2020/02/20更新 青色申告特別控除とは?最大65万円の控除が受けられて節税対策に有効

監修:
税理士法人 MIRAI合同会計事務所

2020年2月27日、国税庁より確定申告期限の1か月延長が発表されました。

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から2019年分申告所得税(及び復興特別所得税)、個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限が、2020年(令和2年)4月16日(木)まで延長となります。
併せて、所得税の青色申告承認申請書や個人事業の開廃業等届出など、2020年(令和2年)2月27日から2020年(令和2年)4月15日までの間に提出期限・納付をすべき、個人が行うものについても2020年(令和2年)4月16日(木)まで延長されました。

所得税の申告期限・納付期限
2020年2月17日(月)~2020年4月16日(木)
消費税の申告期限・納付期限
2020年1月6日(月)~2020年4月16日(木)
  • 2020年4月6日(月)、国税庁より新型コロナウイルスの影響により申告することが困難な方については、4月17日(金)以降であっても申告書を受け付けることが発表されました。期限が延長される申告・納付、申請等の手続、されないものの詳細につきましては国税庁ホームページ 新規ウィンドウで開くでご確認ください。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」という2種類があり、青色申告には節税につながるさまざまなメリットがあります。青色申告では、30万円未満の減価償却資産や家族への給与を経費として計上できる他、「青色申告特別控除」を受けられます。青色申告特別控除は、所得から最大65万円の控除が受けられるというものです。
ここでは、青色申告特別控除を受けられる条件や節税効果について解説します。

青色申告特別控除とは?

所得税を納めるために所得を税務署へ申告する確定申告は、フリーランスや自営業をはじめとする個人事業主が必ず行わなければならないものです。確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告は白色申告に比べて多少手間がかかりますが、「青色申告特別控除」をはじめとした様々な節税のメリットがあります。

青色申告特別控除とは、最大65万円または10万円を所得から控除できる制度のこと。所得とは、事業で得られた売上から、仕入や人件費などの必要経費を引いた儲けのことです。所得税はその儲けから控除額を引いた「課税所得金額」に応じて課税される税金なので、控除額が大きいと課税される所得額を抑えることができ、大きな節税につながるのです。

控除が無い場合と比べ、青色申告特別控除がある場合は、税金がかかる所得から65万円控除を受ける事が出来る。

65万円の青色申告特別控除を受けられる条件

青色申告をする場合、せっかくならより控除額が高い、65万円の青色申告特別控除を受けたいものです。しかし、この控除を受けるためには、以下に記載する条件をすべて満たす必要があります。

(1)青色申告承認申請書を提出する

まず、青色申告を利用するためには「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。1月16日以降に新規開業した場合は、業務を開始して2か月以内に申請書を提出すると青色申告が利用できるようになります(開業が1月1日~1月15日の場合は3月15日が提出期限』。また、すでに事業を開始していた場合に「今年の収入から青色申告に切り替えたい」という場合は、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出する必要があります。これから開業する人は、開業届とともに青色申告承認申請書を提出するといいでしょう。なお、期限日が土日祝日の場合は、これらの日の翌日が期限日となります。

青色申告承認申請書の提出期限
提出期限
新規開業 1月15日以前に開業 承認を受けようとする年の3月15日まで
1月16日以後に開業 業務を開始した日から2か月以内
白色申告から青色申告へ切り替え 承認を受けようとする年の3月15日まで
所得税の青色申告承認申請書

(2)事業所得か事業的規模の不動産所得がある

青色申告の対象者は「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のいずれかがある個人事業主ですが、65万円の青色申告特別控除は「事業所得」もしくは「不動産所得」のある個人事業主のみが受けられます。「山林所得」の場合は10万円の控除となります。
ただし、不動産所得で青色申告特別控除を受ける場合、その内容が事業と呼べる規模であることが認められれば65万円控除が適用できます。目安としては、10部屋以上の貸与可能な室数があるアパートやマンション、もしくは5棟以上の貸与可能な戸建て物件を有している場合、「事業的規模である」と認められます。この要件を満たさない場合は10万円控除となります。

