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確定申告とは?まったくわからない人向けに対象者や種類を解説!

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確定申告とは?まったくわからない人向けに対象者や種類を解説!

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の収入と支出をもとに収める必要がある税金の額を計算して、国(税務署)に自ら申告する手続きのことです。

確定申告が必要になる税金としては、所得税、消費税、法人税などの種類がありますが、単に確定申告と呼ぶ場合は所得税の確定申告を指すのが一般的です。本記事でも、これ以降は所得税の確定申告を「確定申告」と表します。

では、どのような人が確定申告を行う必要があり、確定申告が必要な場合はどのように対応すればいいのでしょうか。ここでは、確定申告の対象になる人や、確定申告の具体的な方法などについてわかりやすく解説していきます。

なお、本記事は、令和7年度税制改正での2025年(令和7年)12月1日施行の内容を前提に記載をしております。また、この改正は原則として、2025年(令和7年)分以後の所得税について適用されます。
ただし、2025年(令和7年)11月までの給与及び公的年金等の源泉徴収事務に変更は生じません。

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確定申告とは所得税の金額を確定するための手続き

確定申告とは、所得税の金額を計算して国(税務署)に申告する手続きです。所得税は、所得に対してかかる税金です。原則として、所得を得た人が自分で税額を計算して申告・納付しなければなりません。

会社員やパート・アルバイトのように勤務先から給与をもらっている給与所得者は、勤務先が年末調整をして税額の計算や納付を行ってくれるので、確定申告をしないことが多いです。しかし、自営業やフリーランスの個人事業主は基本的に確定申告が必要です。

所得税については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

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確定申告が必要な人

確定申告は、申告をする人が自ら、対象になるかどうかを判断しなければなりません。

ここでは代表的なケースを解説します。詳しくは国税庁のホームページ新規タブで開くを確認してください。

確定申告が必要な人

  • 個人事業主で95万円(2024年分までは48万円)を超える事業収入がある人
  • 年末調整を受けた給与所得のほかに20万円を超える副業の所得がある人
  • 1年間の給与収入が2,000万円を超える人
  • 給与所得者で年末調整ができなかった人
  • 一定金額以上の公的年金を受給している人

個人事業主で基礎控除額を超える事業収入がある人

自営業やフリーランスなどの個人事業主は、基本的には確定申告を行います。もっとも、所得がなければ所得税もかかりません。赤字の場合や、所得金額が基礎控除である95万円(2024年分までは48万円)以下の場合など、確定申告が不要なケースもあります。

また、赤字の場合でも、青色申告者であれば純損失の繰越控除と呼ばれる制度によって赤字を3年間繰り越して将来の所得税を節税できる可能性があります。また、確定申告によって所得がないことも証明できます。たとえ赤字であっても、メリットがある場合は確定申告を行うのがおすすめです。

なお、1円でも所得がある個人事業主が確定申告をしなかった場合、別途、居住地のある自治体に住民税の申告をしなければなりません。

令和6年の定額減税を適用するには個人事業主は確定申告が必要!赤字でも確定申告をしましょう

個人事業主の定額減税は、確定申告で適用します。※申告を失念していた方のため念のために2025年中は、掲載をしています。

そのため、2024年(令和6年)分の確定申告では、ご自分や家族などが定額減税の対象かどうかを確認して、申告が必要です。16歳未満の扶養親族も定額減税の対象なので、すべての対象者を漏れなく申告書に記載して申告しましょう。

所得税額が定額減税よりも少なくて引き切らない場合や赤字で所得税が0の場合、自治体からの給付対象になります。

年末調整を受けた給与所得のほかに20万円を超える副業の所得がある人

勤務先で年末調整をした人でも、本業での給与所得以外に副業などで1年間で20万円を超える所得がある場合は確定申告が必要です。副業の収入から必要経費を引いて所得金額を算出し、確定申告が必要かどうか判断してください。

なお、本業以外にアルバイトなどの副業で給与収入を得ているケースでは、2か所以上から給与の支払いを受けていても年末調整は1か所でしか受けられません。年末調整を受けた勤務先以外の勤務先で受け取った給与額が20万円を超える場合には、確定申告が必要になります。

副業での確定申告の判断については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

給与所得者で年末調整ができなかった人

勤務先から給与を受け取っている人であっても、年末調整ができなかった人は確定申告をしなければなりません。

以下のケースに該当する人は、確定申告を行いましょう。

一定の条件を満たす日雇労働者など

日雇労働者や単発のアルバイトなど、所得税の源泉徴収がされない働き方をしている人は、源泉徴収がないため年末調整も行われません。このような給与収入が年間160万円(2024年分までは103万円)を超える人は、確定申告が必要です。

ただし、日雇勤務でも、「交通費を除いた日給が9,300円以上」「労働契約を結んでいる」「継続勤務が2か月以上」といった3つの条件を満たす場合は、源泉徴収が必要になり、年末調整が行われることもあります。不明な場合は、勤務先に問い合わせてみてください。

災害減免法による猶予や還付を受けた人

災害によって家財などに損害を受けた人が、災害減免法による所得税の猶予や還付を受けた場合、年末調整はされません。確定申告での精算が必要です。

1年間の給与収入が2,000万円を超える人

給与所得者であっても、給与収入が2,000万円を超える人は、確定申告が必要です。

1月1日から12月31日までの給与や賞与の合計額が2,000万円を超える人は、年末調整の対象外です。そのため、自分で確定申告をする必要があります。なお、勤務先から源泉徴収票は発行されるため、それを基に確定申告を行います。

給与所得者で確定申告が必要な人については、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

一定金額以上公的年金を受給している人

公的年金等については、「雑所得」として課税の対象です。そのため、一定金額以上の公的年金を受給するときには所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されていますので、確定申告を行って税金の過不足を精算する必要があります(ただし、障害年金や遺族年金は非課税)。

なお、年金受給者の確定申告手続に伴う負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられています。

以下の1、2のいずれにも該当する場合には、計算の結果、納税額がある場合でも所得税等の確定申告は必要ありません。

確定申告不要制度の対象者

  • 1
    公的年金等(※1)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
  • (※1)公的年金等とは国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金 など
  • (※2)公的年金等に係る雑所得以外の所得とは生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金 など

なお、確定申告不要制度の対象者であっても、確定申告が必要なケースがあります。

詳しくは、政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」をご確認ください。

そのほかにも確定申告が必要な人については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

参考:国税庁

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確定申告の算出期間と申告期限

所得税の確定申告は、毎年1月1日~12月31日の所得を取りまとめて所得税の額を計算し、申告する年の翌年2月16日から3月15日までに行わなければなりません。確定申告期間の開始日や終了日が土日祝日に当たる場合は、それぞれ翌平日に変更になります。

例えば、2024年分の所得税の確定申告期限は2025年2月17日(月)から3月17日(月)までの間です。

確定申告の算出期間と申告期限

確定申告の算出期間と申告期限

確定申告で計算した所得税の納付も、確定申告期限内に行わなければなりません。確定申告期限ぎりぎりに確定申告書の提出を行う場合、納付期限に遅れないよう気をつけてください。口座振替で納税する場合の振替日は4月中旬から下旬ですが、確定申告期限までに振替納税依頼書を提出する必要があります。

万が一、確定申告が期限に間に合わなかった場合は、できるだけ速やかに申告と納税を行ってください。遅れた期間が長くなるほど、延滞税などのペナルティが大きくなるおそれがあります。

ただし、給与所得者が年末調整で申告できなかった所得控除の適用を受ける場合など、本来確定申告をしなくてもよい人の還付申告については、申告する年の翌年1月1日から5年以内であれば、いつでも行えます。

