経理とは?業務・仕事内容と会計・財務との違いを解説

2023/07/13更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

事業を営むうえで欠かせないのが、経理業務です。しかし、経理と聞いて「会社のお金を管理する」というイメージはあっても、具体的にどのようなことをするのかよくわからないという方も多いかもしれません。また、経理と混同されやすい言葉に、会計や財務があります。

ここでは、経理の役割や具体的な作業内容を中心に、会計・財務との違いや経理業務の中で扱う書類などについても併せて解説します。

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経理とは経営管理のこと

経理という言葉は略称で、もともとは「経営管理」の略だといわれています。伝票作成や記帳といった日常業務も重要ですが、実は、「経営に関わること」こそが経理の本来の役割といえるのです。

企業は、利益や資産を生み出すためにさまざまな取引を行い、それに伴って多くのお金が動きます。健全な会社経営を行うには、そのお金の流れを可視化して管理し、適切な経営判断を行っていく必要があります。経理の日常業務である日々の売上管理や仕入管理、各種帳簿への記帳、決算書作成などは、事業目標の達成や経営課題の改善を考えるうえで必要な情報提供につながるでしょう。

経理の仕事は縁の下の力持ちとイメージされがちですが、企業の経営判断を左右する、非常に重要な存在なのです。

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経理と会計・財務との違い

経理と同じように、会社のお金に関わる仕事に「会計」や「財務」があります。経理・会計・財務はそれぞれ重なる部分もあるため、混同されることも少なくありません。経理と会計・財務には、どのような違いがあるのでしょうか。

経理と会計の違い

経理とは、企業の経済活動に関わるお金と取引の流れを記録し、管理することです。具体的な例を挙げると、伝票や請求書の作成、入出金、各種帳簿への記帳、固定資産台帳の管理から、経営に関わる資料の作成まで、会社のお金に関すること全般を担当します。

一方、会計とは、企業の経済活動における損益を記録して、その結果明らかになった財政状態などを、利害関係者に報告することです。ここでいう利害関係者とは、企業内部の経営者や管理職の他、株主、金融機関、取引先、企業内部の経営者や管理職、従業員のほか、官公庁や地域住民など、その組織と利害関係が生じるあらゆる人や組織を指します。つまり経理は、会計が示す範囲のうち、取引の記録と管理、決算書作成までの部分を担っているということになります。「会計の中に経理業務が含まれている」と考えると、わかりやすいかもしれません。

会計についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

会計とは?経理・財務・簿記との違い、会計処理の流れを解説

経理と財務の違い

経理が管理するのは、かんたんにいうと「会社がこれまでに使ったお金」といえます。それに対して財務が管理するのは、「会社がこれから使う、または必要になるお金」です。

財務の主な役割は、お金の管理を行いながら将来の資金計画を立て、必要に応じて資金を調達することだといえます。そして、その資金計画や資金の調達・運用のもとになるのが、経理が作成した貸借対照表や損益計算書といった財務諸表です。

大企業などでは財務部門を設置し、CFO(最高財務責任者)と呼ばれる財務責任者が置かれることもあります。中小企業の場合は経営者が財務を担ったり、顧問税理士などの専門家に財務の相談を行ったりすることも珍しくありません。

経理業務の主な仕事内容

経理業務には、日次、月次、年次、という大きく3つのサイクルがあります。日次業務の積み重ねが月次業務へ、月次業務の積み重ねが年次業務へとつながっていくイメージです。ここでは、それぞれの具体的な仕事内容をご紹介します。

日次業務:日々の取引の記録や、請求書や領収書の処理

経理業務の基本は、日々の取引の記録です。具体的には、預金・現金管理、伝票起票、経費などの領収書の整理と仕訳、売上(売掛金)や仕入(買掛金)の記録、現金出納帳の記入とチェック、未払金や立替金の処理などです。また、請求書や領収書の処理なども随時行います。

中でも記帳は、まとめて一気に行おうとすると多大な時間がかかるうえ、ミスの元にもなりかねません。月末や期末に慌てることのないよう、日頃からしっかりと帳簿付けをすることが大切です。同時に、伝票処理や記帳にミスや漏れがないか、帳簿上の残高と実際の残高を突き合わせて確認することも大切です。

月次業務:毎月のお金の締め作業や残高確認、記帳作業など

日々の取引を記録した帳簿は月末に一度締め、その月の収入と支出をまとめます。現金出納帳や預金出納帳といった帳簿も同様に、月末の時点での残高を確認します。

また、月給制の場合は従業員への給与支払いにともなう記帳、月締めの契約をしている場合は請求書の作成や売上などの記帳、社会保険料などの納付に伴う記帳なども行います。同時に、買掛金の支払いや売掛金の入金確認などの業務も発生します。

その他、在庫が発生する業種なら在庫管理、月次で決算を行っている会社の場合はそれに応じた経理処理も必要です。

年次業務:決算書作成、年末調整、賞与計算など

経理の年次業務の中で重要なのが期末決算です。すべての企業は事業的規模にかかわらず、事業年度ごとに決算を行わなければなりません。日次、月次で作成した帳簿などをもとに1年間の取引をまとめ、決算書を作成します。なお、多くの場合決算は年1回ですが、企業によっては半年や四半期に1度決算を行うこともあるでしょう。

また、年次で発生する業務としては、年末調整賞与計算などがあります。年末調整とは、従業員に支払った1年間(1月~12月)の給与と源泉徴収した所得税を再計算し、所得税の過不足を調整する手続きのことです。また、賞与計算では、業績などに応じて年2回から3回支払われる賞与の支給額や控除額などを計算します。

