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動画編集者の仕事・副業は確定申告が必要?経費にできるものや必要な準備を解説

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専業・副業を問わず動画編集の仕事をしている場合、特定の条件を満たすと、所得税の確定申告が必要になります。確定申告は面倒なイメージがある一方で、経費を計上することで、節税メリットを得ることも可能です。そのため、どのような条件を満たすと申告が必要なのか理解し、収入や経費を正しく記帳しておくことが欠かせません。

この記事では、動画編集者が確定申告を行う際の具体的な条件や経費の計上、申告手続きの流れについて解説します。

動画編集の仕事で確定申告が必要なケース・不要なケース

動画編集者として働く際の就業形態は、会社に雇用される、専業で個人事業主として働く、副業として働く、などさまざまです。確定申告が必要かどうかについては専業・副業それぞれで条件が異なります。以下で、所得の金額などの条件について説明します。

専業の場合

個人事業主の場合、年収から経費を差し引いた「所得」が、基礎控除額48万円(合計所得金額2,400万円以下の場合)を超えるなら確定申告が必要です。なお、従業員として雇用されている会社で動画編集に携わる場合は年末調整があり、基本的に自分で確定申告をする必要はありません。

専業で個人事業主として働く場合、企業からの発注を受けるのが一般的です。その他、YouTubeなど自作の動画を作成して投稿し、プラットフォームからの広告収入、物販による収入などを得ている方もいます。赤字の場合では確定申告をする義務はありません。ただし、所得税の確定申告をしない場合、住民税の申告をする必要が生じるので注意が必要です。

また、青色申告の場合、損失申告をすることで最長3年間の赤字を繰り越せます。赤字を翌年以降の利益と相殺することで税負担を軽減できるので、申告するのがおすすめです。例えば、初年度に機材やソフトウェアなどの初期投資が多く、仕事が少なかったため100万円の赤字で確定申告をしたとします。翌年は仕事が増えて黒字化し、経費や控除を差し引いた所得額が300万円だとすると、繰り越した100万円の損失を控除して、所得額200万で申告できます。

繰越損失については、以下の記事でも詳しく解説しています。

副業の場合

会社からの給料以外に、例えばYouTubeの運営など、副業で動画編集の仕事をしている場合、雑所得扱いにしている方も少なくないでしょう。その場合、副業の年間の所得(副業収入から経費を差し引いた金額)が20万円を超えると確定申告が必要になります。逆に、給料の収入金額が2,000万円以下で副業の所得が20万円未満であれば必要ありません。

副業収入を事業所得として扱う場合、赤字の金額と給与所得を相殺させる損益通算を行うことが可能です。雑所得と事業所得の違いについては、記事の後半にある「所得区分を把握する」の項で解説します。

動画編集の仕事で経費にできるもの・できないもの

動画編集の仕事をするうえで経費として計上できるかは、「動画編集の仕事と関連があるか」で判断します。以下では、具体的に経費にできるものとできないものを取り上げます。

経費にできるもの

・電気代・インターネット回線費用
動画編集は室内での作業中心となるため、自宅やオフィスで作業を行う際にかかる電気代やインターネット料金で、業務に関連する分は経費にできます。作業する場所が100%仕事で使う場所の場合は費用の100%、自宅の場合は使用割合を考慮して按分した金額を計上します。
・スマートフォン使用料
業務で電話やSNS、あるいはアプリなどを使用する場合、その分のスマートフォン使用料も経費に計上できます。プライベートとの併用がある場合は、業務での使用割合を考慮し按分します。
・動画編集ソフト
編集に必要なソフトウェアの購入費やサブスクリプション(定額)料金も経費の対象です。例えば、Adobe Premiere ProやFinal Cut Proなどの編集ソフトの利用料は動画編集に直接かかわるため、経費に計上できます。
・機材費(カメラ・マイクなど)
業務に撮影が伴う場合、撮影に使用するカメラ、マイク、三脚などの機材も、業務に必要なものとして経費に含まれます。これらは金額が高いため、漏れなく計上するようにしましょう。10万円以上で1年以上使用可能なものについては減価償却の対象となりますが、「少額減価償却資産の特例」を利用できる場合もあります。