確定申告の期間と確定申告をしなかった場合や忘れた場合のペナルティについては、以下の記事を参考にしてください。

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確定申告が必要になる理由

確定申告が必要になる主な理由は、日本の所得税では税金を納める人が自分で税額を申告して納付する申告納税制度が採用されている点にあります。納税者は所得税額を計算して、期日までに確定申告と納税をしなければなりません。

ただし、給与所得者は、勤務先が本人に代わって給与や賞与から所得税を天引きし、所得税の納付を行います。そのため、一部のケースを除いて確定申告は必要ありません。

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確定申告が必要ない人

所得があっても、確定申告をする必要がないケースもあります。以下の条件に該当する人は、確定申告をしなくても問題ありません。

確定申告が必要ない人

  • 個人事業主で所得金額が95万円(2024年分までは48万円)以下の人
  • 勤務先で年末調整をしていて、確定申告が必要な控除を適用しない人
  • 年末調整を受けていない給与所得者で、年収103万円以下の人
  • 副業の所得が20万円以下で、年末調整をした人

個人事業主で所得金額が基礎控除額以下の人

個人事業主であっても、収入から必要経費を引いた所得金額が95万円(2024年分までは48万円)以下の人は、確定申告は不要です。

所得税の計算では、基礎控除の額を所得から差し引いてから税額を計算するため、所得95万円(2024年分までは48万円)以下の人は課税所得金額が0円になります。課税所得が0円なら所得税もかからないため、確定申告は不要です。

なお赤字でも確定申告をした方がよいケースもあるため、状況に応じて確定申告をするかどうかを検討しましょう。

令和7年度税制改正による基礎控除額は以下の通りです。

合計所得金額別の基礎控除額(色枠内が改正された範囲)

年間の合計所得金額
(収入が給与だけの場合※注3
控除額
改正後(※注1) 改正前(2024年分まで)
2025年分・2026年分 2027年分
132万円以下
(200万3,999円以下)
95万円(※注2) 48万円
132万円超336万円以下
(200万3,999円超475万1,999円以下)
88万円(※注2) 58万円
336万円超489万円以下
(475万1,999円超665万5,556円以下)
68万円(※注2)
489万円超655万円以下
(665万5,556円超850万以下)
63万円(※注2)
655万円超2,350万円以下
(850万円超2,545万円以下)
58万円
2,350万円超2,400万円以下
(2,545万円超2,595万円以下)
48万円 48万円 48万円
2,400万円超2,450万円以下
(2,595万円超2,645万円以下)
32万円 32万円 32万円
2,450万円超2,500万円以下
(2,645万円超2,695万円以下)
16万円 16万円 16万円
2,500万円超
(2,695万円超)
0円 0円 0円
  • 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について新規タブで開く」を基に作成
  • (注)1: 改正後の所得税法第86条の規定による基礎控除額58万円に、改正後の租税特別措置法第41条の16の2の規定による加算 額を加算した額となります。
  • 2: 58万円にそれぞれ37万円、30万円、10万円、5万円を加算した金額となります。なお、この加算は、居住者についてのみ適用があります。
  • 3: 特定支出控除や所得金額調整控除の適用がある場合には、表の金額とは異なります。

年末調整をしていて、確定申告が必要な控除を適用しない場合

勤務先で年末調整をした人のうち、確定申告が必要となる各種控除の適用を受けない人は、確定申告をする必要はありません。確定申告が必要な控除には、初年度の住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)、寄附金控除、医療費控除などがあげられます。

年末調整を受けていない給与所得者の場合

勤務先で年末調整を受けていない給与所得者は基本的に確定申告が必要になりますが、年収が160万円(2024年分までは103万円)以下の人は、確定申告は不要です。

給与所得者が利用できる給与所得控除の最低保障額が65万円、基礎控除が最大95万円となっていて、合計すると160万円になります。年収が160万円以下になった場合、この給与所得控除と基礎控除を適用すると課税所得金額が0円になるため、所得税はかからないことになり、確定申告も必要ありません。2024年分までは、給与所得控除の最低保障額が55万円、基礎控除が48万円のため、年収が103万円以下になった場合に所得税がかからないことになります。

ただし、年末調整を受けていなくても給料から所得税が源泉徴収されている場合は、確定申告によって還付を受けられます。

以下は、令和7年度税制改正で改正された給与所得控除額です。

給与所得控除額(色枠内が改正された範囲)

給与の収入金額 給与所得控除額
改正後(2025年以後) 改正前(2024年以前)
162万5,000円以下 65万円 55万円
162万5,000円超180万円以下 収入金額×40%-10万円
180万円超190万円以下 収入金額×30%+8万円
190万円超360万円以下 収入金額×30%+8万円 収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+44万円 収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下 収入金額×10%+110万円 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限) 195万円(上限)

副業の所得が20万円以下で、年末調整をした場合

年末調整をした会社員などのうち、副業の収入から必要経費を差し引いた所得の金額が20万円以下の人は、確定申告をする必要はありません。副業が給与収入であれば、給与の支給額が20万円以下かどうかで判別します。

ただし、医療費控除の適用を受けたいなど、その他の理由で確定申告をする場合は、副業などの所得についても申告しなければいけません。

副業の所得金額による確定申告の有無については以下の記事で説明していますので、参照ください。

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申告の義務はないが、確定申告をした方がよい人

確定申告の義務はないものの、確定申告をすることで税金の還付を受けられる可能性が高い人もいます。

以下のようなケースに該当する人は、確定申告を行うことを検討しましょう。

確定申告をした方がよい人

  • 還付(納めすぎた税金が戻ってくる)が受けられる人
  • 医療費控除、住宅ローン控除(1年目)など年末調整で受けられない控除を適用したい人
  • 年の途中で退職した後、年末調整を受けていない人
  • ふるさと納税でワンストップ特例を選択していない、もしくは適用されない人

還付(納めすぎた税金が戻ってくる)が受けられる人

確定申告は、納めすぎた所得税を還付してもらうためにも必要です。税法に従って本来の税額を計算すると、既に徴収されている源泉所得税額より本来の税額が少ない場合に、納めすぎた所得税を還付してもらうための確定申告は「還付申告」と呼ばれます。

どちらも、手続きや提出書類は同じです。還付申告を行える代表的なケースは、以下のとおりです。

還付申告ができる代表的なケース

  • 報酬から源泉所得税が引かれている個人事業主のうち、年間の源泉所得税額が、確定申告で計算した所得税額を上回っている人
  • 給与所得者のうち、年末調整で申告できなかった所得控除の適用を受ける人

例えば、フリーランスの人で、売上から差し引かれた源泉徴収税額が51万500円、確定申告のために計算した1年間の所得税額が30万円となった場合、確定申告をすると、51万500円と30万円の差額である20万500円の還付を受けられます。

還付申告は、上記のケース以外にも住宅ローン控除の適用を受けるケースや配当控除の適用を受けるケースなど、さまざまな場面での利用が想定されます。

医療費控除、住宅ローン控除(1年目)など年末調整で受けられない控除を適用したい人

寄附金控除や医療費控除などは年末調整では申告できない控除です。これらの控除を適用したい人は年末調整を受けていても確定申告が必要です。また、住宅ローン控除の適用は、初年分は確定申告、2年目以降は年末調整で行うため、初年分の住宅ローン控除の適用を受ける人も、確定申告を行う必要があります。

