2020/02/20更新 白色申告とは?青色申告と比べたメリット・デメリット

白色申告とは?青色申告と比べたメリット・デメリット
監修:
税理士法人 MIRAI合同会計事務所

個人事業主が行う確定申告には、白色申告と青色申告の2つがあり、どちらにするか選ぶことができます。「青色申告は難しそうだし、白色申告でいいや」と考えて、開業時に白色申告を選んだ人は多いのではないでしょうか。
ただし、両者の違いやメリット・デメリットを十分知らないまま選んでしまうと、後悔することにもなりかねません。ここでは、青色申告と比べた白色申告の特徴と、メリット・デメリットについて紹介します。

白色申告とは

白色申告は、簡単に説明すると「申告のための経理作業が青色申告よりもシンプルで済む代わりに、節税のメリットが少ない」申告方法です。反対に青色申告は、「白色申告より厳密な会計帳簿が求められ、提出する書類の作成に簿記の知識が必要だが、節税のメリットが多い」申告方法といえます。
白色申告者は、かつては事業所得が300万円以下であれば帳簿をつける義務がありませんでした。
しかし、法改正により、2014年1月以降はすべての白色申告者に記帳と帳簿類の保存が義務づけられたため、現在では所得の多寡にかかわらず、個人事業主は全員が帳簿への記帳と帳簿類の保存を行う必要があります。ですから、「楽だから」と白色申告を選択するメリットは、以前に比べて少なくなりました。
両者の違いは、次のようにまとめられます。

白色申告と青色申告の違い
白色申告 青色申告
帳簿のつけ方(記帳方式) 単式簿記 原則として複式簿記(「借方」と「貸方」の両方を記帳していく方式)
確定申告時の提出書類 収支内訳書 青色申告決算書(賃借対照表・損益計算書)
開始に必要な手続き なし 「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出(※1)
特別控除額 なし 65万円または10万円
赤字の翌年への繰越 不可 3年間可能
貸倒引当金(※2)の経費への繰り入れ 個別のみ可能 個別、一括ともに可能
事業専従者(※3)に支払う給与の経費への繰り入れ できない。事業専従者控除を受けられるのみ できる
  • ※1 青色申告しようとする年の3月15日までに提出し、新規開業の場合は業務開始から2か月以内に提出する
  • ※2 貸倒損失リスクに備え、損失になるかもしれない金額を予想して、あらかじめ計上しておく金額
  • ※3 申告を行う納税者と生計を一にする配偶者または15歳以上の親族で、年間6か月以上納税者が営む事業に従事している者。なお、定められた期日までに事前に届け出が必要

白色申告の特徴

白色申告には、主に次のような特徴があります。

青色申告より経理業務や申告方法がシンプル

白色申告で求められるのは「単式簿記」という記帳方式で、書き方はお小遣い帳と同じです。例えば、「4月1日に事務用品としてプリンターのインクを3,000円で買った」のなら、次のように記帳します。

単式簿記の記帳例
日付 摘要 金額
現金 その他
2020.4.1 プリンターインク代 3,000

特に難しいことはなく、納品書や請求書の控えがあれば、1日単位でまとめて記帳することが可能です。
確定申告の際は、それぞれの勘定項目ごとの合計値を記載した「収支内訳書」を提出します。

一方、青色申告は、原則として「複式簿記」という、1つの取引について、お金の動きとその原因の2つの側面を記載する方法での記帳が求められます。先程の「4月1日に事務用品としてプリンターのインクを3,000円で買った」ケースなら、次のように記帳します。

複式簿記の記帳例
日付 借方 貸方 摘要
2020.4.1 消耗品費 3,000 現金 3,000 プリンターインク代

「借方」「貸方」というのは名称で、深い意味はありません。重要なのは、借方・貸方という項目を使って、「消耗品費が3,000円増えたこと」と「現金が3,000円減ったこと」を同時に表しているという点です。複式簿記の記帳ルールは単式簿記とはだいぶ違うので、この形式で記帳するには、簿記の知識が必要です。

確定申告の際は、勘定項目ごとに合計値を記載した「損益計算書」とともに、資産・負債・純資産の状況を示す「貸借対照表」を提出します。単式簿記に比べれば、普段の経理業務・書類作成の負担が大きくなります。

開始にあたり、申請書の提出が不要

青色申告を選ぶ場合、申告をしようとする年の3月15日まで(新規開業の場合は、原則として開業から2か月以内)に「所得税の青色申告承認申請書 新規ウィンドウで開く」を税務署に提出して承認を受ける必要がありますが、白色申告を始めるのに、特に手続きは必要ありません。
所得税の青色申告承認申請書を出さなければ、自動的に白色申告を行うことになります。

特別控除がない

青色申告を選択して原則として複式簿記による記帳を行い、申告期間内に青色申告決算書を提出した事業者は、所得に応じて最大65万円の特別控除を受けることができるのに対し、白色申告には特別控除はありません。
例えば、収入が450万円、諸経費が150万円、基礎控除(38万円)および社会保険料控除等の控除合計額が80万円だったとすれば、両者の最終的な納税額は次のとおりで、白色申告の方が4万5,000円多く納税することになります。

