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発注書には何を記載する?注文書との違いや作成の流れを解説

取引を行う中でやりとりされる書類の1つである発注書は、法的な発行義務こそないものの、取引を円滑に進めるための役割を担う書類です。

ここでは、発注書や発注請書の役割の他、作成方法、記載項目などについて詳しく解説します。

発注書とは注文を行う意思表示をするための書類

発注書とは、商品やサービスを注文する側が、注文を受ける側に対して発行する書類です。確かに注文を行ったという意思表示と共に注文の内容を明らかにするもので、具体的な商品名やサービス名、数量、納期、支払い条件や発注書の有効期限などが記載されます。

発注書は、主に取引において、注文先に対して発行されるものです。例えば、株式会社Aが株式会社Bから掛け買いで商品を購入する場合、株式会社Bに対して発注書を発行することがあります。しかし、客Cが小売店Dを訪問して商品を買う場合、客Cが小売店Dに発注書を発行することはほぼないでしょう。

ただし、一般的な商取引における発注書の発行は法的な義務ではありません。企業間取引であっても、発注書を発行しないまま取引を行うこともあります。また、企業と個人の取引や、個人間の取引であっても、取引内容によっては発注書を発行するケースも考えられます。例えば、はじめての取引であったり、取引の相手がフリーランスなど個人事業主であったりする場合、発注書を発行することで、取引の不安払しょくや安心感を与えることができます。

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発注書の目的と役割

ビジネス上のやりとりに対して発行される発注書には、さまざまな目的や役割があります。下記で詳しく解説します。

取引の円滑化、不安の解消のため

発注書を発行することで、いつ、誰に、何を注文したのかが明確になります。口約束で「商品を500個買います」と言われた場合、該当の商品を用意して納品した際に「そんな注文はしていません」と断られてしまったら、発注の事実を証明できません。発注書を発行することで、取引先(買手側)に対してこのような不安を抱かせることがなくなります。

認識違いによるトラブルを防止するため

発注書には、発注内容が明確に記載されています。そのため、双方の認識違いによるトラブルを防ぐ役割も期待できます。

例えば、商品Aと商品B、それぞれに付随する保守サービスを提供している会社に注文をする際、「AとBと保守サービスをお願いします」とメールに記載していたとしましょう。しかし、これだけでは、保守サービスがAとB両方にかかるのか、Bのみにかかるのかが不明瞭です。

発注書には、具体的な発注内容と金額が明記されるため、何を注文したいのかをはっきりさせることができます。

下請代金支払遅延防止法を遵守するため

通常の商取引において、発注書の発行は義務ではありません。しかし、取引が下請代金支払遅延防止法の適用範囲に含まれる場合は、発注書を発行する必要があります。立場が弱くなりがちな下請事業者を保護し、適正な取引が行えるようにするために、発注書の発行が義務付けられているからです。

取引が、下請代金支払遅延防止法の適用範囲内かどうかは、業務の内容や、発注者と受注者それぞれの資本金額によって決まります。下記の場合は、適用範囲となり発注書の作成が必要です。

物品製造・修理の委託を依頼する場合

  • 発注者の資本金が3億円超で、受注者の資本金が3億円以下または個人
  • 発注者の資本金が1,000万円超3億円以下で、受注者の資本金が1,000万円以下または個人

ソフトウェアなど情報成果物の作成やビルメンテナンス、運送などの委託を依頼する場合

  • 発注者の資本金が5,000万円超で、受注者の資本金が5,000万円以下または個人
  • 発注者の資本金が1,000万円超5,000万円以下で、受注者の資本金が1,000万円以下または個人

発注書と注文書、契約書、発注請書の違い

発注書と迷いやすい書類に、「注文書」や「契約書」「発注請書」があります。それぞれどのような書類なのか、詳しく見ていきましょう。

発注書と注文書は法的に同じもの

発注書と注文書には、法的な違いはありません。どちらの言葉を使ったとしても、記載事項や発行タイミング、書類の持つ役割、内容は同じです。

ただし、業界や企業によって、形のないものの取引やサービスには「発注書」、商品など形のあるものの取引には「注文書」といった使い分けをしている場合があります。こうした違いは慣例的に行われているものなので、社内や取引先との間でルールが曖昧にならないように配慮が必要です。どちらかに統一するか、ルールを明文化することをおすすめします。