減価償却やその特例について詳しくは以下の記事をご覧ください

・美術費
動画内で使用する装飾やセットや道具も経費になります。ただし、プライベートで使用しているものは除きます。
・書籍・取材費
動画制作のためのインプットとして購入した書籍、取材のための交通費や宿泊費は経費に含まれます。取材での飲食は、動画の内容に関連する場合や打ち合わせが伴う場合は経費にできます。オフの時間の個人的な飲食は経費にできません。
・外注費(デザイン・アニメーション・音響など)
他のクリエイターに外注した場合や演者として出演してもらった場合、外注費として経費に計上できます。例えば、グラフィックやアニメーションの制作や、ナレーションを依頼した場合の費用などが該当します。

これらの経費を正確に記録し、請求書や領収書を保管しておくことが重要です。業務に直接関連するものであれば経費となるため、しっかり管理して確定申告しましょう。

経費にできないもの

プライベートな用途に使われる費用など、業務とは直接関係のないものは経費として認められません。例えば、家族旅行やプライベートの買い物・食事などは、動画編集に多少使用するとしても、プライベートが主な目的であれば経費にできません。動画撮影のときに着た衣服も、プライベートで使用できるため、経費にはならないのが一般的です。

「動画編集の仕事と関連があるか」が判断基準となるため、対象の費用との関連性を論理的に説明できなければ、経費として計上するのは好ましくありません。判断が難しい場合は、税理士などの専門家に確認することも大切です。

また、仕事とプライベートで併用している場合、全額を経費として計上することはできません。例えば、スマートフォンであれば仕事とプライベートの利用割合を明確にしたうえで、プライベートで使用している割合の分は経費から差し引く必要があります。

動画編集者が確定申告を行うために必要な準備

確定申告をスムーズに行うためには、事前に準備することが欠かせません。動画編集者が確定申告を行う際に必要な準備について解説します。

所得区分を把握する

まず、自分の所得区分を把握しておくことが重要です。動画編集の仕事の収入は、主に「事業所得」、「雑所得」、「給与所得」の3つに分類されます。

「給与所得」は動画編集であれば制作会社と雇用関係がある場合です。業務委託中心のフリーランスや副業の方は、基本的には「事業所得」か「雑所得」となります。基本的に事業所得と雑所得を区別するのは、事業として行っていると客観的に判断できる程度の収入やその他の状況を総合的に判断する必要があります。

事業所得か雑所得か迷った場合は、以下の記事もご覧ください。

収入と所得の違いを理解する

確定申告において、混同しがちな点として、「収入」と「所得」の違いがあります。

  • 収入:売上の全体
  • 所得:収入から経費を引いたもの
  • 課税所得:所得から所得控除を引いたもの

収入は売上全体を指し、給与で言えば額面の金額に相当します。所得は、収入から経費を引いたものです。課税所得とは、所得からさらに所得控除を差し引いたもので、これを基に所得税を計算することになります。所得控除には、基礎控除48万円(合計所得2,400万円以下の場合)のほか、社会保険料控除や医療費控除、配偶者控除などがあります。

以下の記事でも詳しく解説しています。

青色申告か白色申告か決める

青色申告は、最大65万円の控除を受けられるため節税メリットが大きく、赤字の最大3年間の繰越も可能です。ただし、事前の申請が必要で、複式簿記で帳簿を付けることが必要になります。

一方、白色申告は手続きが簡単で記帳も単式簿記で良いため、シンプルなのが特徴です。しかし、白色申告は、青色申告のような特別控除がなく、赤字の繰越もできません。どちらを選ぶかは、節税のメリットと手間がかからないメリットでどちらを重視するかによりますが、青色申告はさまざまななメリットがあるので、その点は留意しておきましょう。

収入や経費を帳簿に記録する

収入や経費を記録しておくことは、青色申告でも白色申告でも必要です。そのため、請求書や領収書、レシートなどは必ず保管しておきましょう。

2024年から電子取引のデータ保存が完全義務化されたため、オンラインでの取引やPDFでの請求書のやり取りなどの電子データはそのまま保存しなければなりません。紙のレシートなどの場合は、紙のままで保存しておくか、スマートフォンで写真撮影するなど電子データ化して保存するかを選べます。

帳簿については、青色申告の場合は複式簿記で記帳する必要がありますが、会計ソフトを使えば、専門知識がなくても効率的に記帳が可能です。なお、雑所得の場合、帳簿は作成不要です。ただ、2年前の雑所得の収入が300万円を超える場合は、請求書や領収書などを保存する必要があります。