できるだけ多くの控除を申告すれば、それだけ税金が還付される可能性は高まります。

なお、確定申告をする場合は、すべての所得を申告する必要があります。例えば、副業を行っている会社員が、副業での所得が20万円以下で確定申告が必要がない場合でも、確定申告をする場合、副業所得の申告も必要になります。国税庁の「確定申告書等作成コーナー新規タブで開く」などを活用して、メリットがあるかどうか確認してみましょう。

なお、確定申告をする場合、ふるさと納税のワンストップ特例制度は利用できません。制度の申し出をしている人が確定申告をする場合、ワンストップ特例制度を選択したふるさと納税も含めたすべてのふるさと納税について申告しなければいけない点に注意しましょう。

ふるさと納税のワンストップ特例制度については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

ふるさと納税でワンストップ特例を選択していない、もしくは適用されない人

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に寄附額のうち2,000円を越える部分が、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限あり)。

個人事業主や会社員で年収2,000万円を超えているなど、もともと確定申告が必要な人は、確定申告でふるさと納税を寄附金控除として申告を行います。

そして、寄附金控除は、年末調整では適用できません。

ただし、確定申告の不要な給与所得者等は、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限り、確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を選択できます。「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は、ふるさと納税を行った各自治体に期限までに申請することで適用できます。

なお、以下に当てはまる方で、ふるさと納税を申告したい場合は、確定申告でふるさと納税の申告を行います。

  • 6自治体以上にふるさと納税をしている(ワンストップ特例の適用は5自治体まで)
  • ワンストップ特例制度の申請期限に間に合わなかった
  • ワンストップ特例制度を選択しなかった

なお、ワンストップ特例制度を選択していても、なんらかの理由で確定申告をする場合は、ワンストップ特例制度は無効になります。ふるさと納税分も含めて、確定申告をする必要があります。

例えば、以下のようなケースです。

  • 医療費控除や住宅ローン控除を受けるなど年末調整で適用できない控除のために確定申告をする
  • 副業での所得など年末調整をした給与以外の所得の合計が20万円を超える

ふるさと納税の確定申告については、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

年の途中で退職した後、年末調整を受けていない人

年の途中で退職した後、再就職して年末調整を受けていない人は、確定申告によって還付を受けられるかもしれません。退職時までに源泉徴収されていた所得税額は、生命保険料控除、地震保険料控除、年末時点の正しい配偶者控除、扶養控除などの適用について考慮されていないため、退職後に1年間の所得税額を計算すると、本来の所得税額よりも高額になっている可能性があります。

一方、源泉徴収された所得税額が不足していた場合は、確定申告が必須です。いずれにせよ、確定申告することをおすすめします。

参考:国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき新規タブで開く

退職後の確定申告については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

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4ステップでOK!確定申告のやり方と流れ

確定申告業務は、事前準備が十分にできていればスムーズに進められます。反対に、準備をせずに確定申告期間を迎えてしまうと、期限内に申告するために苦心することになりかねません。

確定申告は、以下の流れで進めていくのがおすすめです。

確定申告の流れ
1. 必要な書類を準備する
2. 確定申告書を作成する
3. 確定申告書を提出する
4. 所得税の納付または還付を受ける

1. 必要な書類を準備する

確定申告を行う際は、最初に必要書類を揃えましょう。用意しておくべき書類は以下のとおりです。

所得税の確定申告書

確定申告では、所得税の確定申告書が必要です。

2022年分以降、フリーランスなどの個人事業主だけでなく、所得税の確定申告を行う方はすべて同じ様式の申告書を使用して確定申告を行います。

所得税の確定申告書は、以下のような方法で入手できます。

所得税の確定申告書の入手方法

ただし、市販の確定申告ソフトや、国税庁の「確定申告書等作成コーナー新規タブで開く」を利用して確定申告を行う人は、紙の確定申告書類を用意する必要はありません。ソフト上で確定申告書に記入する数字などを入力すれば、自動的に確定申告書のデータが作成できます。

確定申告書の書き方については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

作成した確定申告書データは、印刷して提出したり、e-Taxで電子申告(送信)したりすることが可能です。弥生のクラウド確定申告ソフト「やよいの白色申告 オンライン」や「やよいの青色申告 オンライン」では、確定申告がはじめての方や簿記が不慣れな方でも容易に確定申告に必要な書類作成とe-Taxでの電子申告が行えます。

マイナンバーがわかる書類

確定申告では、マイナンバーが確認できる書類として、マイナンバーカード、またはマイナンバーがわかる書類と身分証明書を用意しておきましょう。

「マイナンバーがわかる書類」とは、マイナンバーが記載された住民票や、現住所、氏名が記載されたマイナンバーの通知カード(※)などです。身分証明書については、運転免許証やパスポートなどが該当します。

確定申告では、マイナンバーの番号確認と身元確認を行うために、これらの書類が必要となります。

マイナンバーカードを所有している人は、この必要書類については1枚で対応可能です。

  • マイナンバーの通知カードは、2020年(令和2年)5月25日に廃止されています。通知カードに記載された氏名、住所などが住民票に記載されている内容と一致している場合に限り、引き続き番号確認書類として利用できます。引越しで住所が変わった等で通知カードの表記にずれがある場合は、マイナンバーの記載のある住民票の写しか住民票記載事項証明書を取得することになります。

控除を受けるために必要な各種控除証明書

所得控除や税額控除を利用するためには、各種控除証明書類が必要です。例えば、生命保険料控除なら「生命保険料控除証明書」、寄附金控除なら「寄附金控除に関する証明書」などが該当します。ただし、基礎控除のように証明書類が必要ない控除もあります。

証明書が必要な控除を利用する場合は、書類を揃えておきましょう。1年目の住宅ローン控除の適用を受ける場合など、必要書類が多岐にわたることもあります。早めの準備をおすすめします。

収入がわかる書類

確定申告書には、収入の額を記載しなければならないため、収入がわかる書類が必要です。個人事業主の場合、以下の書類を作成し、税務署に提出しなければなりません。

税務署に提出する、収入がわかる書類

  • 青色申告:青色申告決算書
  • 白色申告:収支内訳書

個人事業主の青色申告決算書収支内訳書は、年間の収入と必要経費をまとめた書類です。日々の帳簿付けをこまめに行っていないと、準備に時間がかかりかねません。スムーズな申告のために、日常的に記帳を行っておくことが重要です。

また、給与所得者や公的年金受給者が確定申告をする場合は、税務署への提出は不要ですが、以下の書類で自身の収入を把握しましょう。

給与所得者・公的年金受給者が収入を把握するための書類

  • 給与所得者:給与所得の源泉徴収票
  • 公的年金受給者:公的年金の源泉徴収票

口座番号がわかる通帳など(税金の還付を受ける場合)

確定申告の結果、払いすぎていた税金の還付を受けられる人で、銀行口座などへの振込による還付を希望する場合は、確定申告書に口座に関する情報の記入が必要です。金融機関名や支店名、口座番号がわかる通帳やキャッシュカードなどを用意しておきましょう。

振込を希望しない場合は、確定申告書に郵便局名を記載することで、該当の郵便局での窓口受取が可能です。

確定申告の必要書類については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

確定申告の書き方については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

2. 確定申告書を作成する

必要書類の準備が整ったら、書類の情報を基に確定申告書を作成します。確定申告書の作成方法は、以下の4種類です。都合の良い方法を選択してください。

確定申告ソフト

市販の確定申告ソフトでは、日々の記帳内容を基に手間なく青色申告決算書や収支内訳書、確定申告書の作成が可能です。

確定申告ソフトの中には、「やよいの白色申告 オンライン」や「やよいの青色申告 オンライン」のように、書類作成だけでなくe-Taxでの申告手続きが可能なソフトもあります。使いやすさや機能性、価格などを比較して選びましょう。

