貸借対照表と損益計算書の違いとは?それぞれの役割と読み方を解説

2023/04/18更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

損益計算書と貸借対照表は、すべての企業が決算時に必ず作成しなければならない重要な書類です。どちらも企業の経営状況を示す決算書類ですが、両者から得られる情報には違いがあります。損益計算書と貸借対照表を読み解くと、自社の経営状況を客観的に判断でき、資金調達や投資活動、営業活動などに活かせるようになります。

ここでは、損益計算書と貸借対照表の内容のほか、読み解く際の注意点、2つの書類の違いなどについて解説します。

「損益計算書」「貸借対照表」は決算書の中でも重要な書類

決算書とは、事業年度ごとに事業に関する収入や支出などを計算してまとめた、事業の業績を表す書類のことです。税法上は「財務諸表」、会社法上は「計算書類」と呼ばれ、「その事業年度にどれくらい儲け、または損失が出たのか」「会社が今どのような財政状況にあるのか」といった経営状態を明らかにするために作成します。法人は事業規模にかかわらず、決算書の作成が法律で義務付けられています。

財務諸表についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

財務諸表とは?作成目的や分析手法をわかりやすく解説

損益計算書(P/L)とは?分析する際のチェックポイントを解説

貸借対照表(バランスシート)とは?読み方や経営に役立つ見方を解説

キャッシュ・フロー計算書(C/F)の見方と作り方のポイント

決算書で重要な「財務三表」

決算書の中でも「財務三表」と呼ばれる重要な書類が、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の3つです。

ただし、キャッシュ・フロー計算書は、中小企業の税務申告において作成の義務はないため、作成されないケースも少なくありません。中小企業にとっては、貸借対照表と損益計算書の2つが特に大切だといえるでしょう。

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貸借対照表と損益計算書の違い

貸借対照表(B/S)が特定の時点における財政状態を表すものであるのに対し、損益計算書(P/L)は一定期間における経営成績を表すものです。貸借対照表はある時点(主に決算日)における会社の資産と負債などを一覧にしたリスト、損益計算書は会計期間(主に1年間)の会社の成績表のようなものと考えると、わかりやすいかもしれません。

貸借対照表が特定の時点で算出されるのは、さまざまな取引によって企業の資産状態が日々変動する中、ある一定のタイミングで「資産や負債がどれくらいあるか」という財政状態を表すためです。貸借対照表で財政状況を明らかにすることで、財務上の安全性の確認にもつながります。

それに対して損益計算書が一定の期間で算出されるのは、その会計年度における収益や費用、利益といった企業の経営成績を報告するためです。損益計算書を読み解くことで、「収益が本業・本業以外のどこから生まれたものか」「収益を上げるためにどれくらい費用を使ったか」という、企業の収益力を把握できます。

貸借対照表とは「決算日の時点での財政状態を表す書類」のこと

賃貸対照表例

貸借対照表は、「企業がどれだけ財産を保有し、債務を負っているか」という、決算日時点での財政状態を示す書類です。貸借対照表を見ると、会社が保有する現金や建物といった財産に法律上の権利やソフトウェアなどの形のない財産を含めた「資産」、いずれ返済しなければならない「負債」、返済義務のない自己資本である「純資産」を把握することができます。

貸借対照表の構成

貸借対照表は大きく左右2つに分かれており、左側に資産、右側に負債と純資産が記載されます。左側(借方)の「資産の部」は会社が保有する資産の一覧を表し、右側(貸方)の「負債の部」は左側の資産をどうやって調達したかという資金の出処を表すものです。
例えば、住宅ローンを組んだ場合、土地建物は資産ですので左側の資産の部に表示され、住宅ローンは右側の負債に表示されます。
「資産=負債+純資産」となり、左右の数値は常に同額になります。左右の金額が均衡状態を保っていることから、貸借対照表はB/S(Balance Sheet)とも呼ばれています。

貸借対照表を見る際の4つのポイント

貸借対照表を見るとき、具体的にはどのような点をチェックすれば良いのでしょうか。特に注目すべき4つのポイントをご説明します。

ポイント1:自己資本が十分にあるか

会社の資産のうち、返済義務のない自己資本が十分にあるかどうかを確認します。創業したばかりの時期は借入金が大きくなりがちですが、徐々に自己資本比率を高め、事業の安定を図ることが大切です。
自己資本比率は、「純資産÷資産×100」という計算式で算出できます。自己資本比率が高ければ負債の割合は少なく、会社の経営状況は安定しているといえるでしょう。一般的には、自己資本比率が20%以上なら健全といわれています。

