個人事業主が法人成りした年の確定申告のポイント
2016/05/18更新

この記事の執筆者中野 裕哲(起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士)

個人事業主が法人成りするときには、いつもの確定申告とは違う点がいくつかあります。押さえるポイントを押さえて、確定申告の時期になって慌てることがないようにしておきましょう。
POINT
- 売上は設立日の前後で区切る
- 経費はしっかりと区別する
- 役員報酬も忘れずに申告する
売上は設立日前後で区分する
個人事業主が法人成りする際にしっかりと意識しなければならないのは、どこまでが個人としての売上で、どこからが会社の売上になるのかということです。会社を設立した日より前は個人の売上、設立した日以後は会社の売上になるということはすぐにイメージできると思います。
飲食店など現金での代金受け取りが中心の商売であれば特に混乱することもないと思いますが、代金が後払いの場合には少々注意が必要です。
月末に請求書を出して、翌月末に入金される場合を考えてみましょう。
4月1日に会社を設立した場合、3月31日までの売上は個人事業主としての売上です。一方で入金される4月末の時点で会社はできています。しかし、あくまで3月の仕事は個人事業主として受けていたわけですから、入金時点で会社ができていても売上としては個人事業主として申告することになります。入金中心で考えてしまうと混乱するかもしれませんので、注意しましょう。
経費は会社設立のために使った分をしっかりと区別する
売上と同じように、経費も会社と個人事業主のどちらで計上するかをしっかり区別する必要があります。売上はいつの仕事に対する請求かということで区別しました。また、経費についてもいつ使ったかということで区分します。設立後に支払うものでも、個人事業主のときに発生した経費であれば個人事業主側で計上します。
つまり、会社設立のために使った経費は、設立前に支払ったものであっても会社側で計上することになります。例えば会社設立用の印紙代や、会社で使用する印章の購入費用など。これらは会社の経費になりますので、個人の確定申告には含めないようにしましょう。
減価償却費については、法人成りした月の直前までを按分計算することになります。計上を忘れたり、1年分を計上したりすることがないよう注意しましょう。
売上 | どの期間にかかる売上かという点で区別する |
---|---|
経費 | どの期間にかかる経費かという点で区別する。ただし、会社のために支払ったものは、設立前であっても会社の経費となる。 |
役員報酬の申告も忘れずに
個人事業主の時は自分に給料を払うということがなかったので、給与所得の申告はしていない方も多いと思います。しかし、会社を設立した後は、役員報酬という形で会社からお給料を受け取ることになります。自分で設立した会社でも、あくまで会社は会社。会社のお金と自分のお金は明確に区別する必要があるのです。
このため、法人成りした年については、法人成りする前までの個人事業主として稼いだお金である事業所得と、法人成りしたあと会社から受け取った役員報酬をもとに計算した給与所得の2種類の所得を申告する必要があります。
事業所得についてはいつも通りに申告すれば問題ありません。給与所得については、1年分を合算して源泉徴収票という紙を作成して確定申告書に添付します。源泉徴収票を作成するには、毎月しっかりと自分への給料を計算しておく必要があります。確定申告するときになって慌てることがないように、社会保険料や源泉所得税などしっかりと計算しておきましょう。
photo:Thinkstock / Getty Images
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この記事の執筆者中野 裕哲(起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士)
起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。起業コンサルV-Spirits/中野裕哲税理士・社会保険労務士・行政書士事務所代表。
起業コンサルV-Spiritsグループ
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト「DREAM GATE」で10年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『オールカラー個人事業の始め方』(西東社)がある。
