請求書の保管期間は何年?法人・個人事業主の場合や保管方法を解説
監修者: 中川 美佐子(税理士)
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請求書とは、取引に対する対価の支払いを求めるために発行される文書のことです。取引内容や条件を記載し、授受・保管することで、支払の請求が行われた事実を証明する役割を果たします。そのため、商取引において請求書は欠かせません。請求書の保管期間は事業の形態や状況によって異なるため、正しく理解することが重要です。
本記事では、法律に基づき、個人事業主、法人、副業で雑所得がある方など、それぞれのケースごとに請求書の保管期間を解説します。また、インボイス制度に対応した適格請求書の保管期間や、電子帳簿保存法に則った請求書の保管方法、保管時の注意点についても紹介します。
【状況別】受け取った請求書の保管期間
請求書は、受け取った後に一定期間保管することが法律で義務付けられています。ここからは、個人事業主(消費税課税事業者を含む)、法人、副業による雑所得がある個人の方について、状況別に請求書の保管期間を解説します。
個人事業主の請求書の保管期間は原則5年間
所得税法により、個人事業主が受け取った請求書は、その請求書に関する確定申告期限の翌日から起算して、原則として5年間保存する必要があります。青色申告・白色申告のいずれの場合でも、この保管期間は共通です。
例えば、2024年分の所得税の確定申告期限は、2025年3月17日でした。したがって、確定申告期限の翌日である2025年3月18日が起算日となり、2024年1月1日から12月31日の間に受け取った請求書は、5年後の2030年3月17日までが保管期間となります。
なお、青色申告をしている個人事業主は、現金預金取引等関係書類・決算関係書類・帳簿を7年間保存することが義務付けられています。ただし、前々年分の事業所得または不動産所得の金額が300万円以下の場合、現金預金取引等関係書類のみ保管期間は5年です。現金預金取引等関係書類には、領収書、小切手控え、預金通帳、借用証などが含まれ、決算関係書類には損益計算書、貸借対照表、棚卸表などが該当します。
請求書そのものの保管期間は5年とされていますが、これらの関連書類とまとめて7年間保管しておくことで、万が一の提出要請や確認時にも安心です。必要な書類を誤って早期に廃棄してしまい、提示できない場合、青色申告の承認が取り消される可能性もありますので、慎重な管理を心掛けましょう。
参照:e-Gov 法令検索「所得税法施行規則 第六十三条」
参照:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
個人事業主で消費税課税事業者の場合は7年間
個人事業主は、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合、消費税課税事業者となります。課税売上高とは、消費税の課税対象となる取引によって得られた売上のことです。土地や有価証券の売却などの非課税取引は含まれません。
例えば、以下のような課税売上高の事業者がいたとします。
年度 | 課税売上高 |
---|---|
2021年の課税売上高 | 1,200万円 |
2022年の課税売上高 | 800万円 |
2023年の課税売上高 | 1,300万円 |
2024年の課税売上高 | 1,000万円 |
以上の事業主は、2023年は課税事業者(2021年の課税売上高が1,000万円を超えるため)、2024年は免税事業者(2022年の課税売上高が1,000万円以下のため)です。また、2023年・2024年の課税売上高も1,000万円を超えているため、2025年と2026年は課税事業者です。
また、前々年の課税売上高が1,000万円以下でも、前年の1月1日~6月30日まで(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えている場合は課税事業者となります。さらに、免税事業者でも課税事業者を選択した場合、また適格請求書発行事業者となった場合は課税事業者になることが可能です。
この消費税課税事業者に該当する場合は、請求書を含む関係書類の保管期間が7年間となりますので注意しましょう。
参照:国税庁「No.6621 帳簿の記載事項と保存」
法人の請求書の保管期間は7年間
法人は、法人税法により請求書を7年間保存する義務があります。この7年間とは、対象となる事業年度の確定申告書の提出期限(事業年度終了の翌日から原則2か月)の翌日から起算した期間です。
法人の場合、個人事業主とは異なり、事業年度を法人が決めることができます。そのため、確定申告の時期も企業ごとに異なります。決算ごとに請求書を保管する必要があるため、保管期間に注意してください。