個人事業主におすすめの確定申告ソフトについては、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

確定申告書等作成コーナー

国税庁が用意しているオンライン上のシステム「確定申告書等作成コーナー新規タブで開く」でも確定申告書の作成が可能です。トップページの「作成開始」ボタンを押して、画面の指示に従って数字などを入力していくことで、確定申告書の作成やe-Taxでの申告手続きができます。

ただし、帳簿の作成には対応していません。個人事業主の場合は、帳簿作成が可能な確定申告ソフトを利用した方が便利です。

手書き

確定申告書は、必要な数字を手書きで記入する方法でも作成できます。ただし、この方法では計算ミスや転記ミスなどに注意が必要です。また、手書きの確定申告書は、e-Taxでの提出ができません。

税理士などの専門家への依頼

確定申告書の作成は、税理士などの専門家に依頼することもできます。記帳代行から申告まで対応してくれる税理士事務所もあるため、申告作業の大幅な負担軽減につながるでしょう。さらに、専門家に依頼すれば正確な内容で申告してもらえるため、申告ミスによる延滞税などのリスクも軽減可能です。加えて、節税につながる制度を提案してもらえるケースもあります。

一方で、他の方法に比べてコストは高くなります。また、依頼は早めに行わなければなりません。確定申告期間間近だと、受付が終了してしまっている可能性もあるため、注意してください。

3. 確定申告書を提出する

確定申告書を作成したら、税務署に提出します。提出方法は、e-Tax、郵送、税務署への持ち込みのいずれかです。それぞれ提出期限の細かい決まりなどが異なるため、以下のような特徴があることを踏まえて、自身に最適な方法を選択しましょう。

e-Tax

e-Taxは、オンラインで確定申告などに関する電子的な手続きを行えるシステムです。電子データとして作成した確定申告書や決算書などを、データのまま送信できます。添付書類の多くは省略が可能ですが、書面の提出が必要な添付書類については別途郵送や税務署窓口への持参、イメージデータの提出といった方法で提出する必要があります。提出期限は、確定申告の期限日の23時59分までです。

なお、e-Taxは最大65万円の青色申告特別控除の要件の1つにもなっています。e-Taxで確定申告を行うか、電子帳簿保存法で規定されている「優良な電子帳簿」の要件を満たす形で電子帳簿を保存している事業者でないと、最大65万円の控除は受けられません。

e-Taxでの提出方法については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

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郵送

確定申告書は、所轄の税務署または「業務センター新規タブで開く」に郵送する方法でも提出が可能です。所轄の税務署が業務センターを設置している場合は、業務センター宛てに郵送してください。確定申告期限日の当日消印が有効となるため、期限日中に郵便局の窓口で消印を押してもらいましょう。

なお、確定申告書は信書に該当します。普通郵便や書留など、信書を送れるサービスを利用してください。宅配便などは利用できません。また、2025年1月から申告書等控えへの収受日付印の押なつが廃止されたため、控えの送付は不要です。

ただし、2025年1月以降、収受日付印の押なつ廃止による当分の間の対応として、「リーフレット」(今般の見直しの内容と申告書等の提出事実等の確認方法をご案内するもの)に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したものが希望者には提供されます。郵送の場合、所定の金額の切手を貼付した返信用封筒を同封すると当面は、返送されます。このリーフレットが申告をしたことの証明となります。

郵送での提出方法については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

税務署への持参

確定申告書は、所轄の税務署や確定申告会場に、確定申告書と添付書類を持参する方法でも提出できます。窓口が開いている時間であれば税務署窓口に提出、閉まっている時間であれば時間外収受箱に投函してください。確定申告期限当日の時間外収受箱への投函で、期限内提出と見なされます。

なお、2025年1月からは収受日付印の押なつが廃止されました。窓口に確定申告書を持参しても、収受日付印が押された控えが返却されることはありません。

ただし、2025年1月以降、収受日付印の押なつ廃止による当分の間の対応として、窓口で交付する「リーフレット」(今般の見直しの内容と申告書等の提出事実等の確認方法をご案内するもの)に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したものが希望者には提供されます。このリーフレットが申告をしたことの証明となります。

確定申告書の提出方法については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

なお、確定申告が終わっても帳簿ほか確定申告書の関係書類は、一定期間の保存が必要です。

青色申告か白色申告かや帳簿・書類の種類によって保存期間が5年から7年間と定められてます。

確定申告関係書類の保存期間についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

4. 所得税の納付または還付を受ける

確定申告書を作成して税額が決定したら、該当の金額を納税しましょう。ただし、1年間の所得税額を計算した結果、納付済みの源泉所得税額や予定納税額などの合計額が1年間の所得税額を下回った場合は、還付を受けられます。

納付と還付は、以下のような流れで行います。

納付

確定申告で計算した1年間の所得税額が納付済みの所得税額を上回った場合は、確定申告期限内に差額の納付を行わなければなりません。

納付方法は以下のとおりです。

所得税の納付方法

  • 指定した口座からの振替納税(確定申告期限までに振替依頼書の提出が必要)
  • e-Taxによる電子納税
  • インターネットバンキングやATMで納付
  • クレジットカード納付
  • 金融機関または税務署窓口での現金納付
  • スマホアプリ納付(30万円まで)
  • QRコード※によるコンビニエンスストアでの納付(30万円まで)

※QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

振替納税の振替日は例年4月中旬から下旬ですが、確定申告期限までに振替依頼書を提出しなければなりません。一度、依頼書を提出した後は、毎年振替納税で納付することになります。

参考:国税庁「G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法新規タブで開く)」

納税方法については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

還付

還付を受けられる場合は、確定申告書に、振込を希望する提出者本人の金融機関口座を記載しましょう。確定申告後、1か月から1か月半ほどした時期に通知書が届き、還付金が振り込まれます。

還付金については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

参考:国税庁

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確定申告は青色申告と白色申告の2種類がある

個人事業主が行う確定申告は、青色申告白色申告に分けられます。また、青色申告の中でも、申告方法などの条件によって利用できる特別控除額が変わるため、65万円、55万円、10万円それぞれの特別控除額の違いを押さえておくことが重要です。

各種青色申告の制度と白色申告では、以下のように添付書類や利用できる税金の優遇制度などが異なるため、どの方法で確定申告をするのかを検討しましょう。

確定申告の種類

青色申告
  • 税制上のいろいろな特典(控除など)があるが、事前の届け出が必要
白色申告
  • 事前手続き不要で申告書類もシンプルだが、特別控除など税制上メリットはない

青色申告と白色申告の主な違い

項目 青色申告(特別控除65万円) 青色申告(特別控除55万円) 青色申告(特別控除10万円) 白色申告
対象者 事業所得または事業規模の不動産所得のいずれかがある人 事業所得、事業的規模の不動産所得のいずれかがある人、事業的規模ではない不動産所得がある人、山林所得がある人 青色申告を利用しない人
事前に必要な申請 青色申告をしたい年の3月15日までに所轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出
※原則、1月16日以後に開業(事業開始)の場合は、開業から2か月以内に申請書を届け出る
不要
提出書類 ・確定申告書
・青色申告決算書(貸借対照表および損益計算書)
・確定申告書
・青色申告決算書(損益計算書のみ)
・確定申告書
・収支内訳書
取引の記帳方法 複式簿記 簡易(単式)簿記でも可能
申告期限 原則として申告する年の翌年2月16日から3月15日、かつ期限を越えると特別控除は適用不可 原則として申告する年の翌年2月16日から3月15日で、期限を越えても特別控除は適用可能 原則として申告する年の翌年2月16日から3月15日
申告方法 ・e-Tax
・郵送
・税務署へ持ち込み
(優良な電子帳簿を保存していない事業者はe-Tax必須)
・e-Tax
・郵送
・税務署へ持ち込み
(青色申告の特別控除が10万円、55万円の場合、e-Taxまたは優良な電子帳簿の保存は必須要件ではない)
メリット ・最大65万円の特別控除が受けられる
・家族への給料を必要経費にできる
・30万円未満の固定資産が一括で全額必要経費になる
・赤字を3年間繰り越しできる
申告や手続きが簡単

