ボーナス(賞与)に関する仕組みと賞与手続き方法について
3.ボーナス(賞与)の計算方法-社会保険料・所得税の計算方法-
ボーナスからは、社会保険料と所得税が控除されます。
ボーナスから控除される社会保険の種類は、健康保険料、介護保険料(40歳以上65歳未満の場合)、厚生年金保険料、雇用保険料です。住民税の控除はありません。
ボーナスの控除額を計算するときの注意点
ボーナスから控除される社会保険料や所得税額を計算する際に注意しておきたいポイントを紹介します。間違えやすいポイントを知っておきましょう。
雇用保険料の計算は標準賞与額がベースではない
ボーナスから差し引く社会保険料のうち、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は標準賞与額を基に計算しますが、雇用保険料は雇用保険の対象となる総支給額を基に計算します。混同してしまわないように注意しましょう。
税率や保険料率は変更されることがある
ボーナスからは、社会保険料と所得税を控除しますが、保険料率や税率は変更されることがあります。見直しのタイミングは一律ではないため、常に最新の保険料額表や所得税額表を基に計算してください。社会保険の保険料率は給与と同じため、変更を見落としてしまうと、過去の給与にさかのぼって修正を行わなければならなくなる可能性もあります。
計算で端数が出たときの処理を確認する
ボーナスから差し引く社会保険料や所得税を計算する際に、端数が出ることがあります。社会保険料と所得税で処理方法が異なるため、注意してください。
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の場合
1円未満の端数が出た場合、50銭以下は切り捨て、50銭を超えた場合は切り上げます。なお、これはあくまでも従業員の賞与や給与から差し引く保険料の端数処理方法です。事業主が納付する金額を算出する際の端数は切り捨てで処理します。
所得税の場合
1円未満の端数が出た場合は、切り捨てます。
ボーナス(賞与)から引かれる社会保険料の計算方法
ボーナスから控除される社会保険料は、「健康保険料」「介護保険料(40歳以上65歳未満の従業員のみ)」「厚生年金保険料」「雇用保険料」の4種類です。
ここからは、それぞれの社会保険の控除額の計算方法について解説します。
健康保険料
健康保険料は、ボーナス支給額の1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、健康保険料率を掛けて算出します。
健康保険料率は、加入している健康保険組合ごとに決められています。協会けんぽでは、さらに事業所の所在地によっても料率が変わるため、自社の料率を確認しておきましょう。なお、料率は給与でも賞与でも同一で、従業員と企業が半額ずつ負担します。
ボーナスから控除する健康保険料の計算式
ボーナスから控除する健康保険料 = 標準賞与額 × 健康保険料率 ÷ 2
また、2026年(令和8年)4月からは「子ども・子育て支援金」が創設され、健康保険料に上乗せする形でボーナスからも控除されます。健康保険に加入している場合は、標準賞与額に国が一律に示す支援金率を掛けた金額を従業員と企業が半額ずつ負担します。
ボーナスから控除する子ども・子育て支援金の計算式
ボーナスから控除する子ども・子育て支援金=標準賞与額×支援金率÷2
介護保険料(40歳以上65歳未満の従業員のみ)
40歳以上65歳未満の従業員は、介護保険料を負担します。介護保険料は、ボーナス支給額の1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に介護保険料率を掛けて算出します。
介護保険料率も、健康保険と同様に健康保険組合によって異なります。これを従業員と企業が半額ずつ負担します。
ボーナスから控除する介護保険料の計算式
ボーナスから控除する介護保険料 = 標準賞与額 × 介護保険料率 ÷ 2
厚生年金保険料
ボーナスから差し引く厚生年金保険料は、ボーナス支給額の1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に、厚生年金保険料率を掛けた金額です。
厚生年金保険料率は、2017年9月(10月納付分)から、18.3%に固定です。これを従業員と事業主が半額ずつ負担します。
ボーナスから控除する厚生年金保険料の計算式
ボーナスから控除する厚生年金保険料 = 標準賞与額 × 厚生年金保険料率(18.3%)÷ 2
雇用保険料
ボーナスにかかる雇用保険料は、ボーナス支給額に従業員負担の雇用保険料率を掛けて算出します。
雇用保険料率は、「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」の3区分でそれぞれ異なります。また、従業員と事業主の負担割合も折半ではありません。
令和8年度の雇用保険料率:厚生労働省「【PDF】令和8(2026)年度雇用保険料率のご案内」
ボーナスから控除する雇用保険料の計算式