- 例:4月1日から3月31日を事業年度に定めている企業の、2024年分の請求書の保管期限
この場合、2025年3月31日に事業年度が終了し、確定申告期限は2025年5月31日です。そのため、2024年度分の請求書は、2025年6月1日から2032年5月31日まで保存する必要があります。
なお、後述する欠損金の繰越控除にも関連しますが、請求書を10年間保管が必要な場合があるので、注意が必要です。保管期間が不足していると税務調査で指摘を受けますが、保管期間を長くすることは問題ありません。
参照:e-Gov 法令検索「法人税法施行規則 第六十七条第二項」
参照:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
雑所得の請求書の保管期間は5年間
副業などで雑所得がある方のうち、前々年のその業務による収入が300万円を超える場合は、請求書を含む現金預金取引等関係書類を5年間保管する必要があります。300万円の判定は「収入金額」で行い、経費を差し引いた所得金額ではないため、注意が必要です。
- 例:2024年1月1日から12月31日の間に受け取った請求書の保管期間
2024年分の所得税確定申告期限は2025年3月17日です。その翌日である2025年3月18日から2030年3月17日までの保管が義務付けられています。
雑所得とは、事業所得・給与所得・利子所得・配当所得・不動産所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のいずれにも該当しない所得のことです。具体的には、事業所得に該当しないECショップでの商品販売やアフィリエイト、せどりによる収入、原稿料などが該当します。それに対して、アルバイトなどで給与を得ている場合は、雑所得ではなく給与所得に該当するため、請求書の保管義務はありません。
参照:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
適格請求書の請求書は個人・法人問わず7年間
適格請求書(インボイス)を受け取り、仕入税額控除をする場合、個人・法人を問わず7年間保存することが義務付けられています。また、発行者側も控えを作成し、7年間保存する必要があります。この7年間は、課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から起算されます。
- 例:2024年1月1日から12月31日の間に適格請求書を受け取った個人事業主の保管期間
上記の個人事業主の場合、2025年1月1日から2か月後の2025年3月1日を起算日とし、2032年2月29日まで保管が必要です。
- 例:2024年4月1日から2025年3月31日を事業年度に定めている法人の適格請求書の保管期限
上記の法人の場合、2025年4月1日から2か月後の2025年6月1日を起算日として、2032年5月31日まで保管が必要です。
適格請求書は、税務署で「適格請求書発行事業者」として登録を受けた事業者が発行できます。適格請求書には、従来の請求書の記載事項に加え、適格請求書発行事業者の登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額などが記載されています。適格請求書発行事業者となる場合は、自動的に課税事業者として扱われるため、制度を十分に理解したうえで検討してください。
適格請求書についての詳細は、以下の記事でも解説しています。
欠損金額がある請求書の保管期間は10年
法人が欠損金の繰越控除を適用する場合、対象となる請求書の保管期間は10年間となります。欠損金の繰越控除とは、赤字(欠損金)を一定期間、将来の黒字所得と相殺できる制度で、法人税の負担を平準化するためのものです。
赤字が発生した事業年度に作成した請求書は、10年間の保管義務があります。青色申告書を未提出の事業年度で、災害損失金が発生した場合も同様です。この10年間は、事業年度終了日の翌日から2か月後を起算日として計算されます。
- 例:2024年4月1日から2025年3月31日の事業年度に欠損金額があった場合の請求書の保管期限
このケースでは、事業年度の終了日が2025年3月31日なので、2か月後の2025年5月31日の翌日、2025年6月1日から2035年5月31日までが請求書の保管期間です。
参照:e-Gov 法令検索「法人税法施行規則 第二十六条第三項」
参照:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
発行した請求書の控えの保管期間
発行した請求書については、保存しなければならないという決まりはありません。ただし、インボイス制度の開始に伴い、適格請求書発行事業者となり適格請求書を交付した場合は控えの作成・保管が義務付けられています。