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青色申告

青色申告は、事業所得、不動産所得、山林所得がある人が、所轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書新規タブで開く」を提出した場合に利用できる申告方法です。

青色申告を行うためには、申告する年の3月15日までに、この書類を提出しなければなりません。

例えば、2023年までの申告を白色申告で行い、2024年分の確定申告で新たに青色申告をしたいのであれば、2024年3月15日までに書類を提出することが必要です(2025年2月17日から3月17日までに確定申告を行う)。書類提出が間に合わなかった場合は、翌年分から青色申告を行いましょう。

ただし、新規開業や独立などで1月16日以降に新しく事業を開始した場合は、事業開始の日から2か月以内の提出が認められています。また、一度申請書を提出した事業者は、翌年以降も自動的に青色申告者になります。毎年提出する必要はありません。

届出が必要で記帳に手間がかかる青色申告ですが、以下のようにさまざまな税制上の優遇措置が設けられているというメリットもあります。

青色申告特別控除

青色申告特別控除は、所得金額から65万円、55万円、10万円のいずれかの控除額を差し引ける制度です。控除額は、記帳方法や申告方法、提出書類などに応じて決まります。適用する金額は自己申告となるため、正しく判定する必要があります。

青色申告特別控除を受けた場合の課税所得の違い

青色申告特別控除を受けた場合の課税所得の違い

なお、65万円と55万円の青色申告特別控除は、事業所得または事業規模の不動産所得がある人しか利用できません。事業規模に満たない不動産所得や山林所得は、10万円の特別控除の対象です。

また、65万円の青色申告特別控除は、55万円の特別控除の要件に加え、e-Taxによる申告を行うか、電子帳簿保存法に規定されている「優良な電子帳簿」の要件を満たす形で帳簿書類を保存して、「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る65万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書新規タブで開く」あるいは「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書新規タブで開く」を提出した事業者だけが利用できます。

青色申告特別控除の額は、確定申告書および青色申告決算書に記載します。65万円と55万円の青色申告特別控除を適用したい場合は、複式簿記で記帳を行い、青色申告決算書も貸借対照表損益計算書の両方を作成してください。10万円の特別控除を適用したい場合は、簡易(単式)簿記で損益計算書のみを作成すれば問題ありません。

青色申告者は、税額の計算をする際に、収入から必要経費を差し引いて所得金額を出すタイミングで特別控除額も控除します。確定申告書に記載する所得金額は、青色申告特別控除を行った後の金額になる点を押さえておきましょう。

青色申告特別控除については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

赤字の繰り越し・繰り戻し

青色申告者が赤字になった場合、赤字の金額を翌年以降3年間繰り越せます。例えば、ある年に300万円の赤字が生じ、翌年の黒字(所得金額)が200万円、翌々年の黒字(所得金額)が300万円だった場合、翌年の黒字と赤字を相殺して0円として申告が可能です。さらに、翌々年の黒字額からも、残った100万円を控除できます。このような赤字の繰り越しは、白色申告ではできません。

また、前年分の黒字に繰り戻して所得税の還付を受けることも可能です。ただし、そのためには「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書新規タブで開く」の提出が必要で、基本的に税務署によって調査が行われる点も押さえておく必要があります。

繰越損失の仕組みやメリットについては、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

30万円未満の減価償却資産の一時計上

青色申告者は、30万円未満の減価償却資産を一時に経費計上することが可能です。通常、パソコンや自動車といった10万円以上の固定資産を購入した場合、その資産の購入費用について、使用できる期間に応じた減価償却を行わなければなりません。そのため、購入してから必要経費として計上しきるまでに長い時間を要します。

しかし、青色申告者は、30万円未満の減価償却資産については、年間合計金額300万円を限度として1年で経費計上するか複数年にわたって経費計上するかを選択することもできるため、売上高に応じた対応を取りやすくなります。

少額減価償却資産の特例については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

青色事業専従者の給与を必要経費にできる

青色申告者は、青色申告事業専従者に支払った給与の全額を必要経費として計上することが可能です。青色事業専従者とは、同一生計の配偶者や15歳以上の親族で、1年のうち6か月を超える期間、事業を手伝う人を指します。

ただし、必要経費として計上するためには、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日などの所定の期限までに、税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書新規タブで開く」を提出しなければなりません。必要経費として認められる金額は、その届出書に記載された金額の範囲内で、かつ仕事の対価として適正と認められる金額だけです。多額の給与を支払ったとしても、労務の対価として高額であれば必要経費にはならず、節税することはできません。

青色事業専従者給与については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

白色申告

白色申告は、青色申告を行わない個人事業主のための申告制度です。青色申告の申請をしていない場合や、申請が期日に間に合わなかった場合は、自動的に白色申告で確定申告を行います。

また、「青色申告承認申請書を提出したものの、書類の作成が難しくて対応できなかった」といった場合も、白色申告での申告が可能です。変更手続きなどは必要ありません。白色申告で申告を行ってから、翌年は青色申告を行うこともできます。正式に青色申告をやめたいのであれば、所轄の税務署に「所得税の青色申告の取りやめ届出書新規タブで開く」を提出してください。

白色申告では単式簿記での記帳が可能で、青色申告決算書の提出も必要ありません。収支内訳書の提出は必要ですが、青色申告決算書よりはシンプルな内容です。

なお、白色申告でも、同一生計の配偶者や15歳以上の親族に事業を手伝ってもらっている事業者は、事業専従者控除を利用できます。青色申告と違って控除額には上限があり、上限額は配偶者が86万円、配偶者以外の親族が1人当たり50万円です。該当する場合は忘れずに申告しましょう。

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収入と所得の違い

所得税を計算する際に混同しやすい言葉として、収入と所得があげられますが、以下のように意味が異なります。

収入と所得の違い

  • 収入:売上高や給与支払額など、1年間で得た金額のこと
  • 所得:収入から必要経費を引いた金額(給与所得者は給与所得控除額を、公的年金受給者は公的年金等控除額を引いた金額)

確定申告書には、収入金額と所得金額を記載する欄があるため、この違いを正確に理解しなければなりません。例えば、売上が1,000万円、必要経費が400万円の自営業者の場合、収入は1,000万円、所得は600万円です。

所得税の計算では、所得からさらに各種所得控除などを差し引いて課税所得を求め、課税所得に税率を掛けた金額をベースに税額を算出します。

収入と所得の違いについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、参考にしてください。

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所得は10種類ある

所得税について定めている所得税法では、所得を10種類に分類しています。確定申告書には、収入や所得を種類別に記載しなければならず、収入から必要経費を引いて所得を計算する際も、種類ごとの計算が必要です。

