年末調整で会社に提出する書類は?担当者向けに添付用紙や必要な証明書類を解説
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「年末調整で従業員から回収する書類は?」「年末調整書類の書き方を知りたい」総務・労務担当の方は年末調整の際、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。年末調整とは、会社が従業員から源泉徴収をしている所得税の精算のために行う手続きです。担当者は、従業員から多くの書類を回収し、税務署に提出しなければなりません。
ここでは、年末調整で従業員が会社に提出する書類や、書き方を解説します。
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年末調整で従業員が会社に提出する書類
年末調整は、会社が従業員の所得税を精算するために行う手続きです。そのため、会社主導でスケジュールが進みます。漏れなく回収を進めるために、従業員が会社に提出する書類を把握しておきましょう。従業員が会社に提出する書類は以下のとおりです。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
※国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和5年分)」
それぞれの書類にどのような役割があるか解説します。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、所得税の扶養控除を受けるための書類です。この申告書には以下のような特徴があります。
- 会社から給与の支払いを受ける人全員が提出する
- その年最初に給与の支払いを受ける日の前日までに提出する
- 従業員は入社時にも提出している
- 「来年の源泉所得税」を計算する目的がある
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、当年の年末調整以外にも翌年の源泉所得税を計算する役割があり、当年分と翌年分を提出します。また、入社時にも従業員から回収することが定められています。
給与所得者の保険料控除申告書
「給与所得者の保険料控除申告書」は、その年に保険料を支払った人が記入する申告書です。たとえば以下のような保険料を支払った場合に控除を受けられます。
- 生命保険
- 地震保険
- 社会保険
- 小規模企業共済等掛金(iDeCoなどの掛金)
支払った保険料は証明書が届くので、それを参考にして申告書に記入します。従業員は提出時に証明書も添付するため、年末調整時期に手元になければ保険会社に発行を依頼するように促しましょう。
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
非常に長い名前の申告書で、その名前のとおり3種類の申告書が一枚の様式になっています。下表で対象となる条件を確認しましょう。
対象者 | |
---|---|
基礎控除申告書 | 合計所得金額2,500万円以下 |
配偶者控除申告書 | 合計所得金額が1,000万円以下 かつ 配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下 |
所得金額調整控除申告書 |
給与収入が850万円超で、以下の条件に該当
|
※国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和5年分)」
年末調整で控除を受けるために従業員が自分で用意する書類
年末調整で従業員が自分で用意する書類を確認しましょう。会社から年末調整の用紙を配付されたのち、必要事項を記入して証明書類を添付して提出します。以下の書類が届いているか確認が必要です。
- 生命保険料の控除証明書
- 地震保険料の控除証明書
- 小規模企業共済等掛金払込証明書(iDeCoの掛け金がある人など)
- 国民年金の控除証明書など
- 住宅ローン控除に必要な借入金の年末残高等証明書など
※国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和5年分)」
年末調整は会社主導でおこなう手続きです。従業員にも余裕を持って年末調整の書類を配付する時期を告知しておけば、必要書類の回収もスムースでしょう。
年末調整で従業員が会社に提出する書類の書き方
年末調整で従業員が会社に提出する書類の書き方を確認しましょう。それぞれ記入する項目を解説します。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書には、従業員が扶養している家族の情報と、住民税に関する情報を記入します。扶養控除等(異動)申告書についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族の書き方
「源泉控除対象配偶者と控除対象扶養親族」に記入する情報は以下のとおりです。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の扶養控除等申告書」
-
1 生計を一にする配偶者(年間の合計所得金額が95万円以下)を記入する
-
2 扶養親族の情報を記入する
-
3 対象の個人番号を記入する
-
4 年齢が70歳以上の扶養親族が対象者である場合チェックを入れる
-
5 年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族が対象者である場合チェックを入れる
-
6 対象者が「非居住者」の場合〇をつける
障害者・寡婦・ひとり親または勤労学生の書き方
障害者・寡婦・ひとり親または勤労学生のいずれかに該当する場合に受けられる控除です。書類に記入する情報は以下のとおりです。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の扶養控除等申告書」
-
1 生計を一にする配偶者が一般の障害者、特別障害者または同居特別障害者に該当する場合にチェックを入れる
-
2 扶養親族が一般の障害者、特別障害者または同居特別障害者に該当する場合はチェックを入れる
-
3 寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合はチェックを入れる
-
4 1から4までに該当する人の氏名や事実を記入する
住民税に関する事項の書き方
16歳未満の扶養親族は扶養控除の対象とはなりませんが、住民税の計算で利用するので、記入しましょう。記入する情報は以下のとおりです。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の扶養控除等申告書」
-
