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法人税申告書とは?種類や作成手順、提出方法について解説

法人税申告書とは?種類や作成手順、提出方法について解説

法人は事業年度ごとに、法人税の確定申告を行う必要があります。その際に税務署へ提出するのが「法人税申告書」です。法人税申告書は個人の確定申告と比べて準備すべき書類の種類が多く、記載方法も複雑であることから、スムーズに作成できるよう準備を進めておく必要があります。
本記事では、法人税申告書の種類や作成手順、提出方法、提出期限の他、期限内に申告できなかった場合のペナルティについて解説します。法人税申告書を作成するポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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法人税申告書は法人税の確定申告のために提出する書類

法人税申告書とは、法人が事業年度ごとに法人税の確定申告を行うために税務署へ提出する書類のことです。法人税申告書には、その事業年度における法人の所得の金額と納める法人税の額が記載されます。個人の所得に所得税がかかるように、法人も所得に応じて法人税を納める義務があります。法人税の課税対象となる所得は、益金から損金を差し引いた金額です。益金とは、商品などの販売や役務提供による売上収入の他、土地・建物の売却収入、無償による資産の譲渡・役務提供・その他の無償取引にかかる収益などを指します。損金とは、売上原価や販売費、災害などによる損失といった、費用・損失に相当するものです。法人は事業年度ごとに納めるべき法人税額を計算し、期限までに確定申告を行わなければなりません。

なお、法人税申告書には、法人の収入から損金を差し引いて所得を計算するための「別表」が含まれています。これらの書類は企業の決算内容に基づいて作成されます。したがって、法人税申告書を正確に作成するには、日ごろから帳簿を正確に作成し、こまめに記帳していくことが大切です。

益金と損金についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

法人税申告書の種類

法人税申告書には「別表一」から「別表二十」まであり、このうち狭義の「確定申告書」とも呼ばれるのが別表一です。その他の別表は確定申告書の「明細書」として位置付けられており、すべてを合わせると書類の種類は100種類以上にのぼります。ただし、すべての別表について提出が義務付けられているわけではありません。企業の決算内容によって提出が必要な書類は異なります。一般的に「別表一」「別表二」「別表四」「別表五(一)」「別表五(二)」の5点は必ず提出する必要があります。

別表の主な種類

別表番号 別表名
別表一 各事業年度の所得に係る申告書
別表二 同族会社等の判定に関する明細書
別表四 所得の金額の計算に関する明細書
別表五(一) 利益積立金額および資本金等の額の計算に関する明細書
別表五(二) 租税公課の納付状況等に関する明細書
別表六(一) 所得税額の控除に関する明細書
別表七(一) 欠損金の損金算入等に関する明細書
別表八(一) 受取配当等の益金不算入に関する明細書
別表十一(一) 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表十一(一の二) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
別表十四(二) 寄附金の損金算入に関する明細書
別表十五 交際費等の損金算入に関する明細書
別表十六(一) 旧定額法または定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表十六(二) 旧定率法または定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表十六(六) 繰延資産の償却額の計算に関する明細書
別表十六(七) 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
別表十六(八) 一括償却資産の損金算入に関する明細書

別表の詳細は、国税庁ホームページ新規タブで開くを参照してください。

法人税申告書の作成手順

前述のとおり、法人税申告書は決算内容に基づいて作成します。法人税申告書の具体的な作成手順を見ていきましょう。

1. 当期の取引を記帳し、財務諸表(決算書)を作成する

法人税申告書を作成する前に、まず当期の記帳をすべて完了させる必要があります。そのうえで、財務諸表(決算書)を作成します。財務諸表のうち、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」は財務三表と呼ばれる主要な書類です。特に、貸借対照表と損益計算書は企業の規模にかかわらず作成が必要になります。その一方で、キャッシュ・フロー計算書については、中小企業の税務申告においては作成義務がありません。
財務諸表を正確に作成するためには、決算前にまとめて記帳するのではなく、日ごろから取引をこまめに記録することが大切です。記帳が完了した後、帳簿のデータと実際の残高を突き合わせて内容が一致するか確認したうえで、財務諸表の作成に取りかかりましょう。

貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書についてはこちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

2. 財務諸表の内容を基に明細書(別表)を作成する

次に、財務諸表の内容を基に「別表六」以降の明細書(別表)を作成していきます。「別表六」以降とは、減価償却費や交際費、繰延資産など個別の事項に関する計算書のことです。また、「別表七」は欠損金や災害損失金といった損金算入に関する明細書となっています。別表六以降の明細書が完成した後は、各項目について所得金額の計算に関する明細書である「別表四」に反映していきましょう。

3. 前回の法人税申告書の内容を基に明細書(別表)を作成する

前回提出した法人税申告書の内容から、必要項目を明細書(別表)に記載していきます。具体的には「別表五(一)」の期首現在利益積立金額または期首現在資本金等の額を前期の法人税申告書から転記する他、「別表四」の当期利益または当期欠損の額を決算書から転記しましょう。

4. 別表四の金額から所得金額を確定する

「別表四」の金額を基に加算や減算を行い、所得金額を確定させましょう。申告書上で加算や減算する場合に税法上有効となるものを「申告調整」といいます。申告調整は「任意申告調整事項」と「必須申告調整事項」の2種類です。このうち任意申告調整事項は、申告調整するかは法人の判断に委ねられているものを指します。
その一方で、必須申告調整事項は申告書において必ず金額調整しなければならないものを指します。調整しなければ税法上の更正処分を受けることになるため、必ず行わなくてはなりません。必須申告調整事項の代表的な内容は、以下のとおりです。

代表的な必須申告調整事項

  • 減価償却費の償却超過額
  • 役員給与の損金不算入
  • 寄附金や交際費の損金不算入
  • 各種引当金や準備金などの繰入限度超過額
  • 法人税、住民税の損金不算入

5. それぞれの明細書(別表)の情報を転記して「別表一」にまとめる

各明細書(別表)にて算出した金額を、「別表一」の申告書にまとめていきます。これによって、納めるべき法人税額が確定します。

法人税申告書の提出方法

法人税申告書の提出方法には、「所轄する税務署の窓口への持参」「税務署への郵送」「e-Taxによる電子申告」の3つがあります。
e-Taxによる電子申告であれば、税務署へ出向かずに基本的には24時間いつでも申告書を提出できます。(土日などに行われるシステムメンテナンスの時間帯を除く。)ただし、e-Taxを利用する際には、事前に市区町村等での電子証明書の発行や代表者のマイナンバーカードの登録といった準備が必要です。

なお、税務署への郵送による提出の場合、消印の押された日付が申告書の提出日となる点に注意しましょう。消印の日付が提出期限を過ぎると、期限後申告として扱われます。後述する提出期限を十分に確認のうえ、期限間近になるようなら税務署の窓口にて直接提出することをおすすめします。

法人税申告書の提出期限

法人税の申告期限は、事業年度終了日の翌日から2か月以内です。申告期限と納期限が一致する点に注意する必要があります。例えば、決算期を3月とする法人なら、申告期限と納期限は5月31日となります。期限にあたる日が土曜日、日曜日、祝日などの場合は、その翌日(休み明けの平日)が期限です。

なお、株主総会の開催を「事業年度終了の翌日から3か月以内」と定款で定めている場合は、法人税の申告期限を1か月延長し、事業年度終了日の翌日から3か月以内とすることもできます。ただし、別途申請が必要となる他、延長されるのは申告期限だけで、納期限は変わりません。よって、本来の申告期限までに暫定的な税額で納付し、申告の際に改めて精算するのが一般的です。

法人税の申告期限と納期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税、重加算税といったペナルティの対象となります。さらに、青色申告をしている法人の場合、2期連続で期限内の申告がなされないと青色申告の承認が取り消されます。青色申告の承認が取り消されれば、欠損金(赤字)の繰越控除や、減価償却費を通常時よりも多く計上できる特別償却、一定額の法人税を控除できる特別控除といった節税のメリットを得られません。