所得の種類と内容は、以下のとおりです。

所得の種類とその内容

所得の種類 内容 青色申告の可否
給与所得 勤務先から受け取る給与や賞与などによる所得 ×
事業所得 事業(小売業、サービス業、製造業、卸売業、農業、漁業、その他の事業)による所得で、一般的な個人事業主の所得は事業所得に該当する
利子所得 預貯金や公社債投資信託などの利子による所得 ×
配当所得 株式や公社債投資信託以外の投資信託などの配当金、分配金による所得 ×
不動産所得 土地や建物、船などを貸して得た所得(不動産の売却益は譲渡所得)
退職所得 退職金による所得や、確定拠出年金などを一時金で受け取った場合の所得 ×
山林所得 5年超の期間にわたって保有している山林を伐採したり、立木のまま譲渡したりすることで得た所得(山林の取得から5年以内の譲渡は事業所得または雑所得、土地ごと山林を譲渡する場合は譲渡所得に該当)
譲渡所得 土地や建物、株式、金地金、ゴルフ会員権などの資産を譲渡して得た所得 ×
一時所得 労働の対価ではなく、継続性がなく、給与所得から譲渡所得までのいずれにも該当しない一時的な所得。競馬の払戻金や懸賞金、生命保険の一時金などが該当する ×
雑所得 上記のいずれにも該当しない所得で、「公的年金等(国の年金制度に基づいて給付される年金)」、「業務(副業の収入など)」、「その他(FXや仮想通貨での利益など)」の3つに分けられる ×

例えば、フリーランスのプログラマーの所得であれば事業所得に、派遣社員の所得であれば給与所得に該当します。企業に勤める従業員が、副業でフリマアプリを活用して利益を得ていた場合は、給与所得と雑所得の両方があることになります。

所得税の計算方法については、「所得税の算出方法」の項で解説しています。

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確定申告と年末調整の違い

確定申告と年末調整は、どちらも所得税を確定させるために行いますが、手続きを行う人や内容が異なる手続きです。

確定申告と年末調整は、それぞれ以下のような手続きを行います。

確定申告は納税者自身が行う手続き

確定申告は、所得税を納税する人本人が行う手続きです。自分で確定申告書を作成し、所得税額の申告と納付を行います。

確定申告では、1月1日から12月31日までの収入について、翌年2月16日から3月15日までに申告します。確定申告が必要な人に対する通知などは基本的にありません。自分で必要かどうかを判断して、手続きを行いましょう。

なお、自分で計算・申告した所得税額などに誤りがあった場合は、税務署から問い合わせが来る可能性もあります。正確な申告を心掛けてください。

年末調整は従業員を雇用する事業者が行う手続き

年末調整は、従業員を雇用する事業者が行う手続きです。会社員、パート、アルバイト、派遣社員などとして働いている人は、原則として勤務先で年末調整を受けることになります。

給与所得者は、毎月の給与から源泉所得税が徴収されています。これは、それぞれの従業員の給与額と扶養親族などの数を基に計算した概算の所得税額であるため、実際に納付しなければならない所得税額とは一致しません。

そこで、年末調整によって、1年間の給与額や賞与額が確定したタイミングで正しい所得税の金額を計算して、毎月の給与などから源泉徴収した所得税との差額を調整します。実施時期は企業によりますが、11月から12月にかけて行うのが一般的です。

給与などから源泉徴収した所得税が納付すべき所得税額を上回っていた場合は12月分や1月分の給与で所得税が還付され、下回っていた場合は12月分や1月分の給与から追加徴収されます。その後、事業者が従業員の年末調整の結果を税務署に申告して、所得税を納付します。

ただし、1月1日から12月31日までの給与や賞与の合計額が2,000万円を超える従業員や、年の途中で退職した従業員などは、年末調整の対象になりません。退職した従業員は、他の企業に転職していれば前職の源泉徴収票を転職先に提出することによって、転職先で年末調整を行うことも可能です。

しかし、そうでない場合は、自分で確定申告をしなければなりません。また、年末調整を受けていても、年末調整では適用できない所得控除や配当控除などの適用を受ける際には、従業員が確定申告を行うこともあります。

年末調整と確定申告の違いについては、以下の記事を参考にしてください。

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所得税の計算方法

所得税は、1年間の課税所得金額を基に算出します。具体的には、以下のような流れで計算を行います。

所得税を計算する際の流れ

  1. 1. 1月1日から12月31日までの収入の合計金額を求める
  2. 2. 1月1日から12月31日までの必要経費の合計金額を求める
  3. 3. 「1」から「2」を引いて、所得金額を求める
  4. 4. 所得金額から所得控除額を引いて「課税所得金額」を求める
  5. 5. 課税所得金額に所定の税率を掛けて「所得税額」を求める
  6. 6. 所得税額から税額控除額を引いて、納税する所得税額を求める

所得控除や所得税率、税額控除は、それぞれ以下のような内容の制度です。

所得控除

所得控除とは、収入から必要経費を引いた所得金額から、一定の金額を差し引ける制度のことです。所得控除は全部で15種類あり、それぞれ対象者と控除額が異なります。

所得控除の金額が高ければ、それだけ最終的な所得税額も抑えられます。15種類の所得控除はそれぞれ以下のような内容となっていますが、このうち寄附金控除、医療費控除、雑損控除の適用を受けたい場合は、年末調整では申告できないため、年末調整を受けた人も確定申告が必要です。

所得控除の種類と内容

国税庁「No.1100 所得控除のあらまし新規タブで開く
所得控除の種類 対象者 控除額
政策的な配慮から、特定の支出に対して適用される、物的控除 社会保険料控除 社会保険料(健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料など)を支払った人 支払った社会保険料の全額(同一生計の配偶者や子供、親族などの社会保険料を負担した場合は該当の金額を含む)
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、小規模企業共済等掛金を支払った人 支払った掛金の全額
生命保険料控除 生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った人 支払った生命保険料を一定の計算式に当てはめて算出した金額が控除でき、上限は12万円
地震保険料控除 地震保険料を支払った人 支払った地震保険料を一定の計算式に当てはめて算出した金額が控除でき、上限は5万円
寄附金控除 国や地方自治体、認定NPO法人などに寄附を行った人(ふるさと納税を含む) 寄附金額(上限は総所得金額等の40%)-2,000円
医療費控除 年間10万円(年間所得金額が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を超える医療費を支払った人

【特例】セルフメディケーション税制
健康診断など、健康維持や疾病予防のために一定の取り組みを行う人のうち、薬局などで年間1万2,000円を超える対象の医薬品を購入した人。通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用不可
支払った医療費-保険会社から受給した保険金などの額-10万円(年間総所得金額等が200万円未満の人は所得金額の5%)
※上限200万円

【特例】セルフメディケーション税制
対象医薬品の年間購入合計額-1万2,000円
※上限8万8,000円
雑損控除 災害や盗難などによって一定の資産について損害を受けた人 以下のうち、高い方の金額
・損害額+災害関連支出-保険金などによる補填額-(総所得金額等×10%)
・災害関連支出-保険金などによる補填額-5万円
納税者や家族などの人に関する事情を考慮する、人的控除 ひとり親控除 以下をすべて満たす人
・合計所得金額500万円以下
・総所得金額等が58万円(2024年分までは48万円)以下の生計を一にする子供がいる
・配偶者(事実上同様と認められる相手を含む)がいない
35万円
寡婦控除 以下をすべて満たす人
・ひとり親控除の要件に該当しない
・合計所得金額500万円以下
・夫と死別後再婚していない、または夫が生死不明、または夫と離婚後再婚しておらず扶養親族がいる
・事実上配偶者と同様と認められる相手がいない
27万円
勤労学生控除 以下をすべて満たす人
・給与所得などの勤労による所得を得ている
・特定の学校の生徒である
・合計所得金額が75万円以下(給与のみの場合130万円以下)
・勤労による所得以外の所得が10万円以下
27万円
障害者控除 納税者本人や同一生計配偶者、扶養親族が、障害者または特別障害者に該当する人 該当者1人につき、障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円
配偶者控除 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下、配偶者が同一生計かつ合計所得金額が58万円(2024分までは48万円)以下の人(青色事業専従者給与・事業専従者控除との併用不可) 本人と配偶者の年収および配偶者の年齢に応じて13万円から48万円
配偶者特別控除 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が58万円(2024年分までは48万円)を超えて133万円以下の人(青色事業専従者給与・事業専従者控除との併用不可) 本人と配偶者の年収に応じて1万円から38万円
扶養控除 以下をすべて満たす扶養親族がいる人
・配偶者以外で、6親等内の血族および3親等内の姻族に該当する
・満16歳以上で同一生計
・合計所得金額58万円(2024年分までは48万円)以下
・青色事業専従者または事業専従者ではない
(国外居住親族については別途定めあり)
扶養親族の年齢や同居の有無に応じて38万円から63万円
基礎控除 合計所得金額2,500万円以下の人 合計所得金額に応じて、16万円から95万円(2024年分までは16万円から48万円)