1 年齢16歳未満の扶養親族がいる場合は記入する
-
2 国内に住所がない16歳未満の扶養親族に該当する場合は〇をつける
-
3 退職金のある配偶者がいる場合は記入する
-
4 対象者が非居住者である場合はチェックを入れる
-
5 退職金を除いた合計所得金額を記入する
-
6 退職金を受ける配偶者が障害を持っている場合はチェックを入れる
-
7 寡婦またはひとり親に該当する場合はチェックを入れる
給与所得者の保険料控除申告書の書き方
給与所得者の保険料控除申告書の書き方を解説します。
生命保険料控除の書き方
生命保険料を支払っている場合は、年末調整で控除申告ができます。記入する情報は以下のとおりです。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書」
-
1 一般の生命保険料についての証明書を見ながら記入する
-
2 介護保険料を記入する
-
3 個人年金保険料を記入する
-
4 生命保険料の総額を記入する
保険料の金額は、事前に用意した「保険料控除証明書」の数字を参考にして記入してください。
地震保険料控除の書き方
地震保険料を支払っている場合も控除を申告できます。記入する情報は以下のとおりです。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書」
地震保険料控除申告書に記入する内容を以下で解説します。
-
1 保険会社の名称を記入する
-
2 保険の種類を記入する
-
3 保険期間を記入する
-
4 契約者の氏名を記入する
-
5 地震保険料または旧長期損害保険料に〇をつける
-
6 本年中に支払った保険料を記入する
-
7 6のうち地震保険料の合計金額を記入する
-
8 7の金額を記入する
-
9 8の金額を記入(限度額は50,000円)する
このように、申告書は地震保険料控除証明書を参考に記入します。
社会保険料控除の書き方
国民年金保険料や国民年金基金などを自分で支払ったときも控除を受けられます。記入する情報は以下のとおりです。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書」
この書類に記入するのは、たとえば自営業から年の途中で転職して、会社勤めになった人などです。
小規模企業共済等掛金控除の書き方
iDeCoの掛金や小規模共済契約の掛金などを支払っている場合は「小規模企業共済等掛金控除」の欄に、年間の支払額を記入します。iDeCoの掛金は以下の赤枠に記入します。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の保険料控除申告書」
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書の書き方
「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」の書き方を見ていきましょう。
給与所得者の基礎控除申告書の書き方
給与所得者の基礎控除申告書は、基本的には給与明細を確認しながら記入します。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
-
1 一年間に得た収入と所得金額を記入する
-
2 一年間に得た給与から該当する控除額にチェックを入れる
-
3 配偶者控除または、配偶者特別控除の適用を受ける場合は記入する
転職などをした場合は、前職の源泉徴収票をもとに記入します。
給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方
従業員が配偶者控除の対象であれば、給与所得者の配偶者控除等申告書に必要事項を記入します。基礎控除申告書の隣が記入欄です。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
申告書に記入する情報は以下のとおりです。
-
1 配偶者の氏名、個人番号などの情報を記入する
-
2 配偶者の一年間の合計所得を記入する
-
3 配偶者の条件にチェックを入れる
-
4 3の条件から控除額を計算する
-
5 4で出した控除額を記入する
所得金額調整控除申告書の書き方
所得金額調整控除の申告書は、以下の記載例を参考にしてください。なお、給与の収入金額が850万円以下であれば記入する必要はありません。

※国税庁「令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
記入する内容は以下のとおりです。
-
1 該当する要件にチェックを入れる
-
2 要件欄で「あなた自身」以外にチェックを受けた場合、要件に該当する配偶者または扶養親族の氏名、生年月日、個人番号等を記入する
-
3 障害の状態または交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度などの特別障害者に該当する情報を記入する
給与による収入金額が850万円超の従業員は、控除を受けられるので確認しましょう。
住宅借入金特別控除申告書の書き方
「住宅借入金特別控除申告書」は、従業員が年末調整で住宅ローン控除を受けるときに記入する申告書です。1年目は確定申告で控除を受け、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。
以下の証明書を参考に住宅借入金特別控除申告書に記入します。
- 住宅ローン控除等申告書
- 住宅ローン年末残高証明書

※国税庁「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の記載例」
-
1 「住宅ローン年末残高証明書」を参考に記入する
-
2 「住宅借入金等特別控除証明書」を参考に記入する
-
3 「住宅借入金等特別控除証明書」を参考に記入する
-
4 「1の枠」と「2の枠」を比較して、金額の少ないほうを記入する
-
5 「4の枠」と「3の枠(上記画像の場合100)」をかけた額を記入する
-
6 「5の枠」と同じ金額を記入する
-
7 年間所得の見積金額を確認して記入する
-
8 「年末残高証明書」を参考に記入する
-
9 住宅ローン残高のうち自分が負担する金額、また他の連帯債務者の「住所・氏名・勤務先」を記入する
住宅借入金特別控除申告書の書き方についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
年末調整で会社に提出する書類は漏れのないようにしよう
年末調整は、会社が従業員の所得税を調整する手続きです。従業員によって控除する内容や必要な証明書は変わるため、担当者にとっては煩雑な作業です。
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