(3)複式簿記で記帳する

帳簿の記帳には「単式簿記」と「複式簿記」があり、青色申告特別控除を受けるためには複式簿記で記帳する必要があります。単式簿記とは、1回の取引に対し1つの科目に絞って収支を記録する単純な記帳方式です。例えば、科目を「現金」に絞って収支を記録しているおこづかい帳は、単式簿記で記帳されている帳簿です。
複式簿記は、1回の取引を複数の科目で記録する記帳方式です。
取引の流れを詳細に記録できるため、現金などに代表される財産の残高や収支を網羅的に記録することができます。65万円の控除を受けるためには多少手間のかかる記帳を行わなければなりませんが、確定申告ソフトなどを利用すると初心者でも問題なく対応することができます。

複式簿記の記帳例
4月1日にプリンタのインク3,000円を、現金で買った場合
日付 借方 貸方 摘要
2019.4.1 消耗品費 3,000 現金 3,000 プリンタインク代

(4)現金主義ではないこと

青色申告特別控除を受けるためには、現金の動きがなくても、取引が発生した時点で記帳する発生主義の方式を採用する必要があります。現金の動きがあったタイミングで記帳し、仕訳する現金主義は利用できません。

(5)青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)を添付する

青色申告特別控除を受けるには、確定申告書類の他に「貸借対照表」と「損益計算書」を作成して添付することが求められます。

貸借対照表とは、簡単にいうと「年末などのある時点での事業の財政状態」を見ることができる財産目録のようなものです。資産だけでなく返済しなければならない負債などを記載したもので、事業の財務状況を把握するために用いられます。
損益計算書とは、一定期間の儲けを表す書類です。費用を何に使い、どれだけの売上が上がり、どれだけ儲かったのかが把握できる内容となっています。

これらは、自分自身で事業の状況を客観的に分析できるものなので、作成して損はありません。一見、難しいように見えますが、確定申告ソフトなどを利用すると比較的容易に作成することができます。

(6)申告期限内に提出する

当たり前のことではありますが、確定申告の申告期限内に書類一式を提出しなければ、65万円の青色申告特別控除を受けることはできません。
提出期限は原則、毎年3月15日となっています。なお、3月15日が土日の場合は、翌月曜日が期限となります。期限を越えて提出した場合、書類に不備がなかったとしても受け入れられませんので注意が必要です。

65万円の青色申告特別控除でどれくらい節税できる?

65万円の青色申告特別控除は節税につながりますが、具体的にどのくらいの金額を節約できるのでしょうか。税率や控除額は、課税所得金額ごとに変わります。最終的に納税額がどのくらい少なくなるのかは、計算すれば求められます。
課税所得金額は「課税所得金額=(収入-経費-青色申告特別控除)-所得控除額」で求められ、所得税額は課税所得金額に以下の税率を掛けて計算します。

課税所得金額ごとの税率と控除額
課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 9万7,500円
330万円超695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

出典:国税庁「所得税の税率 新規ウィンドウで開く

では、以下の条件であるAさんの所得税額が、控除のない白色申告をした場合と65万円控除のある青色申告をした場合で、どのくらいの差が生じるのか計算していきます。

Aさんは総収入:600万円、経費:200万円、医療費などの控除:80万円 白色申告の場合(特別控除なし)なら課税所得金額:600万円-200万円-80万円=320万円 所得税額:320万円×10%-97,500円=22万2,500円。 65万円の青色申告特別控除を受けた場合なら 課税所得金額:600万円-200万円-65万円-80万円=255万円 所得税額:255万円×10%-97,500円=15万7,500円 納税額を比較すると22万2,500円-15万7,500円 青色申告の方が6万5,000円おトク!
  • 上記の図では、わかりやすくするために税額控除などは考慮していません

以上のように、特別控除のない白色申告の場合と、65万円の青色申告特別控除を利用した場合では、所得税額に6万5,000円もの差が発生することがわかります。
また、課税所得金額は、住民税や国民健康保険の算出にも関わるものなので、所得税だけでなく他の税金も節税できるというメリットがあります。個人事業主が青色申告をするとどれくらい納税額が少なくなるのかは、「個人事業主のかんたん税率計算」でシミュレーションできるので、試してみましょう。

10万円の青色申告特別控除を受ける場合

青色申告特別控除には10万円の控除もあり、これは条件を満たせず65万円の控除を受けられなかった場合に適用されます。例えば、単式簿記で記帳したり、貸借対照表や損益計算書を添付しなかったりした場合は、10万円の控除となります。

青色申告特別控除で65万円と10万円のどちらを利用するかは、確定申告時に自己申告する形となります。しかし、65万円の条件を満たさない内容で65万円の控除を自己申告すると、希望どおり控除を受けられない可能性があります。65万円の特別控除を受けたい場合は、条件に則って正しく申告することが重要です。

2020年から65万円の特別控除を受ける条件が変わる!