発注書は一方的な発行、契約書は双方の合意のもと作成

契約書は、注文をする側と受ける側の双方が取り交わす書類です。発注書や注文書は、注文をする側が発行するものですが、契約書には、注文をする側と受ける側、双方が署名を行います。

発注書や注文書は、注文する側が契約の申込みの意思表示をする場合に使用されるものですから、相手側の承諾なしに、発注や注文のみで契約が成立することはありません。注文書を受け取った相手が注文に対して了承した場合や、基本契約で「発注書の発行によって契約が成立する」と双方が合意している場合など、発注書のみで契約が成立するケースもあります。

発注請書とは発注を受け付けたことを伝える書類

発注請書は、商品やサービスの注文を受けた側(受注側)が注文した側に対して発行する書類で、発注を受け付けたことを伝えるのが役割です。発注請書の発行は義務ではありませんが、発注側から提出を求められることもあります。

例:
発注書(控)、発注書、発注請書の3枚複写になっている手書きの用紙を使い、発注書と発注請書を取引先に送付した。

上記のようなケースでは、発注書を確認し、内容に問題がなければ発注請書に記名捺印をして、注文をした側に渡します。たとえ義務ではなくても、取引先の希望に合わせて対応すれば円滑な取引につながるでしょう。

発注請書の目的と役割

商品やサービスの注文を受けた側(受注側)が、注文した側に対して発行する発注請書。ここでは、発行される際の主な目的と役割についてご説明します。

取引内容の相互確認のため

発注請書には、注文を受けた内容や金額、条件などが記載されています。どのような注文を受けたのかを明確にすることで、注文を受ける側(受注側)と注文する側(発注側)の双方が取引内容を確認できます。

なお、発注請書は発注書を受け取った後に発行することもありますが、その場合、発注書と発注請書の内容は同じものになります。「発注した内容」と「注文を受けた内容」は必ず一致するからです。

発注書に対応できない内容が含まれていた場合は、該当の内容を削除した発注請書を勝手に発行するのではなく、発注者に連絡して新たな発注書を作成してもらいましょう。そのうえで、同一の内容の発注請書を発行してください。

受注の意思を確認するため

発注請書を発行することで、取引成立の意思を確認することができます。注文する側と注文を受ける側の双方の意思確認ができた時点で、契約が成立します。

取引の証拠を残すため

発注請書は「この内容で確かに注文を受けました」という証拠を記した書類です。万が一、注文した商品が届かなかったときも、発注請書を注文した側が受け取っていれば「注文を受けていない」などと言われるおそれはありません。

発注請書と注文請書、受注書の違い

「発注請書」と「注文請書」「受注書」は名称が違いますが、どれも同じように注文を受けたことを証明する書類です。どの名称で発行したとしても、法的な取り扱いに違いはありません。

ただし、慣例として主に作業や業務の請負契約を締結する際は「発注請書」または「注文請書」を使うのに対し、商品の売買には「受注書」を使うケースが多くなっています。法律で決められているわけではありませんが、業界内の暗黙のルールがある場合は、同じ名称、形式で作った方が通りはいいでしょう。

また、社内でルールがないまま名称が混在するのは好ましくありません。どれか1つに統一するか、ルールを定めて運用してください。

発注書・発注請書の発行の流れ

発注書や発注請書は、取引の中で発行される書類です。株式会社Aが、株式会社Bから商品を買う場合を例に、書類発行の流れについて解説します。

株式会社Aが株式会社Bから商品を買う場合の書類の流れ

  • 1.
    発注側である株式会社Aが受注側である株式会社Bに「見積書」の発行を依頼する
  • 2.
    株式会社Bが株式会社Aに対して「見積書」を発行する
  • 3.
    株式会社Aが「見積書」の内容を検討したうえで、株式会社Bに対して「注文書」を発行する
  • 4.
    株式会社Bが「注文書」の内容を確認したうえで、株式会社Aに対して「発注請書(注文請書)」を発行する
  • 5.
    株式会社Bが商品の納入時に株式会社Aに対して「納品書」を発行する
  • 6.
    株式会社Bが株式会社Aに対して、「請求書」を発行する