また、赤字で法人税がかからない事業年度であっても、法人税の確定申告は必要です。期限までに確定申告を終えられるように、余裕を持って法人税申告書の作成を進めましょう。自社で法人税申告書を作成するのが難しい場合は、税理士に依頼または相談することをおすすめします。

期限内に確定申告ができなかったときのペナルティ

法人税の確定申告は定められた期限内に行うのが基本ですが、期限内に申告できなかった場合、どうなるのでしょうか。期限後に自主的に確定申告した場合と、税務署に指摘されるまで放置していた場合に分けて、それぞれのケースで科されるペナルティについて解説します。

期限後に自主的に確定申告した場合

法定申告期限から1か月以内に自主的に確定申告と納税を行った場合、「期限後申告」という扱いになります。この場合のペナルティは延滞税の支払のみです。これは、後述する「税務署に指摘されるまで無申告のまま放置した場合」と比べると、かなり軽いペナルティといえます。よって、確定申告の期限に間に合わなかった場合は、可能な限り早く申告を行うことが大切です。
なお、期限後申告する前に税務調査が入り、所得金額や税額を確定させる通知が税務署から届いた場合は、期限後申告では済まされません。後述する「税務署に指摘されるまで確定申告を放置した場合」と同等のペナルティを科される点に注意しましょう。

税務署に指摘されるまで確定申告を放置した場合

税務署に指摘されるまで確定申告を行わないまま放置していた場合には、税務調査の対象となる可能性があります。税務調査とは、税務署が課税標準等または税額等を認定する目的で行われる調査のことです。税務署の指示に従わない場合は督促が行われ、それでも税金を納付しないと、財産の差し押さえなどの処分が下されることもあります。そのため、無申告にもかかわらず現状では税務調査が入っていない、といった状況であっても、できる限り早く申告を行うことが大切です。

法人税申告書を作成するポイント

法人税申告書を作成する際には、いくつか注意しておきたいポイントがあります。法人税の申告・納付を円滑に進めるためにも、以下のポイントを必ず押さえておきましょう。

決算書を正確に作成して誤りなく転記する

法人税申告書を作成するポイントは、決算書を正確に作成して誤りなく転記することです。
法人税申告書は決算書に基づいて作成することから、決算書が正確に作成されていなければ正しい納税額を算出できません。決算書をミスや漏れなく作成したうえで、法人税申告書へ正確に転記することが大切です。決算書を正しく作成するには、日ごろから取引のたびに記帳をこまめに行う必要があります。効率良く正確に決算書を作成するためにも、会計ソフトを活用するのがおすすめです。

提出部数に注意する

法人税申告書を紙で作成・提出する場合、資本金の額によって提出すべき部数が異なる点に注意することもポイントのひとつです。
具体的には、資本金が1億円以下の法人に関しては法人税申告書を2部提出する必要があります。その一方で、資本金が1億円超の法人に関しては電子申告が義務付けられているため、提出部数は指定されていません。なお、資本金の額が変動した場合には、提出部数が前期と異なる可能性があるため注意しましょう。

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法人税申告書は、法人が事業年度ごとの法人税の確定申告を行うために税務署に提出する書類です。法人税申告書は決算書に基づいて作成されることから、法人税の額を正しく算出するには決算書を正確に作成しなければなりません。そのためには、日々の記帳を漏れなく正確に行うことが大切です。クラウド会計ソフト「弥生会計 Next」は、法人税申告書自体の作成はできませんが、法人のお金に関するデータをまとめて管理できるため、日々の記帳から決算書の作成までをスムーズに進められます。また、インボイス制度をはじめとする各種法令にも対応しているため、最新の法令に則った会計処理が可能です。なお、税務申告は難度が高いため、税理士へ相談することをおすすめします。そのうえで、会計業務の合理化を図りたい場合は、ぜひ「弥生会計 Next」をご活用ください。

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この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。

著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

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