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住民税とは?個人事業主が納める場合の計算・納付方法などを解説

2024/04/18更新

この記事の執筆者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

住民税は地方自治体の行政サービスを支えるための税金です。毎年送付される「住民税決定通知書」と「納付書」に従って納付はしているけれど、住民税のしくみについては、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。

本記事では、住民税と所得税の違いや、住民税の計算方法、納付方法の他、個人事業主やフリーランスが納める税金などについて解説します。

住民税は居住する地方自治体に納める地方税

住民税は、暮らしている地方自治体に納める地方税です。住民に提供される行政サービスは、国と地方自治体が分担しています。具体的には、公共施設や上下水道、消防・救急サービス、ゴミ処理、学校教育などといった、生活に身近な行政サービスが地方自治体によって提供されています。住民税はこうした地方自治体の行政サービスを支えるための税金です。

住民税には、都道府県に納付する「道府県民税(都民税)」と、市区町村に納付する「市町村民税(特別区民税)」の2種類があります。ただし、実際に納付する際は、道府県民税(都民税)と市町村民税(特別区民税)を合計して納付するため、両者を区別して考える必要はありません。

また、住民税は「個人住民税」と「法人住民税」の2種類に分かれますが、個人事業主やフリーランスが負担するのは個人住民税です。そのため、本記事では個人住民税を住民税と表記して解説します。

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住民税と所得税の違い

住民税と所得税とは、納付先が異なります。住民税は地方自治体に納める地方税ですが、所得税は国に納める国税です。住民税と所得税は、どちらも1年間の所得の合計額にかかる税金です。所得税の確定申告書は住民税の申告書も兼ねるため、税務署に確定申告書を提出した場合は住民税に関して別に申告する必要はありません。ちなみに、住民税と所得税には、納付先の他にもさまざまな違いがあります。

個人事業主に課税される、住民税と所得税の主な違いは以下のとおりです。

個人事業主に課税される住民税と所得税の違い
住民税 所得税
納付先 地方自治体
納税のタイミング 確定申告で決定した前年の所得を基に計算され、翌年4回の納期限内に納税する 確定申告で前年の所得・所得税額を確定して納税する
税額の計算や通知 確定申告書などを基に地方自治体が計算して納税者に通知 原則、納税者が自分で計算して確定申告する
個人事業主の納付方法 普通徴収 確定申告での納付
税率 所得額にかかわらず一定 所得額に応じて変わる累進課税
所得にかかわらず負担する均等割の有無 あり なし

住民税の均等割と所得割の計算方法

住民税は、税額の決め方が異なる均等割と所得割で構成されています。ここでは、均等割と所得割のそれぞれの計算方法について解説します。

住民税の内訳のイメージは以下のとおりです。

個人住民税の内訳

個人住民税 均等割5,000円(都道府県1,500円 市区町村3,500円) 所得にかかわらず定額の負担 + 所得割10%(都道府県4% 市区町村6%) 所得に応じた負担

均等割

均等割は、所得額にかかわらず定額が課されます。均等割の金額は自治体によって異なりますが、一般的に道府県民税(都民税)は年1,500円、市町村民税(特別区民税)は年3,500円で、合計年5,000円です。ただし、所得額が自治体の定める基準以下の場合、均等割はかかりません。

所得割

所得割では、所得額に応じた負担が課されます。具体的には、前年の1月1日から12月31日までの所得に税率を掛けて算出します。一般的に住民税の税率は、道府県民税が4%、市町村民税は6%で、合計10%ですが、自治体によって異なる場合もあります。例えば、横浜市の場合、2023年時点の税率は、市民税が8%、県民税が2.025%の合計10.025%です。

住民税の納付方法

住民税の納付方法は「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があり、一般的に働き方に応じて、どちらの納付方法で納めるか決まります。

ここでは、それぞれの納付方法について解説します。

普通徴収

普通徴収は、住民税を自分で納める納付方法です。個人事業主やフリーランスとして働いている場合は、6月ごろになると自宅に住民税決定通知書と納付書が送付されてくるので、6月末日、8月末日、10月末日、翌年1月末日の年4回、届いた納付書を使って納期限内にそれぞれ納付します。なお、納付は金融機関やコンビニエンスストア、市区町村窓口などで可能です。