さらに、決算書をもとに納めるべき税額を計算し、法人税申告書を作成します。法人が申告する税金は、法人税、消費税、法人事業税、法人住民税などです。法人の税務申告は手続きが複雑なため、税の専門家である税理士に依頼するのが一般的です。

経理業務で扱う書類の種類

経理業務の中で、取引の記録のために用いる書類が「帳簿」と「伝票」です。帳簿や伝票には、次のようにさまざまな種類があります。

帳簿

経理で扱う帳簿は、大きく「主要簿」と「補助簿」の2つに分類されます。

会計帳簿についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

会計帳簿とは?主要簿と補助簿の違いや書き方、保存期間などを解説

主要簿

主要簿とは、日々発生する取引のすべてを記録・計算する帳簿で、「仕訳帳」と「総勘定元帳」の2つを指します。この2種類の帳簿は、会社法で作成が義務付けられています。

仕訳帳は、取引内容を「借方」「貸方」に分け、適当な勘定科目へ仕訳した複式の帳簿です。仕訳帳には、日々の取引のすべてを発生順に記載します。

また、総勘定元帳は、仕訳帳から転記して、すべての取引を勘定科目ごとに分類した帳簿です。決算の際は総勘定元帳をもとに損益計算書や貸借対照表を作成するため、帳簿の中でも特に重要なものだといえます。

補助簿

補助簿は、主要簿を補完するために作成される帳簿です。名前のとおり補助的な役割を担う帳簿であり、種類も多いので、どれを作成するかは各企業が必要に応じて判断します。

代表的なものに、現金出納帳、預金出納帳、得意先元帳(売掛金元帳)、仕入先元帳(買掛金元帳)、固定資産台帳、受取手形記入帳、商品有高帳、支払手形記入帳などがあります。

伝票

伝票とは、取引の内容を一定の様式に従って簡潔に記録した用紙のことです。経理で扱う伝票は主に次の5種類です。

入金伝票

入金伝票は、取引で会社に現金が入ってきたときに記入する伝票です。内容は、例えば商品を販売して代金を現金で受け取った場合などの現金の入金に限定されます。そのため、総勘定元帳への転記をする際、つまり仕訳の結果を書き写すとき、借方は常に「現金」です。そのため、入金伝票の勘定科目は貸方のものだけを記入する形になります。

出金伝票

出金伝票は、会社から現金の出金があったときに記入する伝票です。例えば、交通費や経費などを現金で支払った場合に用いられます。入金伝票とは反対に、総勘定元帳に転記するときは貸方が常に「現金」になるため、出金伝票の勘定科目は借方のものだけを記入します。

振替伝票

振替伝票は、現金以外の取引の際に用いられます。入金伝票や出金伝票とは異なり、取引内容によって勘定科目が異なるため、仕訳と同じように借方・貸方の両方を記載します。

仕入伝票

商品などの仕入取引を行った際に起票するのが仕入伝票です。掛取引(買掛)の場合だけではなく、商品などを現金や手形で購入したときにも仕入伝票を用います。その場合は、まず掛取引で仕入れたものとして仕入伝票を記入した後、すぐに出金伝票または振替伝票を起こして現金や手形で決済する仕訳を行います。

総勘定元帳に転記するときの勘定科目は、借方が「仕入」、貸方が「買掛金」です。

売上伝票

売上伝票は、事業による売上が発生した際に起票します。仕入伝票と同様に、掛取引(売掛)の他、商品やサービスの対価として現金や受取手形を受け取った場合にも使用するものです。その場合は、まず売掛金で販売したものとして売上伝票で処理し、すぐに入金伝票または振替伝票を起こして現金や手形で回収した形をとります。

売上伝票を総勘定元帳に転記するときは、借方が「売掛金」、貸方が「売上」となります。

書類の保存期間

「会計帳簿」や、その帳簿と取引等に関して作成または受領した「書類」は、税法上7年の保存が義務付けられています。会計帳簿には総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などが、書類には棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などが挙げられます。

ただし、会社法で定められている会計帳簿の保存期間は、10年です。また、欠損金の繰越控除を受ける事業年度についても、原則として10年間(2018年4月1日前に開始した事業年度は9年間)の保存が必要です。そのため、法人の場合は、会計帳簿の保存期間は10年間と考えておくといいでしょう。
必要な帳簿書類をきちんと保存しておかないと、過去の取引やデータを確認できないなど経営上の不利益はもちろんのこと、税務上もさまざまな不利益を受ける可能性があります。

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よくあるご質問

経理と会計の違いとは?

経理は企業の経済活動に関わるお金と取引の流れを記録し、管理することであるのに対し、会計は企業の経済活動における損益を記録して、利害関係者に報告することです。経理は、会計が示す範囲のうち、取引の記録と管理、決算書作成までの部分を担っています。詳しくはこちらをご確認ください。

経理と財務の違いとは?

経理が管理するのは、「会社がこれまでに使ったお金」であるのに対し、財務が管理するのは、「会社がこれから使う、または必要になるお金」です。財務の主な役割は、お金の管理を行いながら将来の資金計画を立て、必要に応じて資金を調達することだといえます。詳しくはこちらをご確認ください。

経理業務の主な仕事内容は?

経理業務には、日次、月次、年次、という大きく3つのサイクルがあります。日次業務は日々の取引の記録や、請求書や領収書の処理、月次業務は毎月のお金の締め作業や残高確認、記帳作業など、年次業務は決算書作成、年末調整、賞与計算などがあります。詳しくはこちらをご確認ください。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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