その他、株式会社Aから株式会社Bに対して、「検収書」や「支払通知書」などを発行する場合もあります。

なお、発注請書の作成ではなく、メールやFAXの返信によって注文を受けた旨の意思表示を行う場合もあります。このようなやり方でも、発注請書を発行した場合と同様に契約が成立します。

また、発注書や発注請書は、紙の書類としてやりとりされることもあれば、PDFなどの電子データでやりとりされることもありますが、どちらでも効力は同じです。

発注書・発注請書の書き方

発注書や発注請書に決まった書式はありません。それぞれの企業が自由にフォーマットを決めて作成できます。とはいえ、発行の目的を考えれば、日付や取引内容等、記載すべき項目はある程度決まってきます。一般的な発注書や発注請書に記載する事項について見てみましょう。

発注書のフォーマット例

一般的な発注書のフォーマット例を紹介します。記載する事項の参考にしてください。

(1)注文先の名称

発注書を発行する相手の名称を記載します。敬称は、企業なら「御中」、個人なら「様」です。

(2)発注書の発行日

発注書を発行した日付を記載します。西暦でも和暦でも問題ありませんが、社内的には統一するのがいいでしょう。

(3)発注番号

注文番号を記載します。番号がなければ記載しなくても構いません。見積番号や請求番号と紐付けられるようにしておくと、どの見積もりや請求に対する発注書なのかがわかりやすくなります。

(4)提出者の会社名、住所、電話番号など

発注書を発行した企業の名称、住所、電話番号などを記載します。メールアドレスも併記しておくとその後のやりとりがスムースになります。

(5)合計金額

記載した発注内容の最終的な合計金額を記載します。

(6)商品名

注文する商品の名称を記載します。誤解がないように、正式な名称や型番などを記載してください。

(7)商品の数量

注文する商品の数量を記載します。バラ売りとセット売りがある商品などの場合は、1個なのか1セットなのかをわかるようにしておく必要があります。

(8)商品の単価

商品を1点買った場合の金額を記載します。

(9)商品の金額

商品の単価×数量を記載します。

(10)消費税など

商品の合計額にかかる消費税額を記載します。項目欄には「消費税(10%)」など、税率を併記します。

(11)備考

その他、発注に際して特記事項があれば記載します。

円滑な取引のために、発注書や発注請書を発行しよう

先方との認識の相違を防ぎ、円滑に取引を進めるためにも、発注書や発注請書を適切に発行することが望まれます。見積書、発注書、発注請書、納品書、請求書といった取引書類は、名称は異なるものの、項目名等はすべて同一です。一連の業務として処理できるシステム、例えば無料から使える「Misoca」などを導入することで、書類の発行にかかる手間を軽減できます。

Misoca」では、見積書から発注書や発注請書をかんたんに作成可能です。見積書をメールで受け取った発注企業は、そこからかんたんに発注書のPDFを出力できるため、手間がかかりません。また、見積書を作成した企業も、見積もりデータをもとに発注請書のPDFを作成できます。注文業務の効率化に、「Misoca」をご活用ください。

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この記事の監修者辻・本郷税理士法人

国内最大規模の税理士法人。専門分野に特化した総合力を活かし、一般企業の税務顧問をはじめ、医療法人、公益法人、海外法人など多種多様なお客様へサービスを提供。開業支援から事業承継、相続・贈与対策、オーナー向けの資産承継など、法人・個人問わずお客様のニーズに柔軟かつ的確に応えるべく、幅広いコンサルティングを行っている。
Webサイト:https://www.ht-tax.or.jp 新規タブで開く

この記事の監修者辻・本郷ITコンサルティング

国内最大級の税理士法人である辻・本郷 税理士法人のグループ会社として2014年に創業。実践した数多くのDX化ノウハウをグループ内外に展開。バックオフィスに課題を抱える組織のコンサルティングから導入までをワンストップで行う。電子帳簿保存法やインボイス制度対応等、最新のコンサルティング事例にも精通。「無数の選択肢から、より良い決断に導く」をミッションとし、情報が多すぎる現代において、お客様にとっての「より良い」を見つけるパートナーを目指す。

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