また、住民税は1年分をまとめて納付することも可能です。納付忘れや納付書の紛失が不安な場合は、まとめて納付しておくとよいでしょう。口座振替での納税も可能で、一度手続きをすれば、その後は納付の手間がかかりません。

特別徴収

特別徴収は、給与から住民税を差し引いて納める方法です。会社員や公務員などの給与所得者が対象で、勤め先が給与から住民税分を控除して、本人の代わりに納付します。そのため、給与所得者は自分で住民税を納める必要がありません。

なお、勤務先には特別徴収が義務付けられており、給与の額が少なくて住民税が差し引きできないなど、特別な理由がない限り特別徴収を実施しなければなりません。

住民税は経費には計上できない

住民税は個人にかかる税金であり、相続税や贈与税などと同様に、経費には計上できません。一方で、事業にかかる個人事業税や消費税などの税金は、経費に計上できる可能性があります。

なお、経費に計上できない税金を、事業用の預金から納付した場合、勘定科目を事業主貸として扱います。この事業主貸での処理は、事業用資金を生活費として使った際と同様です。

住民税を事業用の預金から納付した場合の仕訳例
借方 貸方
事業主貸 80,000 普通預金 80,000

住民税の他に個人事業主やフリーランスが納める税金

住民税の他にも、個人事業主やフリーランスが納めなければならない税金があります。ここでは、納税が必要な主な税金について簡単に紹介します。

所得税と復興特別所得税

住民税の他に個人事業主やフリーランスが納める税金として、所得税と復興特別所得税が挙げられます。所得税は、1月1日から12月31日までの1年間の所得の合計額にかかる税金です。所得税率は累進課税で、所得から所得控除を差し引いた課税所得の額に応じて5~45%が課税されます。

また、復興特別所得税は東日本大震災からの復興のために創設された税金です。復興特別所得税の金額は、原則としてその年分の基準所得税額の2.1%で、2037年まで所得税と併せて納付します。

消費税

個人事業主やフリーランスが一定の要件に当てはまる場合、消費税を納税しなくてはなりません。基準期間または特定期間の課税売上高などが1,000万円を超えた場合は、課税事業者となり、消費税の申告・納付義務が生じます。

基準期間と特定期間は以下のとおりです。

個人事業主の基準期間と特定期間

  • 基準期間:前々年の1月1日から12月31日まで
  • 特定期間:前年の1月1日から6月30日まで

消費税を納める必要があるかどうかは、前々年の課税売上高によって決まるため、基本的には起業から2年間は消費税の納付義務のない免税事業者となります。ただし、インボイスの登録をした場合や特定期間の課税売上高もしくは給与支払額が1,000万円を超えた場合などは、起業直後から課税事業者となることもあるため注意しましょう。

なお、消費税の課税事業者となると、課税売上高にかかる消費税から、仕入れなどにかかる消費税額を控除した額を納税しなければなりません。また、納税した消費税額は、租税公課として経費に計上できます。

個人事業税

個人事業税も、個人事業主やフリーランスが納める税金のひとつです。経営している事業が、地方税法等で定められた約70の法定業種に該当する場合に、納税の義務が生じます。また、個人事業税は地方税のひとつで、前年の所得に応じて税額が決まります。ただし、法定業種に該当しても、年間の事業所得が290万円以下の場合は、原則として個人事業税はかかりません。

所得税の確定申告をした場合は、改めて個人事業税の申告を行う必要はありません。確定申告書の「事業税に関する事項」欄に、必要事項を記入すると自動的に都道府県から納税通知書が送付されてきます。その通知書に従い、原則として8月と11月の年2回に分けて納税します。なお、個人事業税の税率は業種・自治体によって異なります。

正しく確定申告をするため正確に帳簿付けをしよう

住民税は暮らしている地方自治体に対して納める地方税です。個人事業主やフリーランスの場合、確定申告で決定した課税所得を基に、住民税の額が算出されるため、正しく確定申告をすることが重要です。

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この記事の執筆者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。
著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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