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「生計を一にする」とは?条件や別居でも該当する具体例を解説

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所得税の確定申告で所得控除を受ける際などに、「生計を一にする」親族であることが条件となる場合があります。離れて暮らしている場合や、子供に仕送りをしている場合などに、「生計を一にする」親族に該当するのか疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

ここでは、「生計を一にする」親族と扶養親族の違いや、別々に暮らしていても「生計を一にする」親族に該当する具体例、所得控除で「生計を一にする」ことが条件になる控除について解説します。

「生計を一にする」とは共通の資金で生活を営んでいること

「生計を一にする」とは、共通の資金で生活を営んでいることを指します。所得税法での「生計を一にする」親族とは、配偶者、子や兄弟(または姉妹)など6親等以内の血族、配偶者の父母や兄弟(または姉妹)などの3親等以内の姻族であることが前提です。そのため、たとえ生活費を出し合って暮らしていたとしても、ルームシェアをしている友人同士などは、税法上の「生計を一にする」親族には該当しません。

また、共通の資金で生活を営んでいれば、たとえ別居していても、「生計を一にする」親族に該当します。一方、同居をしていても、親世帯と子世帯で完全に家計を分けて暮らしており、互いに金銭援助などがないのであれば、「生計を一にする」親族とはみなされません。

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「生計を一にする」親族と扶養親族の違い

「生計を一にする」親族と扶養親族は、生計を維持されているかどうかが異なります。「生計を一にする」親族とは同じ生活費で生活を営んでいる親族のことで、生計を維持されているかどうかは関係ありません。

一方、扶養親族とは、ある人の収入によって生計を維持されている親族を指します。そのため一般的に、扶養親族は「生計を一にする」親族よりも、狭い範囲を指す概念だといえるでしょう。

扶養親族に該当する人は、以下の条件をすべて満たす必要があります。

扶養親族の条件

  • 納税者と「生計を一にする」人
  • 6親等以内の血族および3親等以内の姻族または里子などに該当する人(配偶者を除く)
  • 年間の合計所得金額が48万円以下の人
  • 青色申告者や白色申告者の事業専従者ではない人

また、扶養親族のうち一定の条件を満たす親族は「控除対象扶養親族」と呼ばれ、確定申告年末調整で申告すると、所得税や住民税の扶養控除の対象になります。控除対象扶養親族には、上記の扶養親族の条件に加えて、申告する年の12月31日時点で、16歳以上の人が該当します。ただし、該当の親族が国内に住んでいない場合は、別途設定された条件を満たさなければなりません。

なお、配偶者は扶養親族ではないため、扶養控除も対象外です。その代わり、一定の条件を満たせば配偶者控除や配偶者特別控除を受けられます。

別々に暮らしていても「生計を一にする」親族に該当する具体例

「生計を一にする」に該当するかの判断基準は、あくまでも家計が同一かどうかです。そのため、別々の場所で暮らしていても、状況によっては「生計を一にする」親族に該当する可能性があります。

ここでは、別々に暮らしていても「生計を一にする」に該当する具体例について解説します。

進学した子供が一人暮らしをしている

別々に暮らしていても「生計を一にする」親族に該当する具体例として、進学した子供が一人暮らしをしている場合が挙げられます。多くの学生は収入が少ないため、学費や生活費、家賃などを親が負担することになるでしょう。親から仕送りを受けているような場合は、「生計を一にする」親族とみなされます。

「生計を一にする」親族に該当する例

  • 家賃や光熱費を親の口座から支払っている
  • 学費を親が支払っている
  • 生活費を定期的に送金している

また、夏休みなどの長期休暇中、実家に帰省するといったことも「生計を一にする」と判断される理由の1つになります。ただし、大学卒業後に就職し、自活するようになった場合は、「生計を一にする」親族ではありません。

一方、大学卒業後も就職できず、親の仕送りを受けて生活をしている場合は、引き続き「生計を一にする」親族です。

世帯主が単身赴任している

世帯主が単身赴任している場合、「生計を一にする」親族に該当します。配偶者や子供と別居していても、世帯主の収入から配偶者や子供の生活費を支出している場合は「生計を一にする」親族です。また、配偶者に収入があったとしても、世帯主と配偶者の収入を家族全体の生活費として暮らしているのであれば、「生計を一にする」親族とみなされます。

近年では、夫婦がそれぞれの収入で生活する家庭も増えていますが、子供の教育費や家の修繕費などは、共同で支払っていく場合が多いでしょう。特殊な事情がある場合を除き、一般的に夫婦や独立していない子供は「生計を一にする」親族であるとみなされます。

施設で暮らす親の生活費を支払っている

施設で暮らす親の生活費を支払っている場合も、「生計を一にする」親族に当てはまります。また、実家で暮らす親に毎月仕送りをしている場合も、「生計を一にする」といえるでしょう。

所得控除で「生計を一にする」が条件になるケース

所得控除の中には、対象となる親族が「生計を一にする」ことが適用の条件になる場合があります。適用される控除を確認して、確定申告や年末調整で確実に控除を受けることが節税につながります。

「生計を一にする」ことが条件になる、所得控除は以下のとおりです。

「生計を一にする」ことが条件になる所得控除
控除の種類 控除の条件
扶養控除 生計を一にする16歳以上の親族(配偶者を除く)がいる場合に申告できる
医療費控除 納税者本人または生計を一にする配偶者や親族の医療費を合算して申告できる
社会保険料控除 納税者本人または生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を負担した場合に申告できる
地震保険料控除 納税者本人または生計を一にする配偶者や親族が常に住んでいる家屋の保険料を支払った場合に申告できる
雑損控除 納税者または生計を一にする配偶者や親族の資産が、災害や盗難、横領被害にあったときに申告できる

賢く控除を活用するためにも「生計を一にする」の意味を理解しておこう

「生計を一にする」とは、共通の資金で生活を営んでいることを指します。「生計を一にする」親族がいる場合は所得控除を受けられる可能性があるため、「生計を一にする」の意味を知り、該当する控除を適切に受けることが、節税対策につながります。

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この記事の監修者岡本匡史(税理士)

岡本匡史税理士事務所新規タブで開く」の代表税理士。
1979年和歌山県生まれ。滋賀県立膳所高校、横浜国立大学経営学部卒業。城南信用金庫、公認会計士事務所勤務を経て、2012年に豊島区池袋にて岡本匡史税理士事務所を設立。
低価格で手厚いサポートを行うことを目標としており、特に開業前~開業5年目の法人・個人事業主の税務会計が得意。
毎年、市販の確定申告本や雑誌の監修にも携わっている。

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