適格請求書の控えの保管期間は、7年間です。起算日は請求書を発行した日、あるいは渡した日の属する事業年度の末日の翌日から2か月を過ぎた日です。
- 例:事業年度2024年1月1日から12月31日までに発行した適格請求書の保管期間
例えば、12月決算の法人の場合、課税期間の末日2024年12月31日の翌日、2025年1月1日から2か月後の2025年3月1日が起算日になります。よって、2032年2月29日まで保存する必要があります。
なお適格請求書に限らず、請求書の控えを作成した場合は、取引に関して作成した書類としてきちんと保管する義務があります。
請求書は先方(買手側)に支払いを要求するために発行する重要度の高い書類です。どのような請求書をいつ発行したのか、わかるように記録を残しておくのが望ましいです。一切の控えがないと、「請求したはずなのに入金されない」といった事態が起こったとしても、本当に請求したのかどうか履歴をたどれません。確認を行うためにも請求書控えを作成することをおすすめします。
発行した請求書の控えの保管期間
発行した請求書については、控えの作成は義務ではありません。ただし、インボイス制度の開始に伴い、適格請求書発行事業者が交付した適格請求書に関しては、控えの作成・保存が法律で義務付けられています。
適格請求書の控えの保管期間は7年間です。起算日は、その請求書を発行した課税期間の末日の翌日から2か月が経過した日です。
- 例:事業年度2024年1月1日から12月31日までに発行した適格請求書の控えの保管期間
このケースでは、課税期間の末日は2024年12月31日です。申告期限である2か月後の2025年3月1日が保管期間の起算日となり、2032年2月29日まで保存する必要があります。
なお、適格請求書に限らず、請求書の控えを作成した場合、それは取引に関する文書として扱われるため、適切に保管する義務があります。また、請求の有無が確認できないといった事態を避けるためにも、請求書の控えをきちんと保存しましょう。
参照:国税庁「インボイス制度に関するQ&A目次一覧 問79」
請求書の保管期間の数え方
請求書の保管期間は一律ではありません。請求書を受け取ったのが個人事業主か法人か、また受け取った請求書が適格請求書かどうかによって保管期間が異なります。以下では、それぞれのケースにおける保管期間と起算日を紹介します。
保管期間の開始日は確定申告書の提出期限の翌日
通常の請求書の保管期間は、確定申告書の提出期限の翌日からカウントします。
個人事業主の場合、確定申告期間は毎年2月16日〜3月15日なので、保管期間の開始日(起算日)は3月16日です。ただし、3月15日が土日祝日に当たる場合は、提出期限が翌平日に繰り下がるため、その場合は保管期間の開始日も変更になります。
法人は事業年度を任意に決定できます。法人税の確定申告期限は、事業年度終了日の翌日から2か月後と定められているため、起算日は各法人の事業年度に応じて異なります。例えば、4月1日~翌年3月31日を事業年度とする法人の場合、確定申告期限は5月31日であり、保管期間の起算日は6月1日です。
適格請求書の起点は事業年度終了日の翌日から2か月後
消費税の計算の際に、仕入税額控除を適用するための適格請求書の保管や、発行済み適格請求書の控えを保管する場合、起算日は異なります。適格請求書の保管期間は、発行日が含まれる「課税期間」の末日の翌日から2か月後を起算日とします。
個人事業主の場合、消費税の課税期間は毎年1月1日〜12月31日であるため、起算日は3月1日となります。それに対して、法人の場合、課税期間はその法人の事業年度です。例えば、事業年度が4月1日〜翌年3月31日の法人では、事業年度終了日の翌日から2か月後、すなわち6月1日が起算日となります。
適格請求書と通常の請求書では保管期間の起算日が異なるため、混同しないよう注意しましょう。
参照:国税庁「インボイス制度に関するQ&A目次一覧 問79」
参照:国税庁「No.6137 課税期間」
電子帳簿保存法に則った請求書の保管方法
近年、請求書はさまざまな形式で発行されるようになりました。電子データで請求書を受け取った場合、電子帳簿保存法に則った適切な方法で保管することが義務付けられています。なお、紙に印刷して保管しても、電子帳簿保存法上の保管とはみなされない点にも留意しましょう。
以下では、紙の請求書と電子データの請求書それぞれについて、電子帳簿保存法による保管方法を解説します。
電子帳簿保存法に沿った電子データの請求書の保存方法については、以下の記事もご覧ください。
紙の請求書は紙のままで保管してよい
請求書を紙で受け取った場合は、原則として紙の原本をそのまま保管しておけば問題ありません。また、紙で受け取った請求書をスマートフォンやスキャナでスキャンし、電子データとして保存も可能です。この場合、紙の原本は破棄できるため、保存スペースの削減につながります。