所得控除については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

所得税の税率の求め方

所得税の税率は、課税所得金額が高くなるほど高くなる「累進課税方式」がとられています。税率は、195万円までの部分が5%、195万円を超えて330万円までの部分が10%といったように設定されていて、5%から45%までの7段階です(2025年8月現在)。

例えば、課税所得金額が300万円の場合、195万円までの課税所得にかかる所得税の税率が5%、195万円を超えて300万円までの課税所得にかかる所得税の税率が10%です。課税所得金額が高額の人でも、全額に高い税率を掛けるわけではありません。

国税庁 超過累進税の説明図
国税庁「所得税のしくみ新規タブで開くより (例)課税所得金額が650万円の場合に適用される所得税の税率及び所得税額(令和7年分)」

計算が煩雑であることから、所得税には以下のような速算表が用意されています。速算表に当てはめることで、複雑な所得税率の計算を簡単に行えます。

所得税の速算表

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から194万9,000円まで 5% 0円
195万円から329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円から694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円から899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円から1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1,800万円から3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

速算表を使った場合、所得税の計算は、以下のように行います。

速算表を使った所得税の計算方法

所得税額=課税される所得金額×税率-控除額

例えば、課税所得金額が350万円の場合、所得税額は「350万円×20%-42万7,500円=27万2,500円」です。

税額控除

税額控除は、算出した所得税額から直接一定の額を差し引くことができる控除制度です。住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)や配当控除、外国税額控除などが該当します。

所得控除が所得金額から差し引いて所得税の計算を行える控除であるのに対し、税額控除は算出した所得税額から控除する制度です。そのため、所得控除と税額控除の額が同一だった場合、税額控除の方が節税効果は高くなります。

税額控除のうち、年末調整で申告できるのは、2年目以降の住宅ローン控除のみです。それ以外の税額控除は、確定申告で申告しなければなりません。住宅ローン控除も、初年度は必ず確定申告が必要です。

税額控除については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

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スマートフォンを使った確定申告のやり方

国税庁の確定申告コーナーとe-Taxを利用することで、スマートフォンを使って確定申告をすることができます。

スマートフォンを活用すれば、時間や場所を問わず、好きなタイミングで確定申告書の作成や提出を行えます。

スマートフォンを使った確定申告の方法については、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

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医療費控除・セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の確定申告のやり方

医療費控除や医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制の適用を受けるためには、必要書類を揃えて確定申告をしなければなりません。

自営業者やフリーランスは、所得税の確定申告時に医療費控除分もあわせて申告を行います。

なお、医療費控除は年末調整では適用されません。そのため、通常は確定申告が不要な会社員などの給与所得者も医療費控除を適用したい場合は、確定申告をする必要があります。

医療費控除やセルフメディケーション税制の確定申告方法については、以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。

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住宅ローン控除の確定申告のやり方

住宅ローン控除の適用を受ける場合、納税者本人による確定申告が必要です。

住宅ローン控除は、勤務先で年末調整を受けている会社員であっても、1年目は必ず確定申告を行わなければなりません。2年目以降は、年末調整で適用ができます。

個人事業主の場合、住宅ローン控除の適用は、1年目だけでなく2年目以降も確定申告で申告をします。

住宅ローン控除の確定申告の方法については、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

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ふるさと納税の確定申告のやり方

ふるさと納税は、地方自治体を応援しながら税制メリットを得られる制度です。

フリーランスなどの個人事業主など、確定申告をする必要がある方は、ふるさと納税の寄附金控除を確定申告で申告します。

勤務先が年末調整を行う会社員の場合は、ワンストップ特例を利用すれば、ふるさと納税での確定申告は不要です。しかし、一定以上の副業などの所得があったり、医療費控除の適用を受けるなどなんらかの理由で確定申告をする場合は、ワンストップ特例は無効になるため、ふるさと納税の寄附金控除分もあわせて、確定申告をする必要があります。

ふるさと納税の確定申告の方法については、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

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確定申告書類の保存と保存期間

確定申告が終わっても帳簿ほか確定申告書の関係書類は、一定期間の保存が必要です。

個人事業主が確定申告で青色申告を行う場合、「確定申告書」と「青色申告決算書」を提出します。一方、白色申告の場合は「確定申告書」と「収支内訳書」を提出します。

さらに事業を営む上で発生する領収書や請求書などの証憑書類は、必ず保存が必要です。証憑書類とは、取引が行われた際に作成・受領され、その後、帳簿や伝票を作成するために必要な基礎資料です。

青色申告か白色申告かや帳簿・書類の種類によって保存期間が5年から7年間と定められてます。

個人事業主だけでなく、会社員などが医療費控除を行う場合、医療費の領収書を確定申告期限等から5年間ご自宅等で保存する必要があります。

確定申告書類については、間違って破棄をしたりしないように最長期間の7年間保存しておくと安心でしょう。

参照:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告新規タブで開く

参照:国税庁「No.1119 医療費控除に関する手続について新規タブで開く

確定申告関係書類の保存期間についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

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確定申告に関する相談先

確定申告のやり方がわからないときや、必要経費などの処理方法に悩んだときは、専門家に相談するのがおすすめです。不明な点をはっきりさせないまま書類作成を進めてしまうと申告ミスにつながるため、疑問が浮かんだら随時解消するようにしてください。

確定申告ソフトを活用していれば、サポートプランを活用して専門窓口に相談できる場合があります。確定申告ソフトの相談窓口以外にも、確定申告についてさまざまな窓口に相談可能です。相談を行う際は、質問内容や作成した書類などを整理してから、以下の相談窓口に相談しましょう。

税務署の窓口

税務署では、電話や窓口で確定申告の相談に応じています。窓口で相談したい場合は、事前予約を行ってください。

電話で質問をする場合は、直接国税庁の電話相談センターに連絡します。ただし、電話で相談できるのは、一般的な制度についての質問のみです。申告書の作成方法をゼロから教えてもらえるわけではありません。「一般的な流れは把握しているが、一部処理方法に迷うところがある」といった場合に利用できます。

また、確定申告の時期に税務署が相談会を開催することもあります。詳細は、最寄りの税務署や国税庁のWebサイトなどで確認してください。

税理士

確定申告を税理士に依頼している場合や、税理士と顧問契約をしている場合は、税理士に確定申告や節税、経費処理などに関する質問ができます。ただし、契約内容や契約時期によっては「確定申告書の作成は可能だが、節税などに関する細かい質問は不可」といったケースもあるため、注意してください。