2019年分の申告までは、上記の条件で青色申告特別控除の65万円の控除を受けることができますが、2018年度の税制改正により、2020年分の申告からは控除の条件が変更となるので注意が必要です。

所得税には、所得にかかわらず誰もが一律で受けられる「基礎控除」というものがあり、これが税制改正によって38万円から48万円に引き上げられます。それに伴い、従来の条件で青色申告特別控除を受けようとすると、控除額が65万円から55万円に引き下げられます。
ただし、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行うことで、引き続き65万円の青色申告特別控除が受けられるようになります。つまり、従来の方法で行うとトータルの控除額は変わりませんが、e-Taxによる申告や電子帳簿保存を行うことで、控除額が10万円アップすることになるのです。

現行 基礎控除は38万円、青色申告特別控除は65万円 合計103万円 2020年分(2021年3月申告期限)以降 e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存(仕訳帳・総勘定元帳)を行わなかった場合 基礎控除は48万円、青色申告特別控除は55万円 合計103万円 e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存(仕訳帳・総勘定元帳)を行なった場合 基礎控除は48万円 青色申告特別控除は65万円 合計113万円 行った場合は行わなかった場合よりも合計控除額が10万円UP!

パソコンからe-Taxで申告する

e-Taxとは、インターネットを利用して国税に関する手続きを行えるシステムです。引き続き65万円の青色申告特別控除を受けるためには、自宅のパソコンなどからe-Taxを通して確定申告書や青色申告決算書などのデータを提出することになります。
マイナンバーカードを取得し、マイナンバーカードの読み取りに対応したICカードリーダーライターまたはスマートフォンを用いて、e-Taxを利用することになります。

帳簿を電子データで記録する

電子帳簿保存とは、一定の要件のもとで帳簿を電子データのまま保存できる制度のことです。電子帳簿保存をすることで、引き続き65万円の青色申告特別控除を受けることができます。この制度を適用させるには、帳簿の備えつけを開始する日の3か月前までに、税務署に電磁的記録を開始する旨の申請書 新規ウィンドウで開くを提出しなければなりません。
つまり、2020年分の申告以降も65万円の青色申告特別控除を受けるためには、その年の事業にかかる仕訳帳および総勘定元帳について、3か月前である前年の9月30日までに申請書を税務署に提出する必要があります。

青色申告ソフトなら簿記や会計の知識がなくても青色申告できる

青色申告ソフトを使うことで、簿記や会計の知識がなくても青色申告することができます。

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初心者にもわかりやすいシンプルで迷わず使えるデザイン

初心者にもわかりやすいシンプルなデザインで迷わず使うことができます。日付や金額などを入力するだけで、青色申告に必要な複式簿記の帳簿と貸借対照表などの書類が作成できます。

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銀行明細やクレジットカードなどの取引データ、レシートや領収書のスキャンデータやスマホで撮影したデータを取り込めば、AIが自動で仕訳を行います。これにより入力の手間と時間が大幅に削減できます。

青色申告の提出書類が自動作成。青色申告特別控除の最大65万円控除に対応

画面の案内に沿って入力していくだけで、確定申告書・青色申告決算書などの提出用書類が自動作成されます。青色申告特別控除の最大65万円の要件を満たした資料も作成できます。用紙を印刷することなくインターネットを使って直接申告するe-Taxにも対応しています。

自動集計されるレポートで経営状態がリアルタイムに把握できる

日々の取引データを入力しておくだけで、レポートが自動で集計されます。確定申告の時期にならなくても、事業に儲けが出ているのかリアルタイムで確認できますので、経営状況を把握して早めの判断を下すことができるようになります。

監修 税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。