ただし、スキャンを行う際は、電子帳簿保存法の定める以下の要件を満たす必要があります。
-
- 入力期間の制限(早期入力方式か業務処理サイクル方式)
- 解像度要件(200dpi相当以上の解像度)
- カラー要件(赤・緑・青それぞれ256階調以上、24ビットカラー)
- タイムスタンプの付与(一定の条件で省略可能)
- 訂正・削除の管理
- 帳簿との関連性確保
- 出力要件(整然とした形式で、書類と同程度に明瞭、拡大・縮小が可能で、4ポイントの文字が認識できる状態)
- システム概要書等の備付け
- 検索機能の確保
参照:国税庁「電子帳簿保存法 はじめませんか、書類のスキャナ保存」
電子取引の請求書は電子データで保管する
2024年1月1日以降、電子取引で受け取った請求書は、必ず電子データのまま保管しなければならないことが法律で義務付けられています。電子取引に該当する請求書の例は以下のとおりです。
- 【主な電子データの請求書】
-
- メールに添付されたPDFの請求書
- 請求システムなどを使って電子的に発行された請求書
- ファイル転送サービスを利用してダウンロードした請求書
電子取引で受け取った請求書は、電子取引の要件に沿って保管する必要があります。要件に従って保管していれば、社内確認用にプリントアウトしても問題はありません。
また、電子的に発行した請求書の控えについても、電子データとして保管しなければなりません。メール添付で請求書を送付したり、請求システムを利用して請求書を発行したりすることは、近年、個人事業主や法人を問わず広く行われています。多くの方に該当するため、適切な運用ルールの検討をおすすめします。
電子帳簿保存法による電子取引の要件
電子取引で受け取った請求書は、以下の要件を満たして保存しなければなりません。
- 【すべて満たす必要のあるもの】
-
- コンピューターやディスプレイ、プリンターなどとそのマニュアルの備え付け、および明瞭かつ整然とした形式ですぐに出力できる状態にしておくこと
- 電子計算機処理システムの概要書など、関連書類の備え付け
- 取引年月日や取引金額、取引先などによる検索機能を確保すること
- 【いずれかを満たす必要があるもの】
-
- 取引先のタイムスタンプがつけられた請求書の受領
- 受領後遅れることなくタイムスタンプをつけ、保存を行う人または監督者に関する情報を確認できるようにすること
- 電子データの訂正および削除を行った場合、記録が残るシステムあるいは訂正および削除が不可能なシステムを採用
- 訂正および削除の防止に関する事務処理規程の整備・運営
タイムスタンプの付与や、記録が残るシステムの導入などについて、個人事業主や小規模の企業にはハードルが高い場合もあります。要件を満たせるシステムを利用するか、訂正および削除の防止に関する事務処理規程を整備する形で対応しましょう。
請求書を保管する際の注意点
請求書を保管する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。以下の5点を押さえておけば、適切に請求書を管理できるため、ぜひ確認しておきましょう。
請求書は原則として原本を保管する
受領した請求書は、改ざんを防ぐためにコピーや写しではなく、原則として原本を保管します。コピーや写しの請求書を認めてしまうと、請求番号の一部を改ざんして1枚の請求書を2枚に見せかけるなど、不正が行われるリスクがあるためです。請求書の信頼性を保ち、不正会計を防ぐために、必ず原本を保管しましょう。
電子データで受領した請求書はそのまま電子データで、紙の請求書は紙のまま保管すれば問題ありません。また、電子帳簿保存法に則って、紙の請求書をスキャンし電子データとして保管することも可能ですが、その場合は電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。
請求書は入金の状況によって分類する
受領した請求書は、未払いか支払済みかで分類すると整理しやすくなります。受領した請求書の保管目的は、正しい税金の申告を行うためだけでなく、支払い状況を把握して支払いの遅延や漏れを防ぐことにもあります。
また、発行した請求書の控えも入金済みと未入金とで分け、入金が確認できたらその日付を記録しておくと、管理ミスの防止に効果的です。支払期限ごとに整理し、後から確認しやすいように工夫しましょう。
すぐに探せるよう工夫する
発行した請求書の控えを保管する際は、請求書番号を記載するなど、すぐに探せるよう整理方法を工夫することが重要です。請求書番号に法的な決まりはありませんが、自社で一貫性のあるルールを設けると管理がしやすくなります。紙の請求書の場合、「発行日」「取引先名」「金額」などの情報をファイルに明記し、発行日順や取引先ごとに分類しておくと、探すのが容易です。