ボーナスから控除する雇用保険料 = ボーナス総支給額 × 雇用保険料率(従業員負担分)
ボーナスにかかる標準賞与額の上限
健康保険、介護保険、厚生年金では、ボーナスを計算する際の標準賞与額に上限が設けられています。具体的な金額は以下のとおりです。
健康保険と介護保険の標準賞与額の上限
ボーナスにかかる健康保険と介護保険の標準賞与額の上限は、4月から翌年3月までの累計で年間573万円です。
例えば、夏(6月)に250万円、冬(12月)に250万円、決算賞与(3月)100万円が支給された従業員の場合、夏と冬の賞与では250万円を標準賞与額として健康保険料と介護保険料の計算をしますが、決算賞与時は「573万円-250万円-250万円=73万円」を標準賞与額として保険料の計算を行います。
厚生年金の標準賞与額の上限
厚生年金の標準賞与額の上限は、1か月当たり150万円です。1か月に複数回賞与が支給された場合は合算します。
例えば、夏(6月)に250万円、冬(12月)に250万円、決算賞与(3月)100万円が支給された従業員の場合、夏と冬の標準賞与額は150万円、決算賞与時の標準賞与額は100万円として計算します。
ボーナスから引かれる所得税の計算方法
ボーナスから控除する所得税額は、総支給額から社会保険料を控除した後の金額を基に計算します。具体的な計算方法は以下の3ステップです。
1賞与支給月の前月の給与から所得税率(源泉徴収率)を求める
ボーナスの所得税率は、前月の給与から社会保険料を控除した金額と扶養親族等の人数によって決まります。国税庁「【PDF】賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」を参照して、税率を確認してください。
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扶養親族の数え方は「税制上の扶養人数の数え方(平成30年1月からの配偶者控除および扶養人数の算定方法の変更)」をご覧ください。
賞与の所得税率が異なる計算式になる場合
前月の給与等の支払いがない場合
前月に給与が支給されていない場合は、まず以下の計算式によって、賞与にかかる所得税の計算に必要な金額(その月の社会保険料等控除後の給与などの額)を算出します。
その月の社会保険料等控除後の給与などの額=(賞与総支給額-賞与から天引きされる社会保険料)÷賞与の計算期間
賞与の計算期間には、賞与が半年ごとに支給される場合は6を、半年を超える場合は12を代入してください。
次に国税庁が公開している「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を使って、先ほど算出した金額と扶養人数を当てはめ、該当する税額を確認します。
参照:国税庁「【PDF】給与所得の源泉徴収税額表(令和8年度分)」「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」には、1か月分の税額が記載されているため、賞与の計算期間分を掛けて(半年ごとなら6、半年を超える場合は12)、賞与に対する所得税額を算出します。
賞与の金額(社会保険料等の控除後の金額)が、前月の給与等(社会保険料等の控除後の金額)の10倍に相当する金額を上回る場合
前月の給与の金額が少なく、賞与が給与の10倍を超えてしまうようなケースは特例扱いとなり、通常とは計算方法が変わってきます。
まずは、以下の計算式で、この後の計算に必要な金額(その月の社会保険料等控除後の給与などの金額)を算出します。
その月の社会保険料等控除後の給与などの金額
=(賞与総支給額-賞与にかかる社会保険料)÷賞与の計算期間+(前月の給与-前月の社会保険料)次に「【PDF】給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で、算出した金額と扶養人数とに該当する税額を確認しましょう。
税額を確認したら、「税額-前月の給与から源泉徴収された金額」で1か月分の税額を算出して、賞与が半年ごとに支給される場合は6を、半年を超えて支給される場合は12を掛けて計算してください。
賞与の所得税の詳しい計算方法は、下記の記事を参考にしてください。
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2ボーナス総支給額から社会保険料を差し引き、課税対象額を求める
次に、ボーナスの総支給額から健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の合計金額(社会保険料)を差し引いて課税対象額を求めます。
例えば、ボーナスの総支給額が50万円、社会保険料が7万8,300円の場合、計算式は「50万円-7万8,300円=42万1,700円」となり、課税対象額は42万1,700円です。3 課税対象額に所得税率を掛けてボーナスにかかる所得税の金額を算出する
最後に、課税対象額に所得税率を掛けて、ボーナスにかかる所得税額を算出します。
源泉所得税 =(賞与の支給額 - 社会保険料の額)× 源泉徴収税率