廃業したら、確定申告はどうなる?
2021/03/31更新

この記事の執筆者柳原つつじ

開業するための準備は、もちろん大切ですが、廃業後にどうするかも同じくらい大切です。縁起でもないという方もいるかもしれませんが、何が起こるかわからないのが、ビジネスです。例えば、事業が好調でも、やむを得ない事情で廃業することはないとは言えないでしょう。廃業した場合、それまで行っていた確定申告はどうなるのか。解説したいと思います。
POINT
- 「青色申告の取りやめ届出書」等を提出
- 廃業後の経費も特例で認められる場合がある
- 廃業したら個人事業税は前年分だけでなく今年分も支払う
廃業したら税務署に提出するもの
開業するときと同じく、廃業するときも届出を出さなければなりません。「個人事業の開業届出・廃業等届出書」を廃業した日から1カ月以内に税務署へ提出しましょう。また、青色申告を行っていた場合は、「青色申告の取りやめ届出書」を合わせて、提出することになります。提出期限は、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までです。
そのほかにも、消費税を納めていた場合は「事業廃止届出書」を、事業専従者や従業員に給与を支払っていた場合は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」を提出します。
- 参考
- 事業廃止届出
- 参考
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
開業時に比べると、廃業時の届け出は忘れがちです。抜けがないようにすることが大事です。
もし、個人事業主が死亡して、家族などが事業を相続する場合も、死亡後1カ月以内に、「個人事業の開業届出・廃業等届出書」を税務署に出して、まずは廃業してから、あらためて「個人事業の開業届出・廃業等届出書」を出して開業しなければなりません。また、青色申告についても、「所得税の青色申告承認申請書」を提出して、承認を受けなければならないので、注意しましょう。
廃業後の経費について
廃業したその年も、確定申告の時期は変わりません。そのときに悩むのが、廃業後の経費です。廃業してから1カ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出することになっていますが、その後に、支払いが発生するといったこともあるでしょう。また、清掃や廃棄・修理など、廃業後に発生しやすい経費もあります。
そのようなケースを想定して、事業を廃止した場合の必要経費の特例として「事業を廃止した場合の必要経費の特例(所得税法第63条)」があります。廃業後にかかった経費でも、「もしそのまま事業を継続していれば支払っていたはず」とみなすことができる支出に関しては、必要経費として計上が可能です。
ただし、廃業後の経費がすべて認められるとは限りません。どこまで認めるかは、税務署の見解によって違ってくるので、年末に近い時期に廃業日を設定して、その年中に経費関連はすべて計上してしまうという方法もあります。
個人事業税について
個人事業主が支払う個人事業税についても、廃業のときには注意が必要です。個人事業者の事業税は、前年の事業所得を基準に税額が決まるため、住民税と同じように「今年の事業税は来年に支払う」という形になるのが、通常です。
しかし、廃業した年については、前年の事業税だけではなく、その年の事業税も支払わなければなりません。廃業から1カ月以内に、事業税の申告と納税を行うということになります。
廃業年に事業税の申告と納税を行わなかった場合、その翌年には事業を行っていないために、事業税を必要経費にするタイミングを失ってしまうことになります。難しければ、廃業年度の所得をもとに個人事業税を計算し、納税がまだであっても、その金額を見込みで計上することも認められています。そうしなければ、後日、あらためて事業税の金額が確定してから更正の請求をしなければならなくなるので、申告時に見込み計上を実施しておくのがベターです。
一つの終わりがあれば、また一つの始まりがあります。スムーズにリスタートを切れるように、廃業後の確定申告での処理にミスがないように、慎重に一つずつ行っていきましょう。
photo:Thinkstock / Getty Images
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この記事の執筆者柳原つつじ
出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。