なお、確定申告期間の前などに、無料相談を受け付ける税理士もいます。あくまでも無料相談の範囲内での対応ですが、簡単な質問をしたり、税理士との相性を確認したりするのに役立ちます。

青色申告会

全国の税務署の所在地ごとに組織されている青色申告会でも、確定申告の相談が可能です。青色申告会とは、個人事業主を中心に組織された納税者団体です。青色申告会の会員になると、確定申告の相談会や研修会などに参加できます。ただし、会員になるには入会金や会費などが必要です。

確定申告の相談先については以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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確定申告初心者の人は確定申告ソフトを利用しよう

確定申告を初めて行う人や、慣れていない人は、どこから着手すればよいか悩んでしまうかもしれません。給与所得者の還付申告など、確定申告に馴染みのない人は国税庁の「確定申告書等作成コーナー新規タブで開く」を利用するのも1つの選択肢です。しかし、青色申告決算書や収支内訳書の作成が必要な人は、できるだけ効率化できる方法で対応した方がスムーズに申告できます。

個人事業主や事業所得のある副業などで確定申告を効率化したい場合は、確定申告ソフトの利用がおすすめです。確定申告ソフトなら、日々の記帳内容を自動集計して決算書などを出力してくれます。決算整理仕訳といった決算に必要な業務も、画面の案内に従って行えるため、知識がない人でも自分で確定申告を完了できます。

やよいの白色申告 オンライン」や「やよいの青色申告 オンライン」なら、記帳サポート機能も充実していて、操作質問に加えて業務相談までできる充実のプランもご用意しているため、申告手続きを誰かに相談しながら進めたい人でも安心です。ぜひご活用ください。

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よくあるご質問

2025年(令和7年)分の確定申告はいつからいつまで?

2025年(令和7年)分の所得税の確定申告は、2026年(令和8年)2月16日(月)から3月16日(月)までです。確定申告で計算した所得税の納付も期限内に行う必要があります。ただし、振替納税を選択している場合は、振替日は2026年(令和8年)4月中旬頃です。なお、預貯金口座の残高不足などで振替ができなかった場合は、確定申告期日の翌日から起算して、納付額と延滞税を合算した金額の納付が必要です。

なお、会社員などの給与所得者が、年末調整で適用できない医療費控除を受けるなどで確定申告を行い、還付申告になる場合は、申告する年の翌年1月1日から5年以内であれば、申告ができます。

詳しくは、「令和6年分の確定申告期間はいつからいつまで?期限を過ぎたら?」をご確認ください。

確定申告はどんな人が対象になる?

個人事業主(自営業、フリーランス)の人や副業の所得が20万円を超える人、給与の収入金額が2,000万円を超える人、会社員やアルバイトなどの給与所得者や退職者で年末調整ができなかった人などは、確定申告が必要です。

・個人事業主の場合→年間所得金額の合計が58万円(2024年分までは48万円)超

・副業の場合→本業以外の年間所得金額の合計が20万円超

詳しくはこちらをご確認ください。

青色申告と白色申告はどんな違いがある?

青色申告は、事前に届出をして所定の要件を満たした場合に選択できる方法で、青色申告特別控除など税制上の優遇が受けられます。白色申告は青色申告に比べて帳簿の作成方法がシンプルですが、青色申告のような節税メリットがありません。

詳しくは、「青色申告と白色申告の違いとは?メリットとデメリットをわかりやすく解説」をご確認ください。

確定申告をしないとどうなる?

確定申告の義務があるにもかかわらず、確定申告を行わなかった場合。無申告加算税や延滞税を課されてしまう、所得税とともに住民税が一緒に徴収されるというケースが起こる可能性があります。確定申告ソフトを活用することで、効率よく確定申告を行いましょう。確定申告ソフトを活用することで、効率よく確定申告を行いましょう。

詳しくは、「確定申告をしないとどうなる?申告義務がある人やリスクについて解説」をご確認ください。

確定申告で一番簡単な方法は?

国税庁が用意しているオンライン上のシステム「確定申告書等作成コーナー」が簡単に確定申告ができます。トップページの「作成開始」ボタンを押して画面の指示に従って数字などを入力をしていくことで、確定申告書の作成やe-Taxでの電子申告ができます。

ただし、「確定申告書等作成コーナー」は、帳簿の作成はできません。個人事業主が確定申告をする場合は、帳簿の作成と保存が義務です。そのため、個人事業主の場合は、帳簿作成から確定申告までが行える確定申告をソフトを利用したほうが便利です

詳しくは、「こちら」をご確認ください。

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確定申告ソフトなら、簿記や会計の知識がなくても確定申告が可能

確定申告ソフトを使うことで、簿記や会計の知識がなくても確定申告ができます。

今すぐに始められて、初心者でも簡単に使える弥生のクラウド確定申告ソフト「やよいの白色申告 オンライン」とクラウド青色申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」から主な機能をご紹介します。

やよいの白色申告 オンライン」は、ずっと無料、「やよいの青色申告 オンライン」は初年度無料です。両製品とも無料期間中もすべての機能が使用できますので、気軽にお試しいただけます。もちろん、確定申告もe-Taxでの申告が可能です!

【無料・税額シミュレーター】売上と経費を入力して青色と白色の税額を比較してみよう!

初心者にもわかりやすいシンプルなデザイン

画面は「やよいの青色申告 オンライン」の画面です。

弥生のクラウド確定申告ソフトは、初心者にもわかりやすいシンプルなデザインで、迷うことなく操作できます。日付や金額などを入力するだけで、確定申告に必要な帳簿や必要書類が作成できます。

取引データの自動取込・自動仕訳で入力の手間を大幅に削減

弥生のクラウド確定申告ソフトは、銀行・クレジットカードなどの金融機関の明細や電子マネー、POSレジ、請求書、経費精算等のサービスと連携すると日々の取り引きデータを自動で取得します。

自動取得した取引データはAIが自動で仕訳して帳簿に反映します。学習機能があるので、使えば使うほど仕訳の精度がアップします。紙のレシートは、スマホやスキャンで取り込めば、文字を認識してデータに変換し、自動で仕訳します。これにより入力の手間と時間が大幅に削減できます。

確定申告書類を自動作成。e-Tax対応で最大65万円の青色申告特別控除もスムーズに

弥生のクラウド確定申告ソフトは、画面の案内に沿って入力していくだけで、収支内訳書や青色申告決算書、所得税の確定申告書、消費税の確定申告書等の提出用書類が自動作成されます。

やよいの青色申告 オンライン」なら、青色申告特別控除の最高65万円/55万円の要件を満たした資料の用意も簡単です。インターネットを使って直接申告するe-Tax(電子申告)にも対応し、最大65万円の青色申告特別控除もスムーズに受けられます。

自動集計されるレポートで経営状態がリアルタイムに把握できる

弥生のクラウド確定申告ソフトに日々の取引データを入力しておくだけで、レポートが自動で集計されます。経営状況やお金の流れをリアルタイムで確認できます。最新の経営状況を正確に把握することで、早めの判断ができるようになります。

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この記事の監修者田中卓也(田中卓也税理士事務所)

税理士、CFP®
1964年東京都生まれ。中央大学商学部卒。
東京都内の税理士事務所にて13年半の勤務を経て独立・開業。
従来の記帳代行・税務相談・税務申告といった分野のみならず、事業計画の作成・サポートなどの経営相談、よくわかるキャッシュフロー表の立て方、資金繰りの管理、保険の見直し、相続・次号継承対策など、多岐に渡って経営者や個人事業主のサポートに努める。一生活者の視点にたった講演活動や講師、執筆活動にも携わる。

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