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農業に開業届は必要?出すメリットと書き方・記入例を解説

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農業に開業届は必要?出すメリットと書き方・記入例を解説

農業を個人で始める場合も、事業として収入を得るのであれば、原則として開業届の提出は必要です。本記事では、開業届を出すメリットや出さない場合のリスク、新規就農の給付金申請とのかかわり、具体的な書き方や提出手順を解説します。

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農業を始めるとき開業届は必要?出すメリット・出さないデメリット

農業を個人で始める場合も、事業として収入を得るのであれば、原則として開業届の提出が必要です。ここでは、開業届を提出する前に押さえておきたい提出義務の考え方をふまえたうえで、開業届を出す3つのメリットと、出さない場合に想定されるデメリットについて、順番に解説します。

事業として収入を得るなら原則提出が必要

農業による収入がある場合、そもそも開業届を出すべきかどうかで迷う方も多いのではないでしょうか。営利性・有償性・反復継続性等を総合的に勘案し、「社会通念上事業と称するに至る程度」の規模で農作物を生産・販売している場合は事業所得に該当し、開業届の提出が必要になります。

一方で、自家消費の延長として、家庭菜園で余った野菜等をご近所へ不定期に販売する程度であれば、事業性が乏しいと判断され、開業届の提出が不要な場合もあります。自身の農業が事業と呼べる規模かどうか、まずはこの基準に照らして確認しておきましょう。

事業所得と認められるかどうかは、営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無等を総合的に勘案し、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかにより判定するとされています。

開業届を出す3つのメリット

農業を個人で始める際に開業届を提出すると、主に3つのメリットがあります。青色申告や事業用口座、給付金申請など、今後の農業経営にかかわる場面で影響してくるため、事前に押さえておきましょう。

  • 青色申告承認申請書と併せて提出すれば、最大65万円(2027年分から最大75万円)の青色申告特別控除など税制優遇を受けられる
  • 屋号(農園名)付きの事業用口座を開設しやすくなり、事業用とプライベートのお金を分けて管理しやすくなる
  • 次章で解説する、新規就農の給付金申請の前提条件になる

また、開業届を提出して事業所得として申告していれば、天候不順や資材価格の高騰などで農業所得が赤字になった場合に、給与所得など他の所得と損益通算できる点もメリットの1つです。開業届を出すことで、税制面・資金面の両方でさまざまな恩恵を受けられる可能性があるため、農業を始める際は早めに提出しておくとよいでしょう。

開業届を出さないデメリットやリスク

開業届のメリットを押さえたところで、併せて、開業届を提出しないことで生じるデメリットやリスクも確認しておきましょう。特に、他の収入源や社会保険の状況によっては、開業届の提出タイミングを慎重に検討する必要があります。

会社員として働きながら兼業で農業を始め、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給中、または受給予定の場合は、特に注意が必要です。開業届を提出すると事業を開始しているため「就業状態にある」とみなされ、受給資格を失う可能性があります。退職後すぐに農業を本格化させたい場合は、このタイミングの見極めが重要です。

また、家族の社会保険の扶養に入っている場合も、農業による収入水準によっては扶養から外れ、自分で国民健康保険・国民年金の保険料を負担することになる場合があります。開業届を提出する前に、こうしたリスクも確認しておきましょう。

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新規就農の給付金・支援制度を受けるにも開業届が必要

新規就農者向けの給付金・支援制度を受ける際にも、開業届の提出がかかわってきます。ここでは、月13.75万円が交付される就農準備資金・経営開始資金の概要と、給付金の申請要件に開業届・青色申告が含まれる理由という2点について解説します。

月13.75万円がもらえる「就農準備資金・経営開始資金」とは?