自己資本比率についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

自己資本比率とは?業界別の目安や計算式、分析方法などを解説

ポイント2:売掛金が過大になっていないか

商品やサービスを販売したものの、まだ受け取っていない代金のことを「売掛金」といいます。売上のうち、販売から代金回収までの期間が長いものが多いと、資金繰りの悪化を招く要因になります。
売上に対して売掛金残高が過大になっている場合は、適切に代金を回収できているかを確認する必要があるでしょう。

ポイント3:売上に対して棚卸資産(在庫商品)は適正か

事業をスムースに進めるには適正な在庫を持つことが必要ですが、在庫の増えすぎは良くありません。売上が増えれば当然在庫も増えますが、売上が落ち込んでいる場合は注意が必要です。売れる見込みのない不良在庫が多くなっていないか、こまめに確認しましょう。

棚卸資産についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

棚卸資産とは?分類や計算方法、計上の際の注意点を解説

ポイント4:過去年度と比べて、増減の大きい項目がないか

貸借対照表は当期だけの数値を見るのではなく、前年度や前々年度と比較してその推移をチェックしましょう。上記に挙げた注意点に関しても、過去年度のものと比較することで、さまざまな取引の状況や資産・負債の増減が見えてきます。増減が大きい項目があった場合は、その原因をしっかりと分析することが大切です。

損益計算書とは「会社の収益力を把握するための書類」のこと

損益計算書例

損益計算書は、特定の会計期間における会社の収益と費用の損益計算をまとめた書類です。英語でProfit and Loss Statementといい、略して「P/L」とも呼ばれます。

損益計算書を作成する目的は、「会社がその会計年度にどれくらい利益を上げて、その利益を得るためにどれくらい経費を使ったか」という、会社の収益力を把握することです。損益計算書を見ると、「企業がどの程度売上を上げて(収益)」「費用を何に使って(費用)」「どれくらい儲けが出たのか(利益)」がひと目でわかります。損益計算書を構成する収益・費用・利益の要素は複数の項目で構成されており、いくつもの計算が必要となります。

損益計算書を見る際の4つのポイント

損益計算書から収益、費用、利益の状態を分析すると、事業の課題がどこにあるのかを把握することができます。損益計算書を読み解く際に特に注目すべき4つのポイントをご説明します。

ポイント1:当期純利益があるか

損益計算書では、事業の業績を「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益に分けて表します。このうち、売上総利益は売上から原価を引いた粗利を、当期純利益はすべての収益から本業以外も含めた費用や臨時的に発生した損失や法人税等を差し引いた、企業の最終的な利益を示すものです。

たとえ売上総利益(粗利)がプラスでも、当期純利益がマイナスになれば赤字ということになります。売上高や売上総利益(粗利)だけではなく、当期純利益についてもきちんと把握しましょう。

当期純利益についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

当期純利益(純利益)とは?計算方法や分析のやり方、見る際のポイントを解説

ポイント2:営業利益率は十分か

営業利益は、売上総利益から販売費および一般管理費を引いたものです。販売費とは、広告宣伝費や発送費など、商品販売やサービス提供のためにかかる経費のこと。また、一般管理費とは、給与や家賃など事業を運営するうえで通常かかる経費のことです。この営業利益が本業の儲けになるため、金融機関への融資申込みの際にも重視されます。

営業利益率は「営業利益÷売上高×100」という計算式で算出できます。営業利益率が高いほど、本業で利益を生み出す力のある、収益力の高い企業であると判断できます。

営業利益についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

営業利益とは?計算方法や活用法、経常利益などとの違いを解説

ポイント3:費用は適正か

無駄な費用や効率の悪い支出が隠れていないかをチェックしましょう。特に固定費は、売上高にかかわらず発生するものです。そのため、固定費が大きくなりすぎないように、注意する必要があるといえます。

ポイント4:前年度と比較する

損益計算書も、貸借対照表と同様に、過去年度の状況と比較するようにしましょう。また、営業利益率や売上高総利益率(売上高に占める売上総利益の割合)の目安は、業種によっても異なります。そのため、損益計算書の数字にだけ注目するのではなく、同業他社と比較したり、前年度や前々年度からの推移を確認したりすることが大切です。

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貸借対照表と損益計算書の違いを理解して、事業の課題解決に活かそう

貸借対照表や損益計算書は、決算の際に作成が義務付けられているというだけではなく、企業の財政状態や経営状況を把握できる重要な書類です。貸借対照表や損益計算書を正しく読み解くことで、事業のうえで何を改善すべきか、どこを伸ばすべきかが見えてくるといえます。

また、貸借対照表や損益計算書は、当期の数字を確認するほか、前年度と比較して分析することも大切です。2つの書類の違いを理解して、企業の経営に活かしましょう。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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