白色申告の場合

所得:450万円-150万円=300万円
課税所得:300万円-80万円=220万円
所得税額:220万円×10%-9万7,500=12万2,500円

  • 復興特別所得税は含みません(以下同様)

青色申告の場合

所得:450万円-150万円-65万円=235万円
課税所得:235万円-80万円=155万円
所得税額:155万円×5%=7万7,500円


もう一例、収入が1,500万円で諸経費が700万円あり、基礎控除および社会保険料控除等の控除合計額が100万円だった場合を見てみましょう。この場合は、白色申告だと13万1,500円多く支払うことになります。

白色申告の場合

所得:1,500万円-700万円=800万円
課税所得:800万円-100万円=700万円
所得税額:700万円×23%-63万6,000円=97万4,000円

青色申告の場合

所得:1,500万円-700万円-65万円=735万円
課税所得:735万円-100万円=635万円
所得税額:635万円×20%-42万7,500円=84万2,500円

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え、330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え、695万円以下 20% 42万7,500円
695万円を超え、900万円以下 23% 63万6,000円
900万円を超え、1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円を超え、4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超え 45% 479万6,000円

税金の額は、弥生の「かんたん税金計算シミュレーション」を使うと税金の概算を簡単にシミュレーションできます。

白色申告の申告方法

白色申告も、基本的な流れは青色申告と変わりません。事前の申請や細かい書類が必要ない分、青色申告よりもシンプルといえるでしょう。白色申告のやり方は次のとおりです。

提出書類

個人事業主の場合は、「確定申告書B」と「収支内訳書」に加えて、「各種の所得控除を受けるために必要な書類」を揃えて提出します。

確定申告書B

収入金額や、「収入-経費」で計算される所得金額、社会保険料控除や基礎控除など所得から差し引かれる金額、実際に納めるべき税額などをまとめて記載する書類です。

収支内訳書

収入、売上原価、経費の内訳、減価償却の計算、事業専従者の氏名や給与賃金の内訳などを記し、1年間の事業の状況をまとめた書類です。日頃つけている帳簿を見て、項目ごとに集計し、金額を転記することで作っていきます。

各種の所得控除を受けるために必要な書類

国民年金保険料の控除証明書や生命保険料の控除証明書、ふるさと納税を受けた自治体が発行する寄附金受領証明書などを指します。保険の控除証明書は、保険会社によっても異なりますが10~11月に郵送されます。

提出方法

確定申告の書類一式は、直接税務署に持参して提出するほか、e-Tax、郵便または信書便での郵送、税務署に設置される時間外収集箱への投函でも提出が可能です。

ただし、e-Taxで提出する場合は、マイナンバーカードとICカードリーダーライターを用意して電子証明書(データ作成者が本人であるかどうか確認するためのもの)の取得や、開始届出書を提出してログインに必要な利用者識別番号を取得するなどの準備が必要になります。特に、マイナンバーカードは申請から取得まで約1か月はかかりますので、利用したい場合は早めに揃えておきましょう。

なお、提出日は、e-Taxの場合は送信した日付、郵便または信書便の場合は郵便局で押される通信日付印の日付となり、税務署に設置されている時間外収集箱に投函した場合は、翌日の朝に税務署の職員が回収した物は前日の日付で提出された扱いになります。

確定申告の提出期限間近になると税務署の窓口は混み合うので、e-Taxや郵送などの方法を利用するのがおすすめです。

提出時期

確定申告書の提出時期は毎年決まっており、2月16日~3月15日が原則です。期限日が土日や祝日の場合は、休日明けの平日が期限日となります。

白色申告に向いている人

白色申告は、青色申告に比べれば記帳や書類作成の負担が小さい分、節税メリットが少ないのが特徴です。
しかし、2014年1月以降、青色申告より簡単とはいえ、帳簿の記帳・保管が義務化されたこと、確定申告ソフトを利用すれば特別な会計知識がなくても複式簿記での記帳ができることから、白色申告と青色申告の負担差は、昔に比べればかなり小さくなりました。一方で、青色申告をした際に受けられる特典の内容は変わっていないので、あえて白色申告を選ぶメリットはなくなっています。

節税メリットの少ない白色申告ですが、それでもシンプルな帳簿と書類の提出で済むことに魅力を感じる人もいるでしょう。そんな方は、帳簿付けと白色申告に必要な書類作成が無料で簡単にできる「やよいの白色申告 オンライン」を活用してはいかがでしょうか。

全体的なメリット・デメリットを考えれば青色申告がおすすめ

白色申告は、青色申告に比べて記帳や経理処理が簡単というメリットはありますが、記帳の義務化や確定申告ソフトの普及によって、あまり大きなメリットではなくなっています。
一方で、青色申告と白色申告では納税額が違ってくる上、たとえ赤字でも繰り越しができるという青色申告ならではの特典は、事業者にとって大きな魅力です。
メリット・デメリットを総合的に見れば、青色申告の方がおすすめだといえるでしょう。

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監修 税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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