新規就農者育成総合対策では、49歳以下の新規就農者を対象に、月13.75万円の給付金を受けられる支援制度が用意されています。研修期間中に受けられる「就農準備資金」は最長2年間、就農後に受けられる「経営開始資金」は最大3年間、それぞれ交付されるしくみです。就農直後で収入が安定しない時期の生活を支える制度として活用できます。

ただし、これらの給付金の交付を受けるには、事前に都道府県・市町村へ相談したうえで、市町村が策定する「地域計画(旧:人・農地プラン)」において、地域の中心的な経営体として位置づけられる等の要件を満たす必要があります。要件の確認や相談には一定の期間がかかることもあるため、給付金の活用を検討している場合は、独立の準備段階から早めに窓口へ相談しておくとよいでしょう。

給付金の申請要件に青色申告・開業届が含まれる理由

経営開始資金の交付要件の1つに「独立・自営就農」がありますが、この要件には、農業経営の収支を自分名義の帳簿・通帳で管理し、所得税の申告を行っていることが含まれます。そのため、経営開始資金の交付を受けるには、前提として開業届を提出し、事業所得として申告していることが必要になるのです。開業届を提出していないと、そもそも申請要件を満たせない可能性がある点に注意しましょう。

さらに、青色申告を行っていれば、収支の管理体制がより明確になるため、給付金の審査時や、交付後に求められる実績報告の際にも、経営状況を説明しやすくなります。新規就農の給付金を受けたい場合は、開業届と併せて青色申告承認申請書も提出しておくとよいでしょう。給付金の交付後も継続的に実績を報告する必要があるため、日ごろから帳簿を整理しておくことが大切です。

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【記入例あり】農業の開業届の書き方・項目別のポイント

農業で開業届を作成する際は、記入例を基に項目ごとのポイントを押さえておくとスムーズです。ここでは、職業欄・事業の概要の書き方、開業日・屋号(農園名)の決め方、家族へ給与を払う場合の記載項目、青色申告承認申請書の同時提出という4点を順番に解説します。

職業欄・事業の概要(「農業」「〇〇の栽培・販売」など具体例)

開業届の職業欄には「農業」と記載し、事業の概要欄には「野菜(トマト・キュウリ等)の栽培及び直売所・ECサイトでの販売」など、栽培品目と販売方法を具体的に記載するとよいでしょう。

なお、稲作や野菜・果樹の栽培・収穫を行う耕種農業自体は、個人事業税の対象外(非課税)です。一方で、農産物の加工・製造や、大規模な畜産等を手がける場合は、別途課税対象になり得る点に注意しましょう。今後の事業展開によって課税関係が変わる可能性がある点も、併せて押さえておいてください。

以下の記事でも詳しく解説しています。

開業日・屋号(農園名)の決め方と注意点

屋号(農園名)は開業届の必須項目ではなく、空欄のまま提出することもできます。開業時点で名称が決まっていなくても心配はいらず、開業後に屋号を決めて、改めて記載することも可能です。

屋号を決める際は、「株式会社」など法人と誤認されるような表現は避ける必要があります。また、屋号は直売所やECサイトでの販売名にもなるため、栽培品目や地域名を織り込んだ、覚えやすい名称にしておくと、今後の販路拡大にもつながりやすいでしょう。事業用口座の名義にも屋号を使えるため、農業経営が軌道に乗ってきたタイミングで決めるのも1つの方法です。

所得の種類(事業所得)と家族へ給与を払う場合の記載項目

開業届の「所得の種類」欄は、「事業(農業)所得」にチェックを入れます。

配偶者や親族に農作業を手伝ってもらい、給与を支払う場合は、開業届の「給与等の支払の状況」欄に専従者として記載しましょう。併せて、青色申告を行う場合は、別途「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、家族に支払った給与を経費として計上できるようになります。家族経営で農業を営むケースでは、特に確認しておきたい項目です。

青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族で、もっぱらその事業に従事する者に支払った給与を必要経費に算入するためには、青色事業専従者給与に関する届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないとされています。

青色申告承認申請書も一緒に提出するのがおすすめ

開業届を提出する際は、青色申告承認申請書も併せて提出するのがおすすめです。開業届と同時に提出すれば、その年から最大65万円(2027年分から最大75万円)の青色申告特別控除など、税制優遇を受けられます。前章で解説した新規就農の給付金の審査においても、青色申告をしていることがプラスに働きます。

青色申告承認申請書の提出期限は、原則として青色申告を開始したい年の3月15日までです。ただし、1月16日以降に開業した場合は、開業日から2か月以内に提出する必要があります。提出期限を過ぎてしまうと、その年の青色申告ができなくなってしまうため、開業届と併せて早めに準備しておきましょう。

