確定申告が必要な人とは?確定申告をした方がいい場合も紹介
2023/02/28更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

毎年1~3月頃になると、途端に聞く機会が増えてくる「確定申告」という言葉。確定申告は「個人事業主やフリーランスがするもの」というイメージがありますが、単純に「それ以外の人はしなくていい」というわけではありません。確定申告とは何なのか、確定申告をしなければいけないのは誰なのか、した方がいいのはどのような人なのかをご紹介します。
確定申告とは?
所得税の確定申告とは、1年間の所得(売上から経費を差し引いた儲け)をとりまとめて所得にかかる税金を計算し、国(税務署)に納めるべき税額を報告する手続きのこと。1年に1回行うもので、1月1日~12月31日の所得と納める税額を計算し、原則、翌年の2月16日~3月15日のあいだに税務署に報告・納税するまでがセットとなります。なお、期限日が土日や祝日の場合は、休日明けの平日が期限になります。
払いすぎた税金の還付を受けるための還付申告は例外です。還付申告の場合は、1月1日から申告が可能で、3月15日までという縛りもなく、申告可能になった日から数えて5年以内であれば、いつでも還付申告をすることができます。
確定申告をしないとどうなる?
確定申告が必要な人が期限内に申告しなかった場合は、次のようなペナルティが発生します。
確定申告を行わなかった場合のペナルティ
- 納める税金に最高税率20%の無申告加算税がかかる
- 納める税金に最高税率14.6%の延滞税がかかる
- 青色申告特別控除の枠が、最大65万円から最大10万円に減額される
- 2年連続で提出が遅れると青色申告の承認が取り消しになる
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確定申告が必要な人
年間の所得金額から、所得控除を差し引いた金額がプラスになる人は、確定申告を行わなければいけません。ただし、「年収2,000万円以下で、1か所からしか給与をもらっておらず、副業での所得が年間20万円以下の人」など、特定の要件を満たす場合は確定申告をしなくても良いとされています。
具体的には以下のような人が、確定申告が必要となります。
フリーランスや自営業などの個人事業主で、事業収入がある人
所得が48万円(基礎控除額)以上ある自営業やフリーランスなどの個人事業主は、確定申告が必要となります。
不動産収入や株取引での所得がある人
家や土地の賃貸収入があり不動産所得がある人や、株取引やFXなどの譲渡益が48万円以上ある人は原則として確定申告が必要です。ただし、自動的に源泉徴収が行われる特定口座を利用している場合や、NISA・つみたてNISAなどの非課税投資枠内での投資だった場合は不要です。
不動産所得やつみたてNISAの確定申告については別の記事で解説していますので、参考にしてください。
不動産収入(不動産所得)の確定申告は必要?その方法や注意点を解説
つみたてNISAは確定申告が必要?証券口座の種類による違いを解説
一時所得がある人
競馬の払戻金や法人からもらった金品、懸賞で当たった賞金品などは「一時所得」となります。この金額が、「収入を得るために支出した金額+特別控除額(最高50万円)」よりも大きく所得税が発生する場合は、確定申告が必要とされます。
退職所得があり、退職所得の受給に関する申告書を提出していない人
退職所得があり、退職した企業に「退職所得の受給に関する申告書 」を提出していない場合は、退職所得についても確定申告を行い精算することになります。また、年度の途中で退職して年末調整を行っていない場合や、給与以外の所得が20万円を超える場合も、確定申告を行う必要があります。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、源泉徴収ですでに課税されているので、原則として退職所得に関する確定申告は不要です。
所得税の猶予を受けている人
そのほか、地震などの災害に遭い、災害減免法で所得税の軽減または免除を受けている場合も、確定申告を行う必要があります。
確定申告が不要な人
続いて、収入があっても、確定申告が不要な人についても見ていきましょう。以下の条件に該当する場合、確定申告は不要です。
主な所得が公的年金の人
公的年金を受給されている方は、基本的に確定申告をする必要はありません。ただし、公的年金等の収入が400万円より多く、それ以外の所得金額が20万円よりも大きい場合は、確定申告が必要になります。
給与収入がある人で特定の要件にあてはまる人
給与所得者は、基本的には「年末調整」で所得税額の計算および過不足精算が行われるので、自分で確定申告をする必要はありません。ただし、「給与額が2,000万円を超える」「副業で年20万円超の所得がある」「2か所以上から給与を受けており、年末調整を行わない側の収入(主たる給与以外の給与)が年間20万円を超える」場合は、確定申告が必要です。
このほか、同族会社の役員や親族で会社から給与のほか不動産収入や貸付金の利子などの支払いを受けた場合、災害減免法により源泉徴収税などの猶予を受けた場合、在外公館勤務などで給与の支払時に所得税の源泉徴収をされないことになっている場合も、確定申告が必要になります。
年末調整と確定申告の違いや副業の確定申告については別の記事で解説していますので、参考にしてください。
副業は確定申告が必要?判断基準や確定申告の手順などを詳しく解説
確定申告をした方がいい人
