- 地震保険料
- 小規模企業共済等掛金
- 社会保険料(従業員が直接支払っている場合や、同一生計の親族の社会保険料を従業員が支払っている場合)
令和7年度の税制改正では、23歳未満の扶養親族がいる従業員に対する一般生命保険料控除額が見直されました。これにより一般生命保険料控除における適用限度額が、改正前の4万円から6万円に拡充されました。この特例は、2026年(令和8年)分および2027年(令和9年)分の所得税にも適用されます。
-
参照:国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし
」p.7
基礎控除申告書などが一体となった申告書
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書は、以下の控除の申請に用います。
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- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 特定親族特別控除
- 所得金額調整控除
基礎控除は、合計所得金額2,500万円以下の従業員が対象です。そのためほぼすべての従業員から給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書を回収します。
住宅借入金等特別控除申告書と残高証明書
住宅借入金等特別控除申告書は、住宅ローン控除を2年目以降に年末調整で受ける際に提出する書類です。住宅ローン控除の適用を受ける初年度は、従業員自身が確定申告を行います。
残高証明書は、住宅ローンの年末時点の借入残高を証明する書類です。具体的には、住宅金融支援機構の「融資額残高証明書」や金融機関等の「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」があり、準備すべき種類や枚数は、借入先や借入状況によって異なります。証明書方式で年末調整を行う場合は、残高証明書を勤務先に提出します。なお、調書方式の場合は、金融機関等から年末残高等証明書が交付されないため、勤務先への提出も不要です。
源泉徴収票
同年に他の勤務先から給与を受け取っていた場合、その勤務先ですでに所得税が源泉徴収されている可能性があります。中途入社者や、入社するまでにアルバイトをしていた新卒入社者については、年内に勤務していた前職で交付された源泉徴収票を提出してもらいましょう。もし受け取っていない場合は、従業員本人から以前の勤務先へ連絡をしてもらい、交付を依頼するように促しましょう。
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年末調整を計算ミスなく効率的に行う方法
年末調整をスムーズに進めるには、計算ミスを防ぐとともに、業務の効率化を図ることが大切です。以下に年末調整を効率的に行うために重要な3つのポイントを詳しく解説します。
従業員の申告書作成にミスがないようフォローする
従業員から回収する申告書は、所得税額計算の根拠になるものです。そのため担当者は従業員が正確な内容を申告できるよう、適切にフォローしましょう。申告書の作成前には、以下のことを従業員に周知します。
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- 申告書類の記入例・記入時の注意点
- 制度改正があった場合はその内容
- よくある質問と回答
- 従業員が自分で確定申告を行うケース
よくある質問と回答の例としては、「配偶者や扶養親族の所得欄には、収入金額と所得金額のどちらを記載すべきか」などがあります。実務上は「記載されたのが収入であることが確認できれば、給与の場合には収入金額を記入しても差し支えない」と対応する方法もあります。
また、従業員が自分で確定申告を行う場合であっても、会社には原則として年末調整を行う義務があります。
従業員からは、控除の種類や申告書の書き方に関する問い合わせが頻繁に入ることも予想されます。スムーズに回答できるよう、担当者は年末調整業務への理解を深めておきましょう。また、問い合わせに対応できる人数をそろえておくことも大切です。
従業員の計算間違いを防ぐために控除額の検算を行う
以下の控除の申告書は、従業員自身の記入内容を基に控除額を判定するため、担当者は控除額が正しいかどうかの検算を行いましょう。
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- 保険料控除
- 社会保険料控除(従業員自身が納めた分や家族分)
- 小規模企業共済等掛金控除
- 住宅ローン控除
- 基礎控除
- 配偶者控除
控除額に不備があると、税務署や自治体への提出書類や納税額にも影響します。2026年(令和8年)の年末調整は税制改正の内容もふまえ、申告書と控除証明書の内容が一致しているかどうかも確認したうえで控除額の検算を行いましょう。
年末調整を電子化する
年末調整を電子化すると、自動計算により担当者の作業を効率化できます。具体的には以下のようなメリットがあります。
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- 控除額が自動計算され、計算結果の検算作業を軽減できる
- 未入力の項目があると申請に進めないため、必須項目の未入力が発生しにくい
- オンライン上で差し戻しができるため手渡しや郵送などの手間がない
- 申請がスムーズに行えるため、従業員への確認作業が減らせる
- マイナンバーを含む紙の申告書を紛失するリスクを抑えられる
- 書類を提出していない人の管理がしやすい
- 在宅勤務中や出張中でも簡単に申告できる
- 申告書や証明書の送付・保管にかかるコストが削減できる
書類保管のコストが削減できる一方で、システムの導入には費用がかかります。メリットとデメリットを比較して、導入を検討してください。
電子化の進め方について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
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年末調整の計算を正確に進めるなら弥生給与 Next
年末調整の計算は手順が多いため、計算の正確性を向上させるためには、担当者があらかじめ正しい計算の手順を理解しておくことが大切です。特に2026年(令和8年)分は税制改正により基礎控除や給与所得控除額など多岐にわたる数値の変更があるため、ミスのないよう注意しなければなりません。また、従業員が会社に提出する書類も多岐にわたるため、担当者は前もって書類の提出日や書き方などを従業員に周知し、余裕のあるスケジュールで作業しましょう。
年末調整の業務を効率化するには、クラウド給与計算ソフト「弥生給与 Next」の導入がおすすめです。「弥生給与 Next」は、年末調整で用いる申告書をオンライン上で配布・回収できるだけでなく、控除額や年税額も自動で計算できるため、ミスを防ぎながら同時に効率化も進めることが可能です。また、関連データと連携しているため、法定調書作成の際も転記などの手間がかからずスムーズに作業を行えます。年末調整だけでなく、各種業務の一元管理や効率化を実現するためにも、ぜひ導入をご検討ください。
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※本記事は2026年7月28日時点の情報を基に制作しています。
※ご契約のプランによって利用できる機能が異なります。
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よくあるご質問
年末調整で所得税を計算する基本的な手順を教えてください
まず1年間の「給与収入」から「給与所得控除」を引いて「給与所得」を出します。次にそこから基礎控除や各種保険料などの「所得控除」を引いて「課税所得」を算出します。その課税所得に税率を掛け、さらに「税額控除」を差し引くことで、最終的な年調年税額が決定します。
年収が一定額以下のパートやアルバイトも年末調整をしますか
給与収入が一定額以下で所得税がかからない場合でも、年末調整の対象要件を満たすパート・アルバイトには、原則として年末調整を行います。具体的には、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し、年末まで勤務している人などが対象です。
令和8年分は、給与収入のみで他の所得がなく、基礎控除104万円の適用要件を満たす場合、給与所得控除74万円と合わせて給与収入178万円以下であれば、原則として所得税はかかりません。ただし、所得税がかからないことと年末調整の要否は別に判断します。
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参照:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
」
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参照:国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし
」p.1
パート・アルバイトの年末調整について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
源泉徴収済みの税額と年税額に差額が出た場合はどう処理しますか
これまで毎月天引きしてきた「源泉徴収税額の合計」と、年末調整で計算した「年調年税額」を比較します。天引き額の方が多ければ差額を従業員に「還付(返金)」し、少なければ足りない分を「追加徴収」として12月または1月の給与から差し引いて精算します。
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この記事の監修者税理士法人古田土会計
社会保険労務士法人古田土人事労務
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