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農業の開業届の提出方法とスムーズな手続き手順

開業届の記入・準備ができたら、いよいよ提出です。ここでは、開業届の提出先と3つの提出手段、そして提出時に必要な持ち物という2点について解説します。

提出先(管轄税務署)と3つの提出手段(e-Tax・郵送・窓口)

開業届の提出先は、納税地を所轄する税務署です。提出方法には以下の3通りがあり、それぞれ都合に合わせて選べます。

  • ①
    e-Tax(オンライン、自宅からメンテナンス時間を除き24時間提出可能)
  • ②
    郵送
  • ③
    税務署窓口への持参

農作業の合間に手続きを済ませたい場合は、時間を選ばず提出できるe-Taxが特に便利です。郵送で提出する場合は、提出前に必ず各自で開業届のコピーを取って手元に保管しておきましょう。

なお、現在は税務署での収受印(受領印)の押印が廃止されているため控え自体は返送されませんが、切手を貼付した返信用封筒を同封しておけば、当面の間は受領日や税務署名が記載された「リーフレット(受領文書)」が返送されます。屋号付き口座の開設時などに提示を求められる場合があるため、自身のコピーと一緒に大切に保管しておきましょう。

以下の記事でも詳しく解説しています。

提出に必要な持ち物・添付書類(マイナンバーカード等)

開業届を提出する際は、本人確認書類が必要です。マイナンバーカードがあれば、本人確認とマイナンバー確認を1枚で兼ねられるため、忘れずに持参しましょう。持っていない場合は、マイナンバー通知カードまたは住民票の写しと、運転免許証等の本人確認書類の2点が必要になります。

郵送で提出する場合は、本人確認書類の写しを「本人確認書類(写)添付台紙」に貼付して同封する必要があります。窓口提出とは必要書類の準備方法が異なるため、事前にどちらの方法で提出するかを決めたうえで、必要書類をそろえておきましょう。

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開業届の作成・提出をかんたんにすませる方法

農業も、事業として収入を得るのであれば、開業届の提出が原則として必要です。開業届の提出は、新規就農の給付金申請の前提にもなるため、農業を始める際は早めに手続きを済ませておきましょう。

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よくあるご質問

開業届を出すメリットを教えてください。

農業の開業届には主に3つのメリットがあります。青色申告承認申請書と併せて提出すれば最大65万円(2027年分から最大75万円)の青色申告特別控除など税制優遇を受けられるほか、屋号付きの事業用口座を開設しやすくなり、新規就農の給付金申請の前提条件にもなります。さらに、事業所得として申告していれば、赤字になった場合に給与所得など他の所得と損益通算できる点もメリットです。

就農準備資金はいくらもらえますか?

就農準備資金・経営開始資金は、月13.75万円を受けられる新規就農者向けの支援制度です。研修期間中に受けられる就農準備資金は最長2年間、就農後に受けられる経営開始資金は最大3年間交付されます。ただし交付には、都道府県・市町村への事前相談や、市町村の「地域計画(旧:人・農地プラン)」における中心的な経営体としての位置づけなどの要件を満たす必要があります。

屋号は開業届に必須ですか?

屋号(農園名)は開業届の必須項目ではないため、決まっていなくても空欄のまま提出できます。開業後に屋号を決めて、改めて記載することも可能です。屋号を決める際は「株式会社」など法人と誤認される表現を避け、直売所やECサイトの販売名にもなるため、栽培品目や地域名を織り込んだ覚えやすい名称にするとよいでしょう。

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この記事の監修者高崎 文秀(税理士)

高崎文秀税理士事務所 代表税理士/株式会社マネーリンク 代表取締役。早稲田大学理工学部応用化学科卒。

都内税理士事務所に税理士として勤務し、さまざまな規模の法人・個人のお客様を幅広く担当。2019年に独立開業。現在は法人・個人事業者の税務顧問・節税サポート、個人の税務相談・サポート、企業買収支援、税務記事の監修など幅広く活動中。また一般社団法人CSVOICE協会の認定経営支援責任者として、業績に悩む顧問先の経営改善を積極的に行う。

高崎 文秀(税理士)

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