電子データの請求書の場合は、請求管理システムを活用することで、保管だけでなく、入金確認や債権残高の管理も自動化でき、業務効率化につながります。
保管期間が終了した請求書は適切な方法で破棄する
法令で定められた保管期間が終了した請求書は、適切に破棄できます。ただし、請求書には取引に関する重要な情報が記載されているため、処分の際は情報漏えいを防ぐためにも十分注意が必要です。
紙の請求書はシュレッダーで細断したり、溶解処理を施したりする方法が一般的です。それに対して、電子データの請求書は、第三者によって閲覧やコピーができないよう、完全に削除する方法を選びましょう。
請求書の破棄方法については、以下の記事もご覧ください。
法改正に注意する
請求書を始めとする取引書類の保管方法は、法改正によって要件が変更されることがあるため注意が必要です。実際に、インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正により、保管要件が変わった例もあります。そのため、定期的に最新の法令や制度改正を確認し、常に最新の基準で請求書を管理しましょう。
保管方法が変更された場合、既存のシステムや業務フローを見直し、対応する必要があります。しかし、請求管理システムを導入していれば、バージョンアップなどでスムーズに対応できることも多く、負担を軽減できます。
【Q&A】請求書の保管に関するよくある質問
請求書の保管にあたっては、さまざまな法律や制度が関係するため、疑問が生じやすいものです。ここでは、特によくある3つの質問を取り上げて解説します。あらかじめ確認しておくことで、請求書保管に関するトラブルを防げます。
受領した請求書はいつ捨てればよい?
受領した請求書は、定められた保管期間が経過すれば、処分して問題ありません。保管期間は、個人事業主・法人・副業など状況によって異なります。詳しくは「【状況別】受け取った請求書の保管期間」で確認してください。
保管期間を過ぎた請求書は、紙の場合はシュレッダーや溶解処理などで、電子データの場合は完全に削除するなど、適切な方法で処分しましょう。
発行した請求書の控えは何年保管する?
請求書を発行した事業者には、控えの作成義務はありません。しかし、控えを作成した場合には、受領した請求書と同様に一定期間保管が必要です。控えの保管期間は以下のとおりです。
【個人事業主の場合】
青色申告・白色申告問わず、確定申告書の提出期限の翌日から5年間
【法人の場合】
確定申告書の提出期限(事業年度終了日の翌日から2か月後)の翌日から7年間
【適格請求書の控えの場合】
請求書の交付日または提供日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間
領収書や納品書も保管が必要?
請求書以外にも、領収書や納品書といった取引に関する文書は多数発行されます。これらの書類も、受け取った場合や控えを作成した場合には保管が必要です。保管期間は以下のように、書類の種類や事業者の区分によって異なります。
【個人事業主の場合】
- 青色申告:領収証7年間、納品書5年間
- 白色申告:領収証5年間、納品書5年間
※前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合は、領収証・納品書7年間
【法人の場合】
領収証・納品書7年間
※欠損金の繰越控除を適用する法人は、領収証・納品書10年間
【副業などで雑所得のある方の場合】
領収証・納品書5年間
参照:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
参照:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
請求書はシステムを活用して適切に保管しよう
請求書は、5年から10年といった長期間にわたって保管が求められる重要な書類です。受領した請求書だけでなく、自ら発行して控えを作成した場合にも、同様の保管期間が適用されます。特に、インボイス制度に対応した適格請求書の場合は、通常の請求書とは保管期間が異なる点に注意しましょう。
また、電子帳簿保存法に基づき電子データで請求書を保存する場合は、満たすべき要件が複数定められています。請求書を適切に保管するためには、入金の有無で分類したり、取引日や取引先名ごとに整理したりと、後からスムーズに確認できるような工夫も大切です。しかし、すべての請求書を手作業で管理するのは容易ではありません。
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この記事の監修者中川 美佐子(税理士)
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