「確定申告は不要」とされている人でも、確定申告をすることは可能ですし、確定申告をした方が節税できる場合もあります。それは、「余分に税金を納めてしまっているとき」で、その場合は確定申告を行えば還付金を受け取ることができます。例えば、次のようなケースです。
事業で赤字が出ている
個人事業主やフリーランスは、所得が48万円以下であれば、確定申告は不要です。ただし、赤字が出ている場合は、払いすぎた税金の還付を受けられることがあるので、確定申告をするのがおすすめです。青色申告事業者であれば、確定申告を行うことで、事業の赤字を翌年以降3年間繰り越したり、損失額を前年に繰り戻して還付金を受け取ったりすることができます。
また、住宅ローンの申込みや幼稚園の申請などを行うには「所得証明書」が必要とされますが、個人事業主やフリーランスの場合、確定申告を行っていないと証明書は発行されません。必要な場合は、確定申告を行いましょう。
年の途中で退職した(年末調整を受けていない)
会社員は、毎月の給料から所得税が天引き(源泉徴収)されますが、毎年1度の年末調整でその額を調整し、払いすぎた税金については還付を受けています。
年の途中で退職して個人事業主やフリーランスに転向した場合、最後の年に関して、原則として会社は年末調整をしてくれません。還付金を受け取るには、自分で確定申告をする必要があります。
アルバイト先などで源泉徴収されている
本業のほかに副業(アルバイト先)を持っていて、そちらで源泉徴収が行われている場合、確定申告をすることで還付金が受け取れる可能性があります。
医療費が10万円を超えた
確定申告対象年の1月1日~12月31日までに支出した医療費が原則として10万円を超えている場合、確定申告を行うことで医療費控除を受けることができます。対象は「自己または自己と生計を一とする配偶者やその他の親族のために払った医療費」なので、個人ではなく家族単位での計算になります。
また、医療費控除の一環として、「セルフメディケーション税制」の適用により、1年間に購入したスイッチOTC医薬品の金額が1万2,000円を超える場合は、超えた部分について所得控除を受けることができます(8万8,000円が限度)。ただし、医療費控除との併用はできません。
医療費控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。
医療費控除で税金が戻ってくる?対象の支出や申請方法をまとめて解説
寄附やふるさと納税をした
ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄附をすることで、自治体ごとに返礼品がもらえる制度です。確定申告を行えば、ふるさと納税で寄附した金額から2,000円を引いた金額を所得から控除できます。もともと確定申告が不要な給与所得者は、寄附先が5か所以下の場合は「ふるさと納税ワンストップ特例制度 」を利用できます。
ふるさと納税については別の記事で解説していますので、参考にしてください。
個人事業主がふるさと納税をやるメリットは?控除上限額の計算方法も解説
住宅ローンを組んだ
返済期間10年以上の住宅ローンを借り入れて住宅を新築、あるいは増改築した場合は、居住を開始した年から原則として10年間「住宅借入金等特別控除」を受けられます。住宅ローン残高の1%が所得から控除されます。
個人事業主が効率良く確定申告を行うには?
期日を守って確定申告を行うのは非常に重要なことですが、できる限り効率良く、短時間で終わらせたいところ。個人事業主やフリーランスが効率良く確定申告を行うには、次の3つがポイントになります。
効率良く確定申告を行うポイント
- 確定申告ソフトを利用する
- 普段から帳簿をつけておく
- 領収書などはしっかり保管しておく
確定申告を行うには日々の取引を記帳しておく必要がありますが、表計算ソフトなどを使って自分で一から記帳するには、多くの手間と簿記の知識が必要になります。
しかし、確定申告ソフトを利用すれば、ただ日々の取引を入力するだけで、青色申告に必要な「複式簿記形式の帳簿」を作ることができます。さらに、銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引を入力する手間も省けます。
ただし、経費に使った領収書などは、しっかりと保管しておく必要があります。
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確定申告書類を自動作成。e-Tax対応で最大65万円の青色申告特別控除もスムースに

画面の案内に沿って入力していくだけで、確定申告書等の提出用書類が自動作成されます。青色申告特別控除の最高65万円/55万円の要件を満たした資料の用意も簡単です。インターネットを使って直接申告するe-Tax(電子申告)にも対応し、最大65万円の青色申告特別控除もスムースに受けられます。
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日々の取引データを入力しておくだけで、レポートが自動で集計されます。確定申告の時期にならなくても、事業に利益が出ているのかリアルタイムで確認できますので、経営状況を把握して早めの判断を下すことができるようになります。
この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所
四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。