以下の記事も参照してください。

動画編集者が確定申告を行う際の流れ

確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までの約1か月間です。申告期限のスケジュールは、あらかじめ必ず確認しておきましょう。

1.確定申告に必要な書類を準備する

確定申告には以下の書類が必要になります。

  • 確定申告書
  • マイナンバーカードなど本人確認書類
  • 所得を証明できるもの(青色申告決算書や収支内訳書)
  • 源泉徴収票(源泉徴収があった場合)
  • 銀行口座番号がわかる関連書類(還付がある場合)
  • 各種控除証明書

2.確定申告書を作成する

確定申告書の作成は、主に以下の4種類の方法があります。それぞれの特徴から自分に合った作成方法を選びましょう。

・確定申告ソフト
市販の確定申告ソフトは、記帳内容をベースとして手間をかけずに確定申告書や青色申告決算書の作成が可能です。また、銀行口座やクレジットカードと連携する機能を利用することで、取引データを自動で取り込み、自動で仕訳までされるため、取引の入力の手間を大幅に削減できます。
・手書き
確定申告書に、必要な数字を手書きする方法でも作成・提出できます。ただ、記入に手間がかかるうえ、計算や転記ミスも発生しやすいため、効率性や正確性を考えると会計ソフトを利用するのがおすすめです。
・確定申告書等作成コーナー
国税庁が用意しているオンライン上のシステム「確定申告書等作成コーナー」でも確定申告書の作成が可能です。税務署で職員の方に相談しながら作成することも可能です。

ただ、帳簿の作成には対応していないため、確定申告ソフトを利用して帳簿作成から申告までを一括で行うのが便利です。
・専門家(税理士)への依頼
税理士などの専門家に依頼すると、コストが掛かります。しかし、申告作業を代行してくれることで大幅な負担軽減につながり、申告ミスなどのリスクも大幅に軽減できます。

3.確定申告書を税務署に提出する

確定申告書の提出方法には、主に以下の方法があります。

・e-Tax
e-Taxは、オンラインで確定申告に関する手続きを行えるシステムです。電子データで確定申告書や決算書などを提出できます。e-Taxは、最大65万円の青色申告特別控除の要件の1つでもあります。

ただ、e-Taxでの申告には、あらかじめ利用者識別番号を取得することが必要です。また、電子証明書も必要になりますが、原則マイナンバーカードに格納されているので、マイナンバーカードを持っていれば問題ありません。

e-Taxでの提出方法については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

・郵送
所轄の税務署または国税局の業務センターに郵送する方法でも提出が可能です。確定申告の期限は、期限日の当日消印が有効です。期日が迫っている場合は、郵便局の窓口で消印を押してもらいましょう。

郵送の場合、郵送の費用が必要になる他、優良な電子帳簿保存を行わないと、最大65万円の青色申告特別控除が受けられないため、注意が必要です。

参照:国税庁「書面の申告書等の郵送による提出先となる業務センターの所在地

郵送での提出については、以下の記事で解説しています。

・税務署に直接提出
確定申告書を、所轄の税務署や確定申告会場に直接持参する形で提出できます。窓口が開いている時間であれば税務署窓口で、閉まっている時間であれば時間外収受箱で提出できます。

窓口の場合、申告期限が近いと混雑することや郵送同様に優良な電子帳簿保存を行わないと、最大65万円の青色申告特別控除が受けられないため、注意が必要です。

確定申告書の提出方法の詳細は、以下の記事で解説しています。

動画編集の仕事・副業をするなら確定申告についても理解しておこう

動画編集の仕事や副業を行う際、専業でも副業でも一定の所得を超えると確定申告が必要ですし、たとえ赤字でも確定申告をしておいたほうが節税対策になることもあります。動画編集の場合、機材やソフトウェアなど経費になるものも多いため、漏れなく記帳すると共に、請求書や領収書、レシートを確実に保存しておくことが大切です。

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この記事の監修者奥 典久(奥典久税理士事務所)

奥典久税理士事務所 代表

簿記専門学校で税理士講座講師として勤めたのち、会計事務所で勤務。その後独立し、奥典久税理士事務所を開業。相続(贈与)対策や事業承継コンサルティング経営、財務コンサルティングから各種セミナーなど、幅広く税